インターネットを支える技術者たちの集い―gihyo.jp×JANOG presents

第4回プログラム「インターネットインフラに関する妄想(仮)」のご紹介

あきみちさん登場

gihyo.jp×JANOGプログラム紹介の2回目は、JANOG初登場、Geekなぺーじでお馴染のあきみちさんによる「インターネットインフラに関する妄想(仮⁠⁠」です。

あきみちさんはネットワークからアプリケーション(そして熱帯魚)まで幅広い分野に精通されており、ネットワークに関する本を執筆されたり、ご自身の管理されているGeekなぺーじでは初心者向けに丁寧に技術情報を解説した文書をアップされたりと、職業ブロガー(兼SFC研究所上席所員)として人気を博しています。

ちなみに今年(2010年)の業界最大のイベントとも言えるInterop Tokyo 2010では、メディアスポンサーとしてその名を轟かせています。

このたびJANOG26ミーティングのプログラムとしてあきみちさんに登場していただくにあたり、プログラムの内容をJANOG26スタッフと擦り合わせする場に本記事の執筆者である私も同席させてもらいました。

現状、仮のお題目として「インターネットインフラに関する妄想」ということを聞いていたのですが、一体どんなあきみちワールドな話が聞けるだろうかと思ってちょっとドキドキしながら取材当日を迎えました。

右から2番目があきみちさん
右から2番目があきみちさん

インターネットの未来は暗い?!

お会いした時の第一声は、⁠インターネットってそろそろやばい状況になってきているかも知れませんね。」ということでした。正直なところ私としては、確かにIPv4のアドレスの枯渇問題やセキュリティに関する諸問題は時々耳にするものの、技術は急速に発展してきたのでインターネットを脅かすほどの問題ではないと漠然と思っていました。

しかし、話を伺ってみてわかったことは、インターネットは本質的なところに矛盾を抱えていて、それがインターネットを支えきれないくらい大きな問題になる可能性があるということでした。

その背景は、⁠インターネット上のコンテンツは高品質な映像にシフトしてきていて、それらを世界中へ流すためにネットのインフラ設備の増強が迫られている」⁠それには技術革新が進んで、低コスト・高帯域の設備を増強していければよいが、帯域速度の成長スピードは2005年くらいから遅くなっているような感じである」⁠今ようやく、先進的な企業において100Gイーサネット商用化の目処がついたくらいでは、この先インターネットトラフィックの成長スピードに追いつけないのではないか」ということでした。

「一方では、通信業界も競争が激しくてなかなか値上げはできないだろうし、今後インターネットはどうなるだろうか...」とも。

白熱する議論!

そこでこの日集まったメンバーでいろいろな妄想が始まり議論が白熱しました。

「たとえば従量課金をするインターネットサービスプロバイダ(以下ISPと表記)が出てきたらどうなるだろうか」という仮説もありました。それに対しては、⁠数%のユーザが多くの帯域を消費していると言われつつあるけれど、多くのユーザにとって広帯域よりも安い方が重要ではないだろうか」⁠料金制度としては携帯電話会社の方法(ダブル定額のようなもの)もアリだよね」という話が出ました。

さらには、⁠通信事業者とコンテンツ事業者のどちらの主張が通るかで、今後のインターネットは変わるかもね」⁠トラフィックを吐き出すGoogleに代表されるようなコンテンツ事業者がトランジットサービスを提供しはじめてTier1になったら業界構造変わっちゃいそうだよね」というような話に発展しました。

インターネットの世界は奥が深いなー!

「だけど、設備増強等の単純な(力技的な)方法では解決できないような問題がインターネットには潜んでいるよね。全体的な仕組みを変えていかなくてはならないかもしれないね」という技術的な話も出ました。

たとえば、つい最近でも、1つの通信事業者あるいはISPが何らかのきっかけでネットワーク上のパケットを吸い込んで世界のインターネットの通信を不安定にしてしまった事件が発生しました。

おそらく、ネットワーク上の機器のBGP[1]の設定をミスしたのではないかと考えられています。

この件に関しては「設備増強というよりも、ひょっとしてBGPの通信規約そのものを直さなければならない問題を抱えているのではないか」⁠そうなるとISPが単体で解決出来なさそうだし…(どうしたらいいのだろうねー⁠⁠」という話にも発展しました。

この日は大まかなプログラム内容の方向性を決めるための顔合わせだったため、ざっくばらんに話はその他にもいろいろな方面へ発展し、 昔はよかったね的な懐古ネタも盛り上がり、テレホーダイの時代ってなんか幸せだったよねとか、今も昔もやっぱりネットの主流はアダルトコンテンツだよねとか、変な方面にも脱線して、しかしとても充実した時間が過ごせました。

きっとJANOG26の当日もこんな感じで話が弾んでいくのだろうなと感じることができ、読者の皆さんにも是非ともナマあきみちさんに会いに来てほしいと思いました。

Twitterでつぶやいて!!

あきみちさんは、発表ぎりぎりまで妄想しているとのことですので、ひょっとしたら皆さんのつぶやきを見てなにかひらめくものがあるかもしれません。こんなことが聞きたいとか、僕はインターネットの世界が将来こうなる、こうすべきだと思う、というような妄想があればぜひとも#janog26を入れてつぶやいてみてくださいね。

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