BSD界隈四方山話

第140回AsiaBSDCon 2018

AsiaBSDCon 2018

2018年3月8~11日までの4日間、*BSDの国際会議であるAsiaBSDCon 2018が開催されました。

木曜と金曜日はチュートリアルの開催と主にコミッタによる会議であるデベロッパサミットの開催、金曜日には同時開催となるbhyvecon Tokyo 2018が開催されました。土曜と日曜は論文発表です。

基調講演は日曜日に実施され、田崎創氏からLinux Kernel Library(Linux rumpkernel)に関する発表が行われました。NetBSD rumpと同じアイディアをLinuxカーネルに適用したような実装で、Linuxカーネルがユーザランドでプロセスとして動作します。軽量仮想化技術のひとつと言えると思います。

AsiaBSDCon 2018
AsiaBSDCon 2018

今回行われた論文セッションは次のとおりです。内容のいくつかはEuroBSDCon 2017で発表された内容と重複していましたが、いくつかは新しい内容でした。

  • Institutionalizing FreeBSD Isolated and Virtualized Hosts Using bsdinstall(8), zfs(8) and nfsd(8) / Michael Dexter
  • Tuning FreeBSD for routing and firewalling / Olivier Cochard-Labbe
  • Building a security appliance based on FreeBSD / Mariusz Zaborski
  • FreeBSD ARM32/ARM64 : Porting to a new board / Emmanuel Vadot
  • Profiling the FreeBSD kernel boot / Colin Percival
  • Design, Implementation and Operation of NetBSD Base System Packaging / Yuuki Enomoto
  • FreeBSD on IBM PowerNV / Wojciech Macek
  • Mininet on OpenBSD: Using rdomains for interactive SDN testing and development / Ayaka Koshibe
  • Improve the DragonFlyBSD network stack / Yanmin Qiao
  • Role-based Access Control in BCHS Web Applications / Kristaps Dzonsons
  • OpenBSD/x-ray - OpenBSD on medical x-ray machines Henning / Brauer
  • Improving netdump hardware support and performance with iflib / Sam Gwydir
  • Linux rumpkernel: yet another virtualization with a librarified kernel / Hajime Tazaki
  • Introducing FreeBSD VPC / Sean Chittenden
  • Virtualization on ARMv8-A: bhyvearm64 Current Status and the Porting Process / Alexandru Elise
  • Implementing a Virtual Generic Interrupt Controller for the FreeBSD Hypervisor / Mihai Carabas
  • FreeBSD VirtIO devices on ARM systems / Darius Mihai
  • FreeBSD Save & Restore feature for bhyve for AMD CPUs / Maria-Elena Mihailescu
FreeBSD Foundationメンバーとブース
FreeBSD Foundationメンバーとブース

AsiaBSDConの最大の特徴は日本からの参加がもっとも優しい*BSD国際会議という点です。開発者が目の前にいますので、発表内容について直接質問したり議論できるのもよいところです。

発表内容に限らずとも、興味のある内容であったりデバイスドライバであったり、関連のあるコミッターと議論ができる有益な場所です。神楽坂にある森戸記念館で行われますので、帰りにこのあたりを楽しむこともできます。

ラウンジでハックや会議を行う*BSDデベロッパ
ラウンジでハックや会議を行う*BSDデベロッパ

「今年のAsiaBSDConには参加できなかった」⁠英語が苦手で発表内容がよくわからなかった」ということもあると思います。4月26日ヴァル研セミナールームで開催するFreeBSD勉強会(後述)で、今回のAsiaBSDConの発表内容を軽くおさらいする感じで紹介する予定です。ぜひ、参加を検討してみてください。

また、この日のFreeBSD勉強会では「sysctl(8)からカーネルの中身を追う」ということで、sysctl(8)の実装からカーネルのソースコードを追っていくという発表もあります。興味がある方はぜひ下記FreeBSD勉強会の詳細から参加を検討してみてください。

FreeBSD勉強会

4月26日(木)19:00~ 第70回 - ヴァル研 セミナールーム

【sysctl(8)からカーネルの中身を追う】

*BSDに限らず、UNIX系OSではユーザランド側からsysctlコマンドを実行することで、カーネルが提供する機能のON/OFFやカーネルパラメータを設定することができます。今回のFreeBSD勉強会では、sysctlによるカーネルパラメータの設定を題材にしてカーネルソースコードの読み方を解説しようと思います。

また、ソースコードを読み解く際の当たりの付け方といった、カーネルに限らないコードリーディングのノウハウについても紹介できればと思いますので、カーネルソースコードをこれから読み始めてみようと思っている方はぜひご参加ください。

AsiaBSDCon 2018復習】

AsiaBSDCon 2018で発表された内容を振り返ります。どんな発表内容だったかちょっと理解が追いつかなかった、といった場合の手助けとして利用できるように概要をお伝えできればと思います。

本勉強会への参加者には抽選か勝ち抜きかでデーモンTシャツなどのグッズをお渡しします :)

参加登録はこちらから。

FreeBSD勉強会 発表者募集

FreeBSD勉強会では発表者を募集しています。FreeBSDに関して発表を行いたい場合、@daichigotoまでメッセージをお願いします。30分~1時間ほどの発表資料を作成していただき発表をお願いできればと思います。

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