BSD界隈四方山話

第40回FreeBSDストレージサミット2016

FreeBSD Storage Summit, February 22nd, 2016

2016年2月22日に米国サンフランシスコ州サンタクララのHyatt Regencyにおいて、ストレージシステムに関連した会議を目的としたFreeBSD開発者会議FreeBSD Storage Summit, February 22nd, 2016が開催されます。このタイミングで同じくサンタクララにおいて14th USENIX Conference on File and Storage Technologies. (USENIX FAST'16)が開催されるのですが、この初日に開催日を合わせる形でFreeBSD Storage Summitが開催されることになりました。

FreeBSD開発者会議(FreeBSD DevSummit)の一環として、ストレージのみに会議の内容を絞った会議の開催は、記憶にあるかぎり今回のイベントが初ではないかと思います。USENIX FASTに併設する形での開催も今回がはじめてでしょう。会議が開催されるサンタクララ周辺には、FreeBSDをオペレーティングシステムとして採用したストレージアプライアンスを開発している企業がいくつか存在していますので、場所的にも関係性の深いものとなっています。

近年、FreeBSDはストレージアプライアンスやネットワークアプライアンス、家電製品などのオペレーティングシステムとして採用される機会が増えています。特にストレージシステムでは採用が進んでいまして、今回のサミットの開催にもこうした需要の流れがあるように思います。

FreeBSD DevSummit(今回はFreeBSD Strage Summitと名が付いてますけれども)は基本的にコミッタおよびコミッタがインバイトしたユーザの参加となります。今からの参加はかなり急ですけれども、参加を希望する場合には後藤まで連絡ください。なお参加する場合には事前にオンライン登録で75米ドル支払っておく必要があります。当日参加でも対応できるようにするそうですが、食事の用意の関係もあるので事前登録が推奨されています。

フラッシュストレージおよび不揮発性メモリの価格下落

フラッシュストレージと不揮発性メモリの価格が広く使われるレベルまで下がってきています。今回開催されるストレージサミットでは、こうしたレイテンシーの低いデバイスでパフォーマンスを発揮していくには、どのような変更をするべきか、どういったAPIを導入するべきか、といったことを議論することが目的とされています。FreeBSDの場合だとCAM、GEOM、I/Oスケジューリング、Unmapped I/O、ストレージAPIなどが関連するサブシステムということになります。

現在のストレージデバイスに対応するに先立って、ネットワークスペシャリストからこれまで彼らが経験してきたことやアイディアなどで、特にストレージにも応用できそうな体験やアイデアに関する発表が行われることになっています。マルチキューやレイテンシーの低いデバイスに対してアプリケーションモデルを変更する必要があるのか、これまで同様の取り組みはなかったか、などの話が行われるようです。

ワーキンググループ

FreeBSD DevSummitでは(併設されるイベントやオーガナイザーによって違うんですけども)全体での会議もあるのですが、最初の自己紹介と最後の議論内容報告、および今後の開発内容の提案など以外は、議題の異なるグループに分かれて、それぞれ議論や開発が実施されることが増えています。

今回のストレージサミットでは、今のところ次の4つのワーキンググループの開催が予定されています。

  • 新しいストレージ技術の適用に関する議論
  • CAMスケジューリングおよびロッキング
  • ユーザスペースストレージスタック
  • ZFS

現段階ではインバイトされるエンジニアも含めて全体で30名ほどの参加が予定されています。インバイトされるエンジニアはPanasas、iXsystems、Delphix、Seagateなどストレージに関するベンダが列挙されています。

具体的にどういった議論が行われるのか、今後の取り組みとしてどういった開発が行われるのか、ストレージベンダからどういった要求があるのか……そういったことは実際に会議が行われないとわからないところがあります。DevSummitの内容はすべてが公開できるわけではないので参考程度にというなりますけれども、もし興味深い内容で公開してもさしあたりのないものがあれば、BSD界隈四方山話で取り上げていこうと思います。

米国や欧州のストレージベンダに限らず、日本国内においてもFreeBSDをオペレーティングシステムに採用したストレージシステムの開発を行っているという話をちらほらと耳にします。こうしたベンダにとってFreeBSD Storage Summitの内容は興味深いものだと思います。FreeBSD Storage Summitに参加できないとしても、FreeBSD勉強会などで情報を共有することはできると思いますので、興味のあるベンダの方はぜひともご連絡ください。

FreeBSD勉強会 告知

第49回 2月25日(木) 19:00~【ゼロ諭吉構築シリーズ】OPNsenseでルータつくる!

FreeBSDはソフトウェアアプライアンスのベースオペレーティングシステムとしても採用されることが多いのですが、その中でも人気のあるシリーズにルータ・ファイアウォールソリューションがあります。

こうしたネットワークソリューションとしてはもっとも後発となるものにちょークールなOPNsenseがあります。第49回目となる今回のFreeBSD勉強会では株式会社シナジーの原岡氏をお招きしてOPNsenseを使った超絶クールなセキュアネットワークの構築方法をご紹介いただきます。お気軽にご参加ください。参加申請はこちらから。

第50回 3月22日(木) 19:00~【マジで困ってますシリーズ】FreeBSDが固まるんですけど・・・

FreeBSDは安定しています。たしかに安定しています。高負荷時にも粘り強い動きをみせます。しかし、ふとしたときになぜか黙ることがある、クラッシュダンプもなしに・・・ そんなニッチもサッチもいかない状況に追い込まれたIT戦士の声も聞くのです。しかし、クラッシュダンプもとれてないし、どうしたらよいかわからない……。

そこで、記念すべき第50回目となるFreeBSD勉強会では、そうした窮地に追い込まれた状況を語り合い、死力を尽くした対応策を話し合い、情報共有して来たるべき、そしていま来ている地獄に備える、そんな会にしたいと思います。FreeBSDサーバを管理している方、この状況をなんとか乗り越えたい方、情報共有から次の一手を見つけ出したい方、すべての戦士に参加を求めます!

ライトニングトークに近い形で相互に発表しましょう。よろしくお願いしまっす。参加申請はこちらから。

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