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第87回 Stellariumで星空を眺める

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9月に入り、夏休みももう終わり、そろそろ夏休みの宿題に取りかかっても良さそうな時期になってきました。そこで今回は自由研究の定番である「天体観望」を疑似体験できるプラネタリウムソフトウェア「Stellarium」を紹介します。

Stellariumとは

Stellariumは,フランスのFabien Chereauが中心となって開発している,フリーソフトウェアのプラネタリウムソフトウェアです。直感的なインターフェースを用いた使い勝手の良さやOpenGLを使った綺麗な描画を特徴としており,以下のような機能を備えています。

  • 標準で60万個,最大200万個まで追加可能な天体カタログ
  • 88星座(や各地域の伝統的な星座)の星座線や星座絵の表示
  • 惑星の表面をリアルタイムに描画
  • 天体ごとの詳細情報の表示
  • メシエ天体の画像表示
  • 天の川の表示
  • ランダムな星の瞬きや,流れ星を再現
  • 赤道座標系,地平座標系の座標線の表示
  • 地平線を示す背景画像の変更機能
  • プロジェクタを用いたドーム投影用の描画方式への変更機能
  • 望遠鏡を操作する機能

OpenGLを使っているために,Stellariumを使用するには3Dアクセラレーションの効いたグラフィックボードとその能力を発揮できるドライバが必要になります。デスクトップ効果を有効にできるマシンであれば,性能的には問題なく動作するはずです。もし,Ubuntuで動作しない場合は,Windows版やMac OS X版も提供されていますので,そちらを試してみるのも良いでしょう。

昨年の0.10.0リリースされてから,UIがQtベースに移行し(0.10.2の時点でQt4ベース),検索窓で日本語入力が可能になるなど,使い勝手が大きく向上しています。

インストールと起動と終了

インストールはSynapticや「追加と削除」でstellariumパッケージを選択するだけです(データファイルなどが格納されたstellarium-dataパッケージも同時にインストールされます)。インストール後は[アプリケーション][教育・教養][Stellarium]を選択すれば起動します。

初回起動時はフルスクリーンで表示されます。これは,F11キーで切り替えることが可能です。常にウィンドウモードで起動したい場合は,~/.stellarium/config.iniファイルのfullscreenをfalseに設定します。

[video]

distorter                           = none
fullscreen                          = false
horizontal_offset                   = 0

9月9日20時頃の東京の夜空。こと座のベガをはじめとする夏の大三角や木星が見える。

9月9日20時頃の東京の夜空。こと座のベガをはじめとする夏の大三角や木星が見える。

画面の下部の座標や日付が表示されている部分にカーソルキーをあわせると,描画系の設定ツールバーが表示されます。星座線,星座絵,座標系の表示の切り替えはここで行います。画面左端にカーソルをあわせると,設定系のツールバーが表示されます。ここでは,現在地の座標や時刻,背景画像の変更,環境設定が行えます。

1時間/1日/1週間分時計を進める/戻す,拡大/縮小といった,一通りのことはショートカットキーに割り当てられています。ショートカットキーの一覧は「ヘルプ画面 [F1]」を見てください。終了するにはCtrl+Qもしくは右上の閉じるボタンを押します。

日本語フォントの設定

Stellariumは一部のUIに英字フォントが使われるために,スプラッシュ画面の読み込みラベルや天体と方角に付くラベルの日本語部分が化けてしまいます。そこで,以下に示す手順で,標準で使われるフォントを変更します。

最初に,StellariumのデータフォルダにUbuntu標準の日本語フォントであるVLゴシックへのシンボリックリンクを作成します。端末で以下のコマンドを入力してください。なお,ここではVLゴシックを例示していますが,日本語のTrueTypeフォントであれば他のフォント(例えばIPAフォント)でもかまいません。

$ cd /usr/share/stellarium/data
$ sudo ln -s /usr/share/fonts/truetype/vlgothic/VL-Gothic-Regular.ttf VL-Gothic-Regular.ttf

次にStellariumのフォント設定ファイル(/usr/share/stellarium/data)で,標準のフォントに先ほど作ったシンボリックファイルを指定します。以下のコマンドでエディタを起動します。

$ gksu gedit /usr/share/stellarium/data/fontmap.dat

defaultの行を次のように変更してください注1)。

# Default font
#
default    VL-Gothic-Regular.ttf   1   VL-Gothic-Regular.ttf   1

これでStellariumを起動すると,スプラッシュ画面や「東西南北」「月」などのラベルが日本語で表示されるようになります。

注1
設定ファイル内では絶対パスも使えると書いてありますが,0.10.2では使用できません。ここで設定したファイル名はすべて,data/ディレクトリからの相対パスとして扱われます。次のバージョンでは,フォント周りの仕様が整理され,fontmap.datによる設定そのものが必要なくなる予定です。

地域の設定

星空は観測場所と時刻によって見え方が変わるので,プラネタリウムソフトウェアでも「自分が現在観測している場所の緯度と経度と高度」を正しく設定することが重要になります。Stellariumでは「現在位置 [F6]」で,設定できます。あらかじめ日本の各都市の緯度・経度・高度も登録されていますので,「Japan」などで絞り込んだ上で設定してください注2)。「標準として設定する」にチェックマークを入れると,設定ファイルに反映されます。

ちなみに,地球以外の観測地点を設定することも可能です。惑星欄で「Mars」を選択した上で,「空と見た目の設定 [F4]」「背景」「Mars」を選択すると,なんちゃって火星旅行が楽しめます図2)。

図2 Husband Hillの山頂からの眺め。空の色は地球のものをそのまま流用しています。下にいるのは火星探査機Spiritです。

図2 Husband Hillの山頂からの眺め。空の色は地球のものをそのまま流用しています。下にいるのは火星探査機Spiritです。

注2
自分の現在地の経度・緯度を調べたい場合,国土地理院のサービスであるウォッちずで地図を表示させた上で,地図をダブルクリックすると緯度・経度情報を調べることができます。また,Google マップで特定の地点を中心にもってきた上で,「リンク」を表示させるとURLの中に緯度・経度情報(sll=の値)が度単位の十進数表記で埋め込まれています。高度については,同じGoogle マップ内の「地形」情報を使えば20m単位で得られます。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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