LinuxCon Japan/ Tokyo 2010の歩き方

第5回Linuxカーネル開発プロセスが企業にもたらすもの─Greg Kroah-Hartman

Linuxカーネル開発に10年以上携わっています

私はこれまで10年以上Linuxカーネルの開発に携わってきました。当初はUSB標準化作業に関わっており、カーネルのUSBドライバ部分のコントリビューションをしていました。それ以後security model layer、USB、ドライバコア、sysfs、I2C、PCI、PCI Hotplugを含むhotplug全般、staging tree、その他ドライバ関連分野を中心に携わって来ました。

現在では、数週間ごとにリリースされるStableカーネルリリースのメンテナをしています。加えて、ドライバコア、tty layer、USB、sysfs、staging tree等のメンテナも務めています。

私の現在の仕事は、Novellにおいてハードウェアメーカと協力し、彼らのシステム上でLinuxが正しく動作するためのドライバを開発することです。Novellは私がカーネル開発に注力できる環境を整えてくれており、それには心から感謝しています。

カーネル開発の現在

Linuxカーネルの開発状況は現在とても良好です。Linux Kernelの開発コミュニティは継続的に成長しています。ほぼ3ヵ月ごとに行われる各リリースには、1,000人を超える技術者がコントリビューションをしています。

また、リリースに携わる企業も増加しており、現在では各リリースに200を超える企業がコントリビューションしています。これは、カーネル開発がいかに幅広く、膨大な数にのぼる企業や開発者によって行われているか、そしてどれほど皆の結びつきが強いかを示しています。

Stable Kernel Branchの「Stable」とは?

LinuxCon Japanで私は『Linuxの開発プロセス』について語ります。

Linuxカーネル開発にはこれまで「Stable Kernel Branch」が存在してきました。ところが過去5年間においては、このStable Kernel Branchは人々が一般的にイメージする「Stable」とはかけ離れたものになっています。

私の講演では、Linuxカーネルの各Branchでどのような開発が行われているか、その中においてどのようなStable Kernel Branchを管理する論理やルールがあるのかについて紹介します。さらにはなぜ企業は彼らの製品開発/サポートをコミュニティに任せてコントリビュートできるか、またなぜそうすべきなのかについてお話しする予定です。

東京で会いましょう

私は東京に来るのが大好きなので、日本がこのような大きなカンファレンスをホストしていくことを非常にうれしく思っています。日本におけるカンファレンスが今後も継続し、拡大して行くことを願っていますし、また私自身も、今後もできるだけ多く訪日できることを願っています。

LinuxCon Japan:Greg Kroah-Hartmanさんのセッション
「The Stable Linux Kernel Tree, Delivering a Stable Platform on a Constantly Moving Base」
URL:http://events.linuxfoundation.org/2010/linuxcon-japan/kroah-hartman

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