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第43回 イー・モバイルによるネットワーク接続

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8.10でのS11HTの利用

イーモバイルの音声端末の中には,Windows Mobileを搭載したHTC製のスマートフォンが存在しています。これらのスマートフォンは相手がWindows機であれば,USBケーブル経由でActive Sync(Windows XP)やMobile Center(Windows Vista)などを通じ,インターネット共有を提供することができます。

しかし,これまではこの機能をLinux上から利用することはできませんでした。Windows Mobileデバイスのインターネット共有を利用した接続では,クライアントとなる側(この場合はPC側)にRNDIS関連の実装が必要だからです。Ubuntu 8.10で利用されるLinux Kernel 2.6.27(Ubuntuのパッケージとしては linux-image-2.6.27-7-generic )から,RNDISがカーネル上で有効になり,これらのデバイスを利用したインターネット接続が可能になりました注2)⁠

$ dpkg -L linux-image-2.6.27-7-generic | grep rndis
/lib/modules/2.6.27-7-generic/kernel/drivers/net/usb/rndis_host.ko
/lib/modules/2.6.27-7-generic/kernel/drivers/net/wireless/rndis_wlan.ko

ここではS11HT(EMonster; HTC Kaiser(TyTNII)⁠を利用してUbuntuからイーモバイル回線を利用する方法を説明します。

まずS11HTとUbuntuを実行しているPCをUSBケーブルで接続します。この時点でUbuntu側からはネットワークインターフェースが1つ増えた状態に見えるはずです。/var/log/messagesでは以下のように認識されているでしょう。

Nov  2 14:42:05 mizar kernel: [ 5297.164063] usb 4-2: new full speed USB device using uhci_hcd and address 12
Nov  2 14:42:05 mizar kernel: [ 5297.334210] usb 4-2: configuration #1 chosen from 1 choice
Nov  2 14:42:05 mizar kernel: [ 5297.519843] eth1: register 'rndis_host' at usb-0000:00:1d.0-2, RNDIS device, 80:00:60:0f:e8:00

ただし,このままではifconfigで見ても以下のようにIPアドレスが解決されておらず(APIPAレンジのアドレスが付与されています)⁠通信は行えません。

eth1      Link encap:イーサネット  ハードウェアアドレス 80:00:60:0f:e8:00  
          inetアドレス:169.254.2.2  ブロードキャスト:169.254.2.255  マスク:255.255.255.0
          inet6アドレス: fe80::8200:60ff:fe0f:e800/64 範囲:リンク
          UP BROADCAST RUNNING MULTICAST  MTU:1500  メトリック:1
          RXパケット:24 エラー:14 損失:0 オーバラン:0 フレーム:2
          TXパケット:42 エラー:0 損失:0 オーバラン:0 キャリア:0
          衝突(Collisions):0 TXキュー長:1000 
          RXバイト:2076 (2.0 KB)  TXバイト:8184 (8.1 KB)

以下はS11HT側で操作を行います。プログラムの中にある「CommManager」図12で,⁠インターネット共有」の設定画面を開きます。

図12 CommManager

図12 CommManager

この状態で[接続]をタップします。

図13 インターネット共有

図13 インターネット共有

これによりS11HTのインターネット接続がUSB接続したPCにも提供されるようになります。PC側のインターフェースには192.168.0.*のIPアドレスが付与されるはずです図14)⁠

図14 インターネット共有による接続

図14 インターネット共有による接続

筆者は確認できていませんが,同様の接続形態をとるS12HT・S21HTなどでも同様の方法で利用できるかもしれません。

注2)
厳密には,2.6.27以前であっても,SynCEプロジェクトの成果物であるndis-liteドライバを導入することで接続は可能でした。ただし,rndis-liteドライバを利用するには個別にドライバをビルドする必要があり,かなり面倒な状態でした。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

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