BSD界隈四方山話

第65回 ケンブリッジで会議,BSDCam 201608

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2016 Cambridge DevSummit ('BSDCam')

2016年8月15日(英国時間)から3日間,英国ケンブリッジ大学でFreeBSDデベロッパやFreeBSDを利用しているベンダの関係者が集まっての開発者会議が開催されました。通称BSDCamの名前で呼ばれているFreeBSD開発者会議です。ほかの*BSDカンファレンスに並び,すでに毎年夏にケンブリッジで行われる定例の開発者会議になっています2016 Cambridge DevSummit ('BSDCam'))⁠

ケンブリッジ大学で開催されていることもあってケンブリッジ大学の研究者や,英国の研究者・開発者の参加が多く見られます。これに欧州のFreeBSD関係者と,米国からFreeBSDデベロッパが参加しているといった構成になっています。開発者がインバイトした参加者が多いのは今年の特徴の1つだったかもしれません。

FreeBSD開発者会議は世界中で定期的に開催されるようになっていて,よく「こういった会議ではどういったことを話し合っているのか」といったことを尋ねられます。どういった形式でどういった会議をするのかはローカルホスト(現地でその会議を主催する方,主に会議を主導する方)に依存するところがあります。今回はBSDCamのやり方を紹介します。

話し合うことを話し合う

BSDCamの場合,まず今回の会議の日程で話し合うことを話し合うことから始めることが多いように思います。BSDCam 201608もそうでした。はじめに開発者および開発者がインバイトしたユーザが,自己紹介とともに,自分が取り組んでいることや,自分が興味を持っているトピックを発表していきます。アイディアを出していくブレインストーミング的と言えるかもしれません。

写真 2016 Cambridge DevSummit ('BSDCam') ブレインストーミング

写真 2016 Cambridge DevSummit ('BSDCam') ブレインストーミング

今回のBSDCamだとこんなトピックが出てきました。ケンブリッジ大学での開催ですから,研究が実施されているCapsicum関連のセキュリティ技術に注目が当たっているのは当然として,トレース技術に関する注目度が高いことが今回,今回というかここ最近の特徴といえます。

  • トレース技術(DTrace,ISAレベルトレース,分散トレース,ランタイムチェック)
  • エデュケーション
  • ツールチェーン(リンカ,ビルドシステム,クロスOSビルド,LLVMインフラストラクチャ)
  • セキュリティ(Capsicum,メモリプロテクション)
  • IPC(fork(2))
  • ネットワーキング(IPv6,JIT,TCP,Vimage)
  • ドキュメンテーション(翻訳,ビルドシステム)
  • パッケージ(パッケージ,パッケージベース,Ports Collection)
  • プロビジョニング(PXE)
  • 消費電力(スケジューリング)
  • ファイルシステム(ZFS,UFS)
  • デスクトップ(X.org,Linuxバイナリ互換機能)

トピックを出し切ったあとは,どのトピックを何日にどの枠で取り組むかを決めていきます。今回は3日間あるので,初日の午前中をブレインストーミングと今後の議論のプラニングに使って,午後以降は決めた会議スケジュールに従って会議を進めます。BSDCamではおおよそこういったやり方で議論が進められることが多いように思います。

ほかのFreeBSD会議では開催までにワーキンググループリーダを募って,そのリーダの元で個別に会議を進めるというスタイルが取られるものもありますし,もっと緩い形式の時もあります。VendorSummitに近い内容が一緒になることもあります。やり方はいろいろあります。共通点だけ大雑把にまとめるとこんなところでしょう。

  • 複数のトピックについて取り上げる
  • それぞれのトピックについて会議する(グループに分かれることもあれば,全体会議のまま進めることもある)
  • どこかのタイミングで集合写真を撮る
  • コーヒー,お茶,昼食,軽食がサーブされる

このあたりは共通しているように思います。その場で議論していろいろ決めていくというよりも,説明と共通認識の確立,情報共有といった側面が強いように思います。結局のところ込み入った議論や実装はそう大人数でできるものでなく詳しい方々が突っ込んだ議論をするといったことで決定していく,議論の内容や経過を共有しておくといった感じでしょうか。プロジェクトが関与する内容は多岐に渡るので,こういったタイミングでまとまった知識が手に入ります。

ケンブリッジ旅行ティップス

ケンブリッジは自然が豊富で英国の歴史が感じられる観光都市でもあります。一度旅行で訪れるのもありではないかと思います。そういった方向けに,いくからティップスをまとめておきます。

  • 予算を気にしないなら乗り換えなしでヒースロー空港に着く便を取りましょう。安くあげたい場合,時期にも寄りますが,多少渡航時間が長くなることを気にしないなら航空会社を選ぶとかなり値段を抑えられます(今回はタイ国際航空を使いましたが,ほかの便の1/2〜1/3くらいの費用でした)⁠さらに安く抑えたいとか,もっと旅行を楽しみたいなら,最安値で欧州のどこかの空港に着く便を取って,あとは電車で移動するのがよいと思います。それもなかなか旅情があってたまにはよいのではないでしょうか。
  • ヒースローからは電車かバスで移動することになると思います。最も簡単なのはヒースロー空港から長距離バスに乗ってケンブリッジ・バスターミナルまで移動することです。時間に余裕があるなら,ピカデリーといった都内の電車に乗って,キングスクロスで乗り換えて電車でケンブリッジまでくるか,安くあげたいならビクトリアまで電車で移動して,そこから長距離バスがよいでしょう。ビクトリアに大きめのバスターミナルがあるので,ここまでくればいろんな場所へ長距離バスで移動できます。
  • ケンブリッジは研究学園都市だからなのかなんなのか,あんまり普通のホテルがありません。大学のレジデンスのような宿泊場所がいくつもあるので,それに申し込むのがよいでしょう。安いし朝食がついてきます。ただし,トイレとバスは共有のところが多いので,それが嫌なら申し込むときに注意深く申し込み用紙やWebの情報を読んで,バス・トイレ付きの部屋を頼んでみましょう。
  • 街中のいたるところにパブがあるので,昼からエールを楽しむのがお薦めです。お店で作ってるオリジナルとかなかなかイケます。フィッシュ&チップスも大抵のパブで扱ってると思いますので,一度は食べておくとよいかと思います。屋台で買い物をしない限り大抵はクレジットカードが使えると思いますが,クレジットカードのやり取りが面倒だと思うならある程度英ポンドに替えて持っておくのがよいでしょう。
  • 市内の移動には市バスが使えます。オイスターという,日本で言うところのSuicaみたいな(食べ物じゃありません)カードが必要なので,バスターミナルか地下鉄の窓口で買っておくとよいでしょう。カードのデポジットが5ポンドで,これにチャージ料金を入れたものを買います。バスはよくわからないという場合には,自転車がレンタルできますので,それで移動すると楽です。徒歩だと結構な距離を歩くことになると思いますが,時間があるならそれもまたよいかと思います。

今はポンドが安いので,というかほとんどこの10年で底値だと思うので,旅行にいくなら今このタイミングではないかと思います。

勉強会

第55回 8月24日(水)19:00~ ZFSアドバンス クォータ,リザーブ,圧縮,重複,スナップショット,クローンほか

今回のFreeBSD勉強会ではデータセットにおけるクォータやディスク容量の管理,リザーブや圧縮,重複排除,スナップショット,クローンなどの機能を解説します。ZFSの提供する機能は多岐に渡り,これまでのファイルシステムでは実現が難しかった機能が簡単なプロパティの設定などで実現することができます。こうした機能を知ることで,今よりももっとZFSを使いこなせるようになるはずです。

第53回目の勉強会ではZFSの基礎(データセット,プール)を,第54回目ではデータセットのプロパティの設定や,プールの追加,削除,リシルバリングなどについて解説しました。第55回目となる今回はZFSが提供している個々の機能に焦点をあて,使い方やその効果などを紹介します。

参加申請はこちらから。

第56回 9月27日(火)19:00~ ZFSとJailによるコンテナ技術活用,ユーザへのファイルシステム特権の委譲ほか

ZFSは管理者のやることを大きく変えました。多くの便利な機能は管理者にもう戻ることのできない利便性を与えてくれました。しかし,より突っ込んでチューニングを行ったり,さらに深い機能を使いこなそうとしたとき,ほとんどの管理者はZFSの深遠へ引きずり込まれ,果たしてやっている設定が適切なのは不適切なのかの判断も難しい状況に陥っているのではないでしょうか。

第56回目からは,ZFSの活用に焦点をあてながらZFSの使い方やチューニングの方法を紹介します。今回は特にJailにおけるコンテナ技術のひとつとしてZFSを活用する方法や,ユーザにファイルシステム特権を委譲する方法などを採り上げます。余裕があればマシン間における効率的なレプリケーションの方法なども紹介します。

参加申請はこちらから。

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