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第277回 Debian 7.0「Wheezy」の紹介

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皆さま,はじめまして。かわだてつたろうと申します。

普段はDebian JP Project/関西Debian勉強会でおもに関西方面で活動しております。先日リリースされたDebian 7.0「Wheezy」の紹介記事を書きませんか,とUbuntu Japanese Teamの柴田さんよりお誘いを受けまして執筆させていただくことになりました。よろしくお願いします。

今回はDebian 7.0「Wheezy」の紹介です。

UbuntuとDebian

広く知られているように,UbuntuはDebian GNU/Linuxを元に開発されているLinuxディストリビューションです。このためUbuntuとDebianではOSの基盤や構成が似通っています。KernelはUbuntu独自ですが,多くのソフトウェアはDebianと共通です。とくにuniverseとmultiverseのコンポーネントの大半はDebianのパッケージをリビルドした,ほぼDebianの成果物そのものです。Ubuntuを深く使うためにDebianを知ることは役に立ちます。

Debian 7.0「Wheezy」

Debian 7.0「Wheezy」注1は2013年5月4日にリリースされました。

前回,Debian 6.0「Squeeze」がリリースされたのが2011年2月6日になりますので約2年3ヵ月ぶりの最新安定版のリリースとなります。

図1 WheezyのGNOMEデスクトップ環境画面

図1 WheezyのGNOMEデスクトップ環境画面

Linuxカーネルは3.2,FreeBSDカーネルは8.3と9.0,デスクトップ環境はGNOME 3.4,KDE 4.8.4,Xfce 4.8,LXDE 0.5.5が含まれています。その他の主要なソフトウェアは次のとおりです。括弧内はUbuntu 13.04(Raring Ringtail)のバージョンです。

  • Apache 2.2.22(同じ)
  • GIMP 2.8.2(2.8.4)
  • GNU Compiler Collection 4.7.2(4.7.3)
  • Icedove 10.0.12(Mozilla Thunderbirdの商標のないバージョン)(20.0)
  • Iceweasel 10.0.12(Mozilla Firefoxの商標のないバージョン)(17.0.5)
  • LibreOffice 3.5.4(4.0.3)
  • MySQL 5.5.30(5.5.31)
  • OpenJDK 6b27-1.12.5と7u3-2.1.7(6b27-1.12.4と7u21-2.3.9)
  • Perl 5.14.2(同じ)
  • PHP 5.4.4(5.4.9)
  • PostgreSQL 9.1(同じ)
  • Python 2.7.3と3.2.3(2.7.4と3.3.1)
  • Xen Hypervisor 4.1.4(4.2.1)
  • X.Org 7.7(同じ)

Debianは「古い,保守的」と言われますが,同時期にリリースされたUbuntu 13.04と比較してみるとあまり変わりがないことがわかるでしょう注2)。カーネルやデスクトップ環境もUbuntuでは12.10(Quantal Quetzal)から12.04(Precise Pangolin)までに収録されているものですし,カーネルについては3.2以降の新機能はバックポートという形で取り入れられているので,一概にバージョンだけで古いと決めつけられなくなっています。

Wheezyでは,1つのマシンに複数のアーキテクチャのバイナリをインストールし実行できるmultiarchのサポート,音声ガイダンスに対応したインストーラやamd64でUEFIをサポートしたインストールプロセスの改善,ffmpegがlibav-toolsに置き換わりサードパーティリポジトリを不要とするコーデックの追加によるマルチメディア対応の強化,GNOME 3への移行などの変更が行われています。サポートするアーキテクチャは新たにs390xとarmhfを追加し計11種類となり,新たに12,800以上のパッケージが追加され全体のパッケージ数は37,000以上となりました。カーネルはLinuxとFreeBSDの2つのフレーバを採用していますが,FreeBSDカーネルを採用したDebian GNU/kFreeBSDはSqueezeに引き続きテクノロジープレビュー注3のままです。

multiarch サポートはUbuntuが先行して11.10(Oneiric Ocelot)から取り込んでいます。対応カーネル,対応アーキテクチャ数がDebianとUbuntuでは違いますね。

注1)
コードネームWheezyは,赤いボウタイをしたゴム製のペンギンです。Debianのコードネームはアニメーション映画「Toy Story」のキャラクターから採られています。
注2)
IcedoveとIceweaselは極端にバージョンが古いように思われますが,ESR版(Extended Support Release:延長サポート版)が採用されています。LibreOfficeは後述のwheezy-backportsより4.0.3が利用できます。
注3)
テクノロジープレビューは,Linux版の品質に追いつこうとしている段階で,先進的なデスクトップ機能のいくつかがサポートされていない状態にあります。――Debian GNU/kFreeBSD on the desktop status

著者プロフィール

かわだてつたろう

Debian JP Projectメンバー。普段は関西Debian勉強会で活動中。

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