Ubuntu Weekly Recipe

第239回 夏休み特別企画・編集者に夏休みなどない! Ubuntu誌編集者の七つ道具

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Ubuntu Weekly Recipeをご愛読のみなさま,はじめまして。他社の某Ubuntu誌を編集しているさとりつ(仮名)と申します。今回はUbuntuを使って,どのように本誌が製作されているか,その一端をご紹介します。

本当にUbuntuだけで編集してます

思い起こせば,Ubuntuですべてを作業するようになってからまるまる4年が経過しました。今となっては,Windowsは記事での比較検証に使うくらいです。たまに起動するとWindows 7も意外と速いなあ,と思うのですが,ウイルス対策やライセンス調査ツールの常駐監視のうっとうしさやトラブル時からの再セットアップの面倒くささなどに立ち向かう気力が私にはありません。そのため今後も,UbuntuをメインのOSとして使っていくことになるでしょう。

さて,私もこの「Ubuntu Weekly Recipe」は愛読させていただいておりますが,夏休み特別企画と銘打てば「誰得企画」でおなじみですね!? いまどきUbuntuを仕事用のPCに入れて使ってる人なんか珍しくないでしょう,と言わず,しばしお付き合いいただければ幸いです。

図1 明日9月6日に,最新刊のvol.09が発売される某Ubuntu誌Ubuntu Magazine Japan vol.09

図1 明日9月6日に,最新刊のvol.09が発売される某Ubuntu誌『Ubuntu Magazine Japan vol.09』

本連載担当編注
ぜひ皆さん,明日は書店で手に取ってみてください。なお,本誌はアスキー・メディアワークスさんの発行物なのでお間違いなく。

雑誌編集のお仕事は超アナクロ

PC Linux誌とはいえ,雑誌編集の仕事というのは基本的にアナクロな世界です。デザイナーさんは業界標準の『Adobe InDesign』を使っていますが,編集者自身は地道に,画像やテキストなど基本的なデータを揃えるために日々格闘している,と言ってもいいと思います。

そんな誌面づくりの第一歩は「企画」です。著者さんとのメールのやり取りや『Google Drive』のドキュメントでの共同作業で,方向性やネタのすり合わせを行ないます。

ちなみに,連載マンガの入稿も『Google Drive』で行なっています。⁠センセー,原稿まだっすか?」⁠まだ慌てる時間じゃないペン」など,お約束の督促メールの往復ビンタをしなくても,共有フォルダーを覗けば作業の進行具合がわかっていいでしょう,と言ってマンガ家先生が始めてくださったものです。先生の作業状況が逐一把握できてとても便利なのですが,こんなふうに自ら進んでバーチャル缶詰状態になってくださるマンガ家さんを他誌の編集さんが見たらビックリするかもしれません。ありがたいことです。

記事のだいたいの方向性が決まったら「ラフ」を切ります。⁠このページにはタイトル,小見出し,写真とイラストとスクリーンショット(画面キャプチャー)をこの位置に入れて,本文はこの内容を入れる」という誌面の設計図のようなものを作るわけです。ひとつの特集について2~3パターンくらいラフを切ることが多いので,私の場合,手書きで作業したほうが断然早いです。これをデザイナーさんに渡してデザインしてもらうときは,Ubuntu標準のSimple Scanを使って取り込み,PDFにしてメールしています。

図2 Simple Scanのスキャン画面。原稿の複数枚読み取りからPDF化までを少ない手順で実行できるのが修羅場時にはとても便利。自宅のブラザーの安い複合機のドキュメントフィーダーで使えるのもうれしい。ただフィーダーを利用すると,⁠設定]からA4サイズを指定していても,左に余計な白いスペースが付いてしまい,A4サイズではなくなってしまうのが玉にキズ

図2 Simple Scanのスキャン画面。原稿の複数枚読み取りからPDF化までを少ない手順で実行できるのが修羅場時にはとても便利。自宅のブラザーの安い複合機のドキュメントフィーダーで使えるのもうれしい。ただフィーダーを利用すると,[設定]からA4サイズを指定していても,左に余計な白いスペースが付いてしまい,A4サイズではなくなってしまうのが玉にキズ

玉稿をいただいたら原稿整理

ラフを渡すと,デザイナーさんから文字数などを見るためのレイアウト(仮組み)が出ますので,そのPDFをもとに著者さんに原稿執筆に入っていただきます。誤解をおそれず言いますと,だいたい著者さんというのは,執筆中に問題が発生するとTwitterで全世界に向けてボヤいているものなのです。つねにギリギリに設定している締切を守っていただくためには,編集もTwitterでボヤきチェックをして軽い脅しで応戦することが肝要です(?)⁠好みはあると思いますが,自分はHototSilver Bird⁠Chromeの拡張機能)で著者さんの新着つぶやきはポップアップ表示させ,締切をめぐる攻防ができるようにしています。

図3 ⁠Hotot』は12.04のデスクトップにとてもマッチする見た目がいいクライアントで,つい使いたくなるが,環境によってはクラッシュすることが多い。その点では『SilverBird』のほうに軍配が上がる

図3 『Hotot』は12.04のデスクトップにとてもマッチする見た目がいいクライアントで,つい使いたくなるが,環境によってはクラッシュすることが多い。その点では『SilverBird』のほうに軍配が上がる

こうしてセコい編集テクニックを駆使して獲得した玉稿は,掲載前に「内容に誤りがないか」⁠本誌の決まりにしたがった表記になっているか」⁠文字数が合っているか」などを編集部でチェックします。この原稿整理の作業にいちばん時間がかかるのですが,実はいまだに試行錯誤中です。特に物理行と論理行での行数表示を切り替えられて,折り返しの桁数を指定できるエディターがあったら誰か教えてほしいものです(ただし私の脳では永遠にマスターできそうもないEmacsを除く)⁠たまにWindowsで使っていた『秀丸エディタ』が懐かしくなりますが,いまどきのWINEは秀丸を予想以上にきちんと動かしてくれますので,秀丸派は試してみてもいいかもしれません。私はかなり昔のWINEで試して落ちまくったときのトラウマが克服できていないため,もう秀丸を使うことはないと思いますが……。

図4 何年ぶりかでWINEで秀丸を試してみた。個人的には非常に懐かしいインタフェース。Dashから「秀丸」と入力すれば起動するし「grepで置換」も一応使える。ただ,インライン入力ができるようになるきっかけがわからないなど,一部不可解な動きをすることも

図4 何年ぶりかでWINEで秀丸を試してみた。個人的には非常に懐かしいインタフェース。Dashから「秀丸」と入力すれば起動するし「grepで置換」も一応使える。ただ,インライン入力ができるようになるきっかけがわからないなど,一部不可解な動きをすることも

雑誌編集では誌面で使う用語の表記統一のため,複数の原稿ファイルから同じ単語をすべて拾いだして一括で置換,という作業が頻発します。正規表現での検索のしかたを覚えるとすごく便利,というのはうっすら理解しているのですが,あの記号の羅列を覚える余裕が私の脳にあるなら,その代わりにお花の名前やU-15美少女の名前を覚えておきたい気がします。そんなスイーツ脳は,用語の検索と一括置換にregexxer 検索ツールを使っています。このツールを選んだ理由は,ファイルの文字コードがバラバラでもgrepして置換できるというくらいでしたので,きっとほかにもっといいツールがあるにちがいないと物色中です。もちろん,正規表現を使っての検索はほとんどしないので,正規表現を使える人にはたぶん,きっと,もっと便利なツールであろう,と推測します。

図5 おもに「grepで置換」目的で利用している『regexxer 検索ツール』⁠複数行の一括置換はできないが,原稿整理ではそんな作業は滅多に発生しないので,不自由はしていない

図5 おもに「grepで置換」目的で利用している『regexxer 検索ツール』。複数行の一括置換はできないが,原稿整理ではそんな作業は滅多に発生しないので,不自由はしていない

賛否両論ではありますが,誌面は縦組みと横組みの文章がページ内に混在しているため,同じ英単語でも半角・全角を使い分けて表記する必要があります。そこで,原稿のテキストは最終的には目でチェックすることになります。そんなときは,文字数のチェックを兼ね,LibreOffice Writerで原稿テキストを開いて「文字種の変換」メニューを便利に使っています。

図6 結局,原稿チェックはUbuntuスタンダードである『LibreOffice Writer』がいちばんやりやすいという結論に。原稿の文字数をチェックしつつ,あ,ここは半角だった,というときには右クリックから「文字種の変換」でささっと直せるのは他のエディターにはない利点。このソフトがなかったら,本誌は完成しない

図6 結局,原稿チェックはUbuntuスタンダードである『LibreOffice Writer』がいちばんやりやすいという結論に。原稿の文字数をチェックしつつ,あ,ここは半角だった,というときには右クリックから「文字種の変換」でささっと直せるのは他のエディターにはない利点。このソフトがなかったら,本誌は完成しない

著者プロフィール

さとりつ

『Ubuntu Magazine Japan』担当編集。コマンドを絶対覚えようとしない傲慢な初心者っぷりに定評がある。口癖は「だってコマンドを覚えるためにUbuntu使ってるわけじゃないもん」。

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