Pacemakerでかんたんクラスタリング体験してみよう!

第1回 Pacemakerの歴史を見てみよう!

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Pacemakerってどうやって生まれてきたの?

ここでPacemakerの歴史を紹介しましょう。

Pacemakerは,同じくオープンソースであるHeartbeatの後継ソフトウェアです。1999年に最初のHeartbeatがリリースされ,Heartbeatバージョン1.0は2003年にリリースされました。この時点では,相手ノードを監視するなどのクラスタ制御機能しかありませんでしたが,リソース制御機能をもったHeartbeatバージョン2が2005年にリリースされたのです。

このままバージョン3が開発されるのかと思いきや,Heartbeatのリソース制御機能(CRM:Cluster Resource Manager)のメンテナであった Andrew Beekhof(アンドリュー・ビーコフ)氏は,2007年にリソース監視機能を「Pacemaker」という新プロダクトとしてHeartbeatから独立させることを宣言しました。そして2008年にPacemakerバージョン1.0がリリースされたのです。

これってコミュニティの喧嘩別れ?と後ろ向きに思ってしまうかもしれませんが,そうではありません。コンポーネントの共通化を行い,このリソース制御機能を他のクラスタ制御機能のソフトウェアでも利用できるように選択肢を増やそうという前向きな考え方なのです!

"Heartbeat"が心拍・鼓動を意味する言葉に対し,この新プロダクトを脈拍調整器の意味である"Pacemaker"とネーミングしたのは,センスとしてまずまずですね。

そのPacemakerですが,前述のとおりリソース制御機能のみなので,単独ではHAクラスタとして動作しません。他のクラスタ制御機能を持つソフトウェアと組み合わせる必要があり,現在は選択肢が2つあります。

1つは,Heartbeatバージョン2からリソース制御機能が削られたHeartbeatバージョン3です。面白いことにバージョン3と番号は上がったのに単独機能は縮小してしまいましたが,クラスタ制御機能としてこれからもメンテナンスされていきます。

もう1つは,OpenAISコミュニティで開発されているCorosyncです。Pacemaker はこの「Heartbeatバージョン3」「Corosync」のクラスタ制御機能が選択可能です。

Pacemakerはこのように単独で動作させるのではなく,複数のコンポーネントの組み合わせとして提供されるため,プロダクト名は「Pacemaker ぷらす……」って呼ぶの?という疑問が起こるかもしれません。これについては,プロモーション的にもなんて呼ぶことにするか相当悩まされました。

悩みに悩んだあげく,⁠Pacemaker+Heartbeatバージョン3」「Pacemaker+Corosync」もLinux-HA Japanプロジェクトでは,⁠Pacemaker」と呼ぶことにしています。⁠Heartbeat」⁠⁠Heartbeatバージョン2」⁠⁠Pacemaker」と進化したと考えてください。

図5 コンポーネントの組み合わせ

図5 コンポーネントの組み合わせ

Linux-HA Japanプロジェクトって?

第1回目の連載最後として,Linux-HA Japanプロジェクトを紹介します。

Linux-HA Japanプロジェクトは,Pacemakerの前身であるHeartbeatの日本における更なる普及展開を目的として,2007年に「Linux-HA(Heartbeat)日本語サイト」の設立からコミュニティ活動が旗揚げされました。Pacemaker移行にあたり,プロジェクトではPacemaker情報の公開用として新しいウェブサイトを2010年にオープンし,勉強会,イベント情報など随時サイトを更新しています。

Linux-HA Japanプロジェクト
URL:http://linux-ha.sourceforge.jp/

メーリングリストではPacemaker,Heartbeatバージョン3,Corosync,DRBDなど,HAクラスタに関連する話題は何でも歓迎です。マニアックなクラスタ構成をしてみた話などぜひぜひ投稿してほしいですね!

ということで,Pacemakerの概要と歴史を紹介しましたが,いかがでしたでしょうか?次回は,実際にPacemakerのインストールといくつかの設定を行い,その手順を解説する構築基本編を紹介したいと思います。

コラム:Pacemakerロゴあれこれ[その1]

もともと本家Pacemakerのサイトのロゴはこれでした。

図6 本家Pacemakerロゴ

図6 本家Pacemakerロゴ

しかしこれではいかにも医療機器なので,印象が良くありませんよね。そのため,Linux-HA Japanプロジェクトでは,独自にPacemakerのロゴやバナーを作成しました。

図7 Linux-HA Japanオリジナルロゴ・バナー

図7 Linux-HA Japanオリジナルロゴ・バナー

これって何をイメージしているかわかりますか?2011年の干支でもあるウサギをイメージしているのです。なぜウサギなのか? マラソンではペースメーカーの事をラビットとも言います。これを逆手にとりました。躍動感・スピード感あふれるウサギをイメージしてロゴが作成され,Linux-HA Japanプロジェクトの顔となったのです。

そしてこのロゴにも思わぬ異変が? 次回連載コラム「Pacemakerロゴあれこれ[その2]⁠へ続く…。

著者プロフィール

田中崇幸(たなかたかゆき)

NTTオープンソースソフトウェアセンタ所属。Linux-HA Japanプロジェクト旗揚げメンバーであり,Pacemaker普及促進のためオープンソースカンファレンスでの講演で全国行脚中。

もうひとつの顔は念願のサブスリーを達成したばかりの市民マラソンランナー。

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