BSD界隈四方山話

第62回OpenBSD 6.0、リリースは9月1日

OpenBSD 6.0、9月1日リリース予定

OpenBSDプロジェクトのTheo de Raadt氏は2016年7月23日のコミットで、次期OpenBSDリリースバージョンとなる「OpenBSD 6.0」のリリース日を2016年9月1日と伝えました。OpenBSD 6.0で導入されることになる新機能や変更点はOpenBSD 6.0にまとまっています。OpenBSD 6.0における主な変更点は次のとおりです。

  • armv7サポート拡大(EFIブートローダ追加、FFSからのカーネルブートサポート、すべてのSoCに対して単一のカーネルとメモリディスクで対応、ボードID番号をベースとした静的テーブルの代わりにFDT(Flattened Device Tree)を利用するように変更など)
  • 新しいドライバ(bytgpio(4)、chvgpio(4)、maxrtc(4)、nvme(4)、pcfrtc(4)、umb(4)、ure(4)、utvfu(4)、iwm(4)など)の追加
  • 既存のドライバ(dwiic(4)、sdmmc(4)、sdhc(4)、imxesdhc(4)など)における新しいデバイスおよび機能への対応
  • SMPネットワークスタックの改善
  • IEEE 802.11ワイヤレススタックの改善
  • ルーティングデーモンの改良
  • ユーザランドネットワークの改善
  • セキュリティの改善(W^Xをデフォルトで厳密に適用、systraceの削除、Linuxエミュレーションサポートの廃止、ユーザマウントオプションの廃止など)
  • 各種改善(シングルスレッドプロセスにおけるスレッドライブラリの読み込みを許可、標準ライブラリにおけるシンボルハンドリングの改善、fts(3)における"no paths"および"empty path"のハンドリング改善、editline(3)ライブラリにおけるバグ修正と構造体のクリーンナップ、doas.conf(5)にsetenvキーワードを追加、ksh(1)の挙動をよりPOSIXに準拠するように変更、fold(1)およびrev(1)におけるUTF-8サポートの追加、xterm(1)およびpod2man(1)においてUTF-8をデフォルトで有効化ほか)
  • OpenSSH 7.3の導入
  • OpenNTPD 6.0の導入
  • LibreSSL 2.4.2の導入
  • サードパーティ製ソフトウェアのアップデート(Afl 2.19b、Chromium 51.0.2704.106、Emacs 21.4および24.5、GCC 4.9.3、GHC 7.10.3、Gimp 2.8.16、GNOME 3.20.2、Go 1.6.3、Groff 1.22.3、JDK 7u80および8u72、KDE 3.5.10および4.14.3、LLVM/Clang 3.8.0、LibreOffice 5.1.4.2、Lua 5.1.5/5.2.4/5.3.3、MariaDB 10.0.25、Mono 4.4.0.182、Mozilla Firefox 45.2.0esrおよび47.0.1、Mozilla Thunderbird 45.2.0、Mutt 1.6.2、Node.js 4.4.5、OpenLDAP 2.3.43および2.4.44、PHP 5.5.37/5.6.23/7.0.8、Postfix 3.1.1および3.2-20160515、PostgreSQL 9.5.3、Python 2.7.12, 3.4.5,および3.5.2、R 3.3.1、Ruby 1.8.7.374, 2.0.0.648, 2.1.9, 2.2.5,および2.3.1、Rust 1.9.0-20160608、Sendmail 8.15.2、Sudo 1.8.17.1、Tcl/Tk 8.5.18および8.6.4、TeX Live 2015、Vim 7.4.1467、Xfce 4.12など)

次のアーキテクチャ版がリリースされる予定です。

  • alpha
  • i386
  • hppa
  • amd64
  • macppc
  • sparc64
  • armv7
  • landisk
  • loongson
  • luna88k
  • octeon
  • sgi
  • socppc
  • zaurus

OpenBSDプロジェクトはこのところネットワークスタックのマルチコア/プロセッサ対応を進めています。このバージョンにもいくつかの成果物が取り込まれる見通しで、利用するデバイスによっては性能の向上が期待できます。OpenBSDのリリースエンジニアリングはタイムスケジュールに通りに進むことが多く、ほぼこの日程でリリースが実施されるものと見られます。

タイムスケジュールベースのリリースエンジニアリング

OpenBSDは*BSD系のオペレーティングシステムの中ではもっともリリースエンジニアリングがタイムスケジュール通りに進むプロジェクトです。ほとんどずれることなくリリースが実施されており、過去何度か*BSDカンファレンスでOpenBSDのリリースエンジニアリングに関する発表が行われたこともあります。半年ごとに常に新しいバージョンが公開されています。

FreeBSDのリリースエンジニアリングも最近はFreeBSD Foundationの支援が入り、かなりタイムスケジュールに沿って進むようになってきていますが、それでもショーストッパーなどの登場でリリースが遅延することはよくありますし、特にメジャーアップグレード時にはリリースが遅延する傾向が見られます。OpenBSDにはそうしたことがほとんどありません。

OpenBSDプロジェクトはかなり手際よく開発を進めます。必要を判断したものはサクサク開発し、不要と判断したものはバッサリ捨てます。このあたりの捨てる力の強さが、OpenBSDをシンブルで扱いやすい状態に保ち続けているように思います。さらに、セキュリティに対するこだわりは常に情熱的なところがあり、セキュリティ目的で採用するのに一定の信頼がおけるところがあります。最近ではマルチコア/プロセッサにおける性能も向上しつつありますし、OpenBSD 6.0は注目しておきたいリリースです。

FreeBSD勉強会 告知

第55回 8月24日(水) 19:00~ ZFSアドバンス クォータ、リザーブ、圧縮、重複、スナップショット、クローンほか

今回のFreeBSD勉強会ではデータセットにおけるクォータやディスク容量の管理、リザーブや圧縮、重複排除、スナップショット、クローンなどの機能を解説します。ZFSの提供する機能は多岐に渡り、これまでのファイルシステムでは実現が難しかった機能が簡単なプロパティの設定などで実現することができます。こうした機能を知ることで、今よりももっとZFSを使いこなせるようになるはずです。

第53回目の勉強会ではZFSの基礎(データセット、プール)を、第54回目ではデータセットのプロパティの設定や、プールの追加、削除、リシルバリングなどについて解説しました。第55回目となる今回はZFSが提供している個々の機能に焦点をあて、使い方やその効果などを紹介します。

参加申請はこちらから。

第56回 9月27日(火) 18:30~

内容は調整中です。確定次第お知らせします。

参加申請はこちらから。

2016年10月以降の勉強会の会場を探しています。ご提供いただける場合にはぜひご連絡お願いいたします。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧