クラウド,良いとこ・悪いとこ

第1回 クラウドを知る

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

これから6回にわたって,各種クラウドについての比較とそれらの良い点悪い点について取り上げていきたいと思います。

対象としてはこれからエンジニアとしてクラウドを使用していく人を想定しています。

今回は初回ですので,概要と今後の予定についてまず説明していきます。

まずクラウドとクラウド以外の比較,そして各種クラウドサービスについて比較していく予定です。

クラウドの定義

クラウドがマーケティングバズワードになって久しいですが,ここで改めてこの記事におけるクラウドの意味について説明いたします。

簡単に(とくにオンプレミスとの比較の意味も込めて)クラウドについて定義すると「サーバを持たない」ということになると思います。

ホスティングやVPSはどうなるんだという話もありますが,クラウドとの比較という意味で,この連載ではオンプレミス,ホスティング,VPSをひとくくりにします。

筆者が思うに,クラウドというのは3つの要素から成り立っていて,⁠ハードウェアを意識しなくて良い」⁠使用リソースをオンデマンドで増大・減少できる,もしくは自動で増減する」⁠料金が従量制である」の3つです。

最近はあまり言われない区分ですがSaaS,PaaS,IaaSと分類したとき,この順番にハードウェアに近くなっていくので,IaaSが一番VPSと近いということになります。

じゃあVPSをオンラインでオーダー・キャンセルできて従量制課金にしたらクラウドなのかというと,まあそう言っても良いような気もします。

というよりも,世の中のクラウドサービスにはVPSを従量制課金にしてクラウドとして提供しているものも結構ありそうです。

それはさておき,今回の連載では主にIaaS,もしかしたらPaaSを対象として比較してみたいと思います。

クラウドのメリット

クラウドにはもちろん多くのメリットがありますが,その大きな所としては

  1. 料金が従量制である
  2. リソース増減が容易である
  3. オンプレミスやホスティング,VPSには通常ない便利機能が用意されている

などがあると思います。

ただし,この2はあくまでも1があるのでメリットとなるわけで,容易に増減できても従量制でなければ意味がないですね。

もっと言えば従量制というよりも「非常に小さい単位での固定課金」のほうがより正確だと思います。

もちろん,従量制ではない,たとえば回線契約の95%ルールのようにその月の最高利用料(もしくはその95%とか)に対して課金されるという状態でも,2のリソース増減が容易であることのメリット自体はゼロではないですが,では実質それで使うかといえばあまり使わない気がします。

たとえば2週間のキャンペーン用のサーバとかであればそれでも需要はあるかもしれません。

また3については,オンプレミス,ホスティング,VPSでも実現可能なものなので,明確にオンプレミスとクラウドの差とは言えませんが,最近クラウドを利用するシーンでは3も結構重要視されている気がします。

とここまで書いて「オンプレミス,ホスティング,VPS」と毎回書くのは面倒だと気付きました。

もちろんオンプレミス,ホスティング,VPSはそれぞれ違うものですが,ここではクラウドと最も遠いところにあって,クラウドと比較のために有名になったとも言える(?)オンプレミスを主に比較対象にしたいと思います。

たとえば3に該当するものとしては,AWSのAMI機能やRDS(Relational Database Service)⁠ELB(Elastic Load Balancing)などがありますが,ELBなどはオンプレミスでもロードバランスはありますし,AMIなども実装は可能でしょう。

RDSはそれ自体がSaaSのような形なのでオンプレミスで構築するのはかなり大変そうです。

クラウドの概念

クラウドの概念

オンプレミスのメリット

もちろんクラウドはメリットばかりでオンプレミスはデメリットばかりなら,知っている人は全員クラウドを使うはずで,もちろんオンプレミスのメリットもあります。

自前構築なのでネットワーク設計,ハードウェア選定などを自由に行えるという点,仮想化しないことでパフォーマンスをより引き出せる点などです。

よくクラウド擁護の意見で「パフォーマンスの劣化はさほどではない」というものがありますが劣化は劣化です。

問題はその劣化の程度が他のメリットとトレードオフするかどうかが重要です。

また最近ではioDriveといった超高速ストレージなども登場していますがこういったソリューションをいち早く活用できるのもオンプレミスのメリットです。

もちろん,セキュリティにおいてもオンプレミスにメリットがあるのは言うまでもありません。

こちらも「クラウドを活用してもセキュリティ的にさほどデメリットがないような構築,運用ができる」という意見もありますが,全く同じもしくは上回るかといえばそんなことはありません。

筆者が良く感じるのは,クラウドには明らかなメリットがあるのでその活用価値がとても大きいにも関わらず,クラウドを擁護する人はクラウドのデメリットの否定に躍起になることが多いという点です。

すべてにおいて,あらゆる面でクラウドにメリットがあり,まったくデメリットはない,ということはないと思うので,⁠ここは良い,ここは悪い」ということで良いと思うのですが,不当にデメリットと思われていることの否定であればともかく,デメリットの程度が少ないことの主張をそこまでしなくても十分メリットはあるのに,と思います。

次回からは

さてクラウドには十分選択するメリットがあるとした上で,では今たくさんあるクラウドサービスの中でどれがいいのかについて見て,考えていきたいと思います。

ラインアップとしては,Amazon Web Services,Google App Engine,さくらのクラウド,Azureあたりをピックアップしていこうと思います。

次回からは具体的なアプリケーションを選定し,それを各クラウド上で構築して負荷試験をしてみる予定ですのでご期待ください。

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著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータセンターである「データホテル」を構築,運営。2003年にベイエリアにおいてVoIPベンチャーであるRedSIP Inc.を創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 ZETA株式会社)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZETA CX」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

blog:http://blog.zaki.jp/
社長コラム:https://zetacx.com/column

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