そろそろLDAPにしてみないか?

第20回 OpenLDAPの冗長化対策【2】

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最初に

前回「基本形」としてお伝えしていたOpenLDAPのsyncrepl機能ですが,まずは記事の内容で少し補足です。

これまで「マスターとなるサーバはサプライヤ,スレーブとなるサーバはコンシューマ」と記述していましたが,OpenLDAPの場合はそれぞれ,プロバイダ,コンシューマと呼ぶのが一般的でした。サプライヤという用語も間違いでは無いのですが,こちらは主にSun Java Directory ServerやRed Hat Directory Serverなどで使用されている用語ですので,OpenLDAPに合わせるためここからは「プロバイダ」に統一するようにします。

syncreplが提供するレプリケーション

一般的なデータベースの冗長構成ではデータの完全同期が期待さることが多いかもしれません。たとえば,2台のDBサーバが存在したとして,完全同期のレプリケーションでは,クライアントが一方のサーバに新規データを登録した瞬間に最新のデータが2台のDBサーバ上に作成されていると保証されますので,すべてのクライアントはどのDBサーバに接続しても常に同じ結果を得ることができます。

一方,非同期のレプリケーションでは常に同じデータが全サーバに保存されているとは限らないため,DB登録の1分後に最新データがもう一方のDBサーバに反映される可能性もあります。

OpenLDAPのsyncrepl機能もまた非同期のレプリケーションですが,設定次第で

  • 極力リアルタイムにレプリケーションを行う
  • 適度なインターバルをもってレプリケーションを行う

といったことが可能です。通常の用途では前者を選択することが多いと思いますが,たとえばデータの更新頻度が少ない環境で,1時間など長めのインターバルを持たせておくことにより,サーバ負荷の軽減につながるのはもちろんのこと,誤ってプロバイダ側のデータを削除してしまった場合でも,最大1時間以内であればコンシューマ側に以前のデータが残っているため随時ロールバックを行うことができるようになるという特徴もあります(運悪く,事故発生直後に同期が行われてしまうとロールバックもできませんが…)。

refreshOnlyとrefreshAndPersist

前述の2通りのレプリケーションですが,具体的にはslapd.conf中のrefreshOnlyとrefreshAndPersistという項目が設定の鍵になります。

refreshOnlyを指定する場合,コンシューマは定期的にプロバイダの389/tcpにTCPセッションを張ることでデータの同期を試みます(polling方式)。

一方,refreshAndPersistの場合は文字通り接続の維持が行われるため,コンシューマはプロバイダの389/tcpにセッションを張り続け,更新データの有無をリアルタイムにプロバイダから受け取ることができます(listening方式)。では,それぞれの具体的な設定を見ていきましょう。

まず,プロバイダ側で準備する内容はリスト1の通りで,それほど特別な設定は必要ありません。

リスト1 プロバイダ側の/etc/openldap/slapd.conf

# レプリケーションのためのインデックス(後述)
index entryCSN,entryUUID eq 
index objectClass        eq,pres

# syncrepl用のモジュールをロード
overlay         syncprov

次に,コンシューマ側はリスト2,3のようになります(わかりやすいよう各所にコメントを入れていますが,実際にはこの場所にコメントは許されていないため注意してください)。

リスト2 refreshOnly時の設定(5分間隔で同期を行う)

syncrepl rid=100                        # コンシューマ識別ID(数字3桁)
  provider=ldap://10.0.100.21:389       # プロバイダの接続先とポート
  type=refreshOnly                      # レプリケーション方式(定期的な更新確認)
  interval=00:00:05:00                  # 接続間隔(5分)
  searchbase="dc=example,dc=com"        # 同期を行う対象の検索ベース
  bindmethod=simple                     # 認証モード
  binddn="cn=Manager,dc=example,dc=com" # バインドDN
  credentials=secret                    # バインドパスワード

リスト3 refreshAndPersist時の設定(なるべくリアルタイムに同期を行う)

syncrepl rid=100                        # コンシューマ識別ID(数字3桁)
  provider=ldap://10.0.100.21:389       # プロバイダの接続先とポート 
  type=refreshAndPersist                # レプリケーション方式(接続維持を行う)
  retry="5 10 300 +"                    # 接続失敗した場合のリトライ間隔
  searchbase="dc=example,dc=com"        # 同期を行う対象の検索ベース
  bindmethod=simple                     # 認証モード
  binddn="cn=Manager,dc=example,dc=com" # バインドDN
  credentials=secret                    # バインドパスワード

著者プロフィール

中満英生(なかみつひでお)

大学時代に出会ったSolarisがきっかけでUNIXの世界へ。その後ホスティングプロバイダ,データセンターで実務経験を積む傍ら,雑誌記事の執筆や技術セミナーの講師を務める。サーバ設定の他,セキュリティに関する著作や技術者エッセイも執筆経験あり。

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