Ubuntu Weekly Recipe

第125回 Simple ScanとXournalで電子書類を扱う

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ペーパーレス,書類の電子化といったことは,10年以上も前から言われてきました。筆者も昔からPDAで本を読んできましたが,おせじにも使いやすいものとは言えませんでした。PDAでの読書は場所をとらないといったメリットはあるものの,やはり「紙以上に使いやすい電子デバイスの登場」を待つ必要があるなということを,筆者は常々思っています。しかしKindleやiPadの登場で,一つの転機が訪れつつあるのかもしれません。

そこで今週のレシピは,Ubuntu 10.04に標搭準載された簡易スキャンアプリSimple Scanと,PDFに追記ができるメモアプリのXournalを使って,デジタル化した書類を扱ってみたいと思います。

Simple Scanとは

Simple ScanはUbuntu 10.04から標準で搭載された,その名のとおり,スキャナを使って図版を取り込むことに特化したアプリケーションです。あくまで取り込んだ図版を画像,あるいはPDF化することだけを目的にしており,トリミングや画像の回転といった機能以外の画像編集能力はもっていません。読み込んだ図版の印刷やメール送信もクリックひとつで行うことができますが,やはりSimple Scan魅力は「大量の書類を一括スキャンし,単一のPDFに吐き出せる」という点でしょう。

トリミングサイズはA4,A5,USレターといった書類のサイズごとのプリセットが用意されており,サイズを設定しておくことで自動的に読み込んだ図版をトリミングすることができます。またオートシートフィーダからの一括読み込みにも対応しており,オートシートフィーダを装備したスキャナであれば,すべてのページを一括してスキャンすることもできます。もちろん手間はかかりますが,フラットベッドタイプのスキャナであっても一枚ずつ手差しでスキャンすることで,複数ページのPDFを作成することが可能です。

図1 ボタンひとつで図版のスキャンが行える「Simple Scan」

図1 ボタンひとつで図版のスキャンが行える「Simple Scan」

まずはスキャナを接続しよう

まずはUbuntuでスキャナを使用できる状態にしておく必要があります。SANEのドライバで動作するスキャナであれば接続するだけで使用可能になりますが,場合によっては別途ドライバの導入が必要です。筆者はEPSONのUSBフラットベッドスキャナ「GT-S620」と,Brotherのレーザー複合機「MFC-8820JN」を使用してみましたが,これらのスキャナもドライバのインストールが必要なモデルです。

GT-S620を接続する

SANEプロジェクトのページを見るとわかるように,GT-S620はAVASYSが公開しているドライバを別途インストールしておく必要があります。しかし,GT-S620は一般ユーザ権限でデバイスを使用することができません。これはAVASYSのドライバがサポートしているスキャナが接続された場合に,/lib/udev/rules.d/40-iscan.rulesの中で,以下の設定がなされることに起因します。

ENV{iscan_matched}="yes"

通常のlibsaneがサポートしているスキャナであれば,/lib/udev/rules.d/40-libsane.rulesの中で以下の設定がなされます。

ENV{libsane_matched}="yes"

iscan_matchedとlibsane_matchedの違いがどこに影響するかというと,/lib/udev/rules.d/70-acl.rulesの中の以下の部分です。

# USB scanners
ENV{libsane_matched}=="yes", ENV{ACL_MANAGE}="1"

このように,libsane_matchedがyesになっていればACL_MANAGEが1になり,結果として /dev 以下に作成されるキャラクタスペシャルファイルに一般ユーザでアクセスができるのですが,AVASYSのドライバによって認識されたスキャナはこの部分にマッチしないため,一般ユーザでの使用ができなくなっています。そこで上記該当部分に

ENV{iscan_matched}=="yes", ENV{ACL_MANAGE}="1"

などと追記することで,一般ユーザ権限でAVASYSのドライバを経由したスキャンが可能になります。

MFC-8820JNを接続する

MFC-8820JNはネットワーク接続で使用できるモノクロレーザー複合機です。MFC-8820JNのスキャナ機能を使用するためには,Brotherの提供するbrscanパッケージをインストールしておく必要があります。brscanスキャナドライバのdebパッケージをインストールしたら,brsaneconfigコマンドで,対象となるスキャナを登録しましょう。具体的には端末から以下のコマンドを実行します。モデル名は8820JNという指定が存在しなかったため,代替として8820Dを指定していますがこれで問題なく動作します。

$ brsaneconfig -a name=(任意の名前) model=MFC-8820D ip=(IPアドレス)

著者プロフィール

水野源(みずのはじめ)

Ubuntu Japanese Teamメンバー。理想のフリーデスクトップ環境を求めて東へ西へ……のはずが,気がついたら北の大地で就職していたインフラ寄りのエンジニア。株式会社インフィニットループ所属。

コメント

  • ご指摘いただき,ありがとうございます。

    Alesh Slovak様,
    ご指摘いただき,ありがとうございます。

    調べてみたところ,動作確認に使用したドライバが2.22.0と古く,古い情報を掲載してしまいました。

    大変申し訳ございませんでした。

    Commented : #2  gihyo.jp編集部 (2010/06/10, 19:09)

  • Re:

    AVASYSのLinuxドライバー開発者です。下手な日本語で申し訳ありません。

    一般ユーザでスキャンができない事に付いてですが、Ubuntu 9.10のベータフェーズでこの不具合に気づいて、9.10のファイナルリリースに合わせて修正版(iscan 2.22.1)をリリースしました。最新バージョン(2.24)をAVASYSからダウンロードすれば問題なし一般ユーザでスキャンができるはずです。

    ちなみに、サードパーティードライバーベンダーとしてudevルールの変更に付いて行く事がとても難しくて、困っています。

    udevにちゃんとしたAPIがなくて、ディストロによって仕組みが微妙に違うので、色んな問題が発生しています。

    Commented : #1  Alesh Slovak (2010/06/10, 14:03)

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