IPv6対応への道しるべ

第8回 日本唯一のIPv4アドレス移転仲介業? ipiten.jp

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─⁠─日本で,このようにIPv4アドレス移転仲介サービスを行っている事業者は他にありますか?

現状で,他事業者による日本でのIPv4アドレス移転仲介サービスを私どもは把握しておりません。

風間勇人氏

風間勇人氏

アメリカでは,いくつかの事業者が存在しているようです。しかし,すでにIPv4アドレス在庫が枯渇したAPNIC地域とは違い,ARIN地域などではIPv4アドレス在庫が枯渇していないので,IPv4アドレスが必要な事業者はRIRに申請することで新規IPv4アドレス割り振りを受けられるため,現時点ではIPv4アドレス仲介事業者を通じてIPv4アドレスを確保するニーズはまだ大きくはないと思われます。

─⁠─移転元となる組織の傾向はありますか?

移転元として譲渡をお考えの方の多くは,歴史的PIアドレスを保持していつつも,いままで有効に活用してこられなかったと推測される企業さんです。

移転先としては,ネットワーク事業者さんが中心になっています。特に,ネットワーク事業の拡充をはかっているというような,逆に,拡充をはかるために,IPv4アドレス獲得を検討されている企業さんです。中でも,Webホスティング事業者さん,データセンター事業者さん,CATV事業者さんなどでニーズが多くあると言えると思います。

意外だったのは,IPv4アドレス獲得を検討されているお客様が東京に偏っていなかった点です。地方企業様からのお問い合わせが6割です。実は都内企業様の多くは既にIPv4アドレスをある程度確保してある一方で,地方企業様にとってはIPv4アドレス獲得が大きな要素となっているのではないかなと考えています。

IPv4アドレスの移転元に関しても,一時期インターネットをひろげるために割り振りを多く行ったり,産官学で連携して活動しようとした名残として,地方に多くのIPv4アドレスが残っているようにも思えるので,地方でのIPv4アドレスの掘り起こしというのは今後の課題としてあると思います。

日本では,表向きはIPv4アドレスが枯渇しているのですが,資源としては,まだまだ多くのIPv4アドレスが眠っている状況なのではないでしょうか。

─⁠─今後,IPv4アドレス移転仲介サービスはどのようになっていくとお考えですか?

今,まだ各事業者さんの社内在庫があるうちは,社内在庫でやりくりしていく状況が続くと思いますが,新規IPv4アドレスがないと事業が成り立たない方は,自分達で移転元を探しださない限りは,こういった仲介サービスなどをご利用いただいて移転を行うか,既存のIPv4アドレスを効率的に利用してやりくりするという二択になっていくと考えています。そのため,IPv4アドレス移転仲介サービスの利用は短期的には拡大すると思います。

IPv4アドレス移転仲介サービスがいつまで可能であるかは,多少難しい問題だと思います。どちらかというと,長期的ビジネスというよりも,短期的なサポートビジネスではないかと考えています。そういった意味でいうと,ここ3年か5年ぐらいがターゲットになってくるのではないかと思います。

サービスを始めたきっかけ

─⁠─御社のメイン事業に関して教えてください。なぜ,IPv4アドレス移転仲介サービスをやろうと考えたのですか?

なぜIPv4アドレス移転かですが,当社はIPアドレスデータベースを扱う事業を行っており,そういったこともあり,IPv4アドレスに関して業界内で貢献できることがあればいいかなという考えで事業を立ち上げました。

日本国内の広告配信やLPOのほとんどのエンジンで当社のIPv4アドレスデータベースが利用されています。そういった意味では,当社のIPv4アドレスの技術は非常に多くの方々が知らないうちに使っていただいています。

─⁠─そのIPv4アドレスデータベースを利用して移転元IPv4アドレスのチェックを行っていますか?

はい。

弊社には,どこでそのIPv4アドレスが使われて来たかという地域情報データベースやHTTPプロキシ利用等についてもアーカイブデータがあります。現時点では,件数が非常に少なく全てを手作業で行えてしまうので,正式なフローとしては行えていませんが,担当者レベルでは弊社データベースを利用したチェックも行っています。

─⁠─HTTPプロキシ情報は何故お持ちなのですか?

私たちのお客様には,世界中からアクセス可能なインターネットにおいて,動画・音楽配信先を日本国内に限定しコンテンツの配信を行っている会社様や,RMT(Real Money Trade)対策での特定の国からのアクセスを制限しているオンラインゲーム会社様等がおられます。

弊社では,このようなお客様への不正アクセスを低減させる取り組みとして,主にHTTPプロキシに関してインターネット上で調査を行っているからです。

IPv4アドレスの「価格感」

─⁠─最後に一言,お願いします。

意外と皆様,価格感を含めてバラバラだなという感想を持っています。

先日,IPv4アドレスをお求めの,とある地方の会社さんに「どのぐらいの価格感をお考えですか?」と質問した際に「1,000円から3,000円」とおっしゃってましたし,かたや「100円ぐらい」とお考えの会社さんもいらっしゃいます。

ひとつ指標として価格が公表されている移転事例としては,日本ではありませんが,NotelさんとMicrosoftさんの事例で,IPアドレスあたり11ドルぐらいというのがあります。それがひとつのベンチマークになっているようにも見えます。そういったなかで,ある程度,ビジネスとして見込めるような価格になってくると役割として果たせるのではないかと思います。

お問い合わせだけでもいただければ有り難いと考えています。ご相談をお待ちしております。仲介が成立するまでは無料です(笑⁠⁠。

著者プロフィール

あきみち

「Geekなぺーじ」を運営するブロガー。

慶應義塾大学SFC研究所上席所員。全日本剣道連盟 情報小委員会委員。通信技術,プログラミング,ネットコミュニティ,熱帯魚などに興味を持っている。

近著「インターネットのカタチ - もろさが織り成す粘り強い世界」

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