手軽な仮想サーバ「さくらのVPS」を徹底チェック

第2回 さくらのVPSの魅力を検証する

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1台の物理サーバを複数の仮想サーバに分割して提供するVPS(Virtual Private Server)サービスとして,さくらインターネットが開始したのが「さくらのVPS」です。980円という圧倒的な低価格を実現しつつ,自由度の高い運用が可能で,さらにパフォーマンス面でも大きなアドバンテージを持つサービスとなっています。今回は,実際にさくらのVPSを使いながらその魅力に迫ります。

用途が広がるシリアルコンソールとVNCコンソール

VPSではroot権限が提供されるため,ソフトウェアをインストールして実行する,あるいはOSの設定を書き換えるといったことが自由に行えます。さくらのVPSでも当然root権限は提供されますが,それに加えてシリアルコンソールが提供されているため,ハードウェアに近いレイヤーで仮想サーバを操作できるという大きな特徴があります。

シリアルコンソールとは,シリアルポートを経由してサーバを操作する仕組みです。さくらのVPSでは,仮想的なシリアルコンソールがコントロールパネル上に用意されているため,物理サーバに対してシリアルポート経由でアクセスするのと同様の操作が可能になっています。

実際にシリアルコンソールを使っているところが図1の画面です。OSが起動している途中であり,SSH接続などでは見られないメッセージですが,仮想的なシリアルコンソールが用意されていることで,起動プロセスの内容をチェックすることが可能になっているわけです。また,シリアルコンソールは仮想サーバ上のOSがネットワークに接続されていなくてもログインできるため,たとえば仮想サーバをネットワークから切り離し,安全な状態にした上でセキュリティ関連の設定を行うといったことが可能です。

図1 シリアルコンソールを使って,CentOSの起動メッセージをチェックしているところ

図1 シリアルコンソールを使って,CentOSの起動メッセージをチェックしているところ

さらに,VNCクライアントの機能が提供されていることにも注目です。このため,GUIを使ってサーバを操作したいといった場面にも対応します。

このシリアルコンソール,あるいはVNCコンソールを使ってブートローダーであるGRUBを操作するといったことも可能です。これにより,OSのインストールイメージから仮想サーバを起動し,インストーラを立ち上げるといったことができてしまいます。つまり,標準でインストールされているCentOS 5 x86_64とは異なるOSで,さくらのVPSを使うことも不可能ではないというわけです(ただし,こうした使い方は当然サポート外となります)⁠

図2 シリアルコンソールを使ってUbuntuをインストールしているところ

図2 シリアルコンソールを使ってUbuntuをインストールしているところ

図3 デスクトップ環境を組み込んだUbuntuにVNCコンソールを使ってログインしたところ。当然Firefoxなど各種アプリケーションも利用できる

図3 デスクトップ環境を組み込んだUbuntuにVNCコンソールを使ってログインしたところ。当然Firefoxなど各種アプリケーションも利用できる

そしていよいよ10月8日より,多様なOSを選択できる「カスタムOSインストール」の機能の提供が開始されました。標準のCentOS x86_64に加え,Ubutu 10.04や FreeBSD 8.1,Debian 5.05,Fedora 13が用意されており,さらにそれぞれ32ビット版と64ビット版が提供されています。これによりユーザは全5種,10バージョンのカスタムOSを自由に選べるようになったわけです)⁠

VPSコントロールパネルから,簡単にOSを入れ換えられるのもポイントでしょう。⁠OS再インストール」ボタンをクリックすると,画面上に「カスタムOSインストールへ」というリンクが表示されるので,これをクリックして表示されるページで,インストールするOSを選ぶことができます。これまで,さくらインターネット代表取締役社長の田中邦裕氏を含む有志の手によって,CentOS以外のOSをさくらのVPSにインストールする方法が紹介されてきましたが,これからはVPSコントロールパネルで簡単にOSを選ぶことができます。

ただ,さくらのVPSにおける標準OSはあくまでも「CentOS x86_64」であり,それ以外のOSでは一部の機能を利用できないという制限がある点には注意が必要です。具体的にはシリアルコンソールが正常動作の保証外になったり,あるいはユーザによる設定が必要になるとのこと。また,CentOS x86_64以外では,コントロールパネルからパスワードを変更することができないという制限もあります。

しかし,こうした制限があったとしても,OSを選べるようになったメリットは大きいでしょう。普段管理しているOSと違う,ということから敷居の高さを感じていたユーザも,カスタムOSの提供によってさくらのVPSの印象は大きく変わるのではないでしょうか。

※)
ユーザー自身で各OSのインストーラでインストール作業をしなくてはなりません。

表1 さくらのVPSでインストールできるOS一覧

 機能制限の有無
OS分類OS種類/バージョン「VPSホーム」
ページ閲覧
ディスクパーティションの指定リモートコンソールの利用コントロールパネル
からのパスワード設定
標準OSCentOS 5 x86_64(64bit版)×シリアル/VNC
カスタムOSCentOS 5 x86_64(64bit版)シリアル/VNC×
CentOS 5 x86 i386(32bit版)シリアル/VNC×
Ubuntu 10.04 amd64(64bit版)シリアル/VNC×
Ubuntu 10.04 i386(32bit版)シリアル/VNC×
FreeBSD8.1 x86 amd64(64bit版)VNCのみ×
FreeBSD8.1 x86 i386(32bit版)VNCのみ×
Debian 5.05 amd64(64bit版)シリアル/VNC×
Debian 5.05 i386(32bit版)シリアル/VNC×
Fedora 13 x86.64(64bit版)シリアル/VNC×
Fedora 13 i386(32bit版)シリアル/VNC×

※:ユーザーによる設定作業が必要

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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