Ubuntu Weekly Recipe

第323回 1週(2週?)遅れのGW特別企画!・ECS LIVAでUbuntuを使う

この記事を読むのに必要な時間:およそ 6 分

ECS LIVAは,1万8,000円前後で入手できる,Bay Trail-M搭載の小型PCベアボーンキットです。非常に簡単な組み立て(いわゆる「プラモデルよりも簡単」というレベル)だけで,メモリやストレージ・WiFiカードなども同梱されているため,単体でPCとして機能します。

ECS LIVAのスペックなど

筆者が購入した個体は次のスペックのものです。

LIVA-B3-2G-32G

Main SoCCeleon N2806(Stepping:B3)
Memory2Gバイト
Storage32GバイトeMMC
WiFi/BluetoothAzureWave AW-NB136NF (SDIO, Half Size PCI Express Card Form Factor) Broadcom BCM43142; 802.11a/b/g/n+Bt 4.0

搭載されているCeleron N2806はCeleronの名前を与えられていますが,SoCとしてはBay Trail-Mで,タブレットに搭載されているAtom Z36xx/Z37xxシリーズと同じチップです。販売領域が異なるのでAtom ZではなくCeleron Nのシリーズ名を与えられているだけで,コア数や周波数,各種インターフェースなどが異なるバリエーション製品です。

端的には,⁠Atom搭載Windowsタブレットから,液晶とバッテリーを除去したもの」という構成だと思って良いでしょう。

ECS LIVAは,出荷ロットによってSoCや搭載メモリ・ストレージなどは拡張されて行く,という宣言が行われているため購入時期によって仕様が異なる可能性があります。筆者が購入した個体の場合,通常動作周波数1.58GHz,一時バースト2GHz,コア数2のBay Trail-Mが搭載されていることになります。通常周波数1.58GHzと聞くとやや非力にも思われますが,Atom Z37xx搭載のWindows 8タブレットのバースト状態の周波数とおおむね同等で,⁠日常的な」OSの利用にはまったく支障ありません。VT-xにも対応しているため各種仮想化ホストとしても利用できます(とは言え,メモリは2Gバイトなので少々厳しいものがあるのですが)⁠

気になるCPUパフォーマンス等は置いておいて,先に進みましょう。

Ubuntu導入の可否

ストレージに制約があるとは言え,x64に対応し,かつ2GバイトメモリのPCが2万円以下で購入できるPCキット,となると,全体コストに占めるOSの値段が気になってきます。Bay Trail-M世代のタブレットPCではMicrosoft/Intelの戦略的値引きの結果,LIVAと同等の構成に液晶とバッテリーが付き,さらにWindows 8.1とMicrosoft Officeがついて約4万円,という相場が形成されているものの,LIVAに利用できるようなDSP版Windowsにはこうした特例はなく,⁠1.8万円の本体に1.2万円前後のWindows 8.1を追加する」という,なんとなく本末転倒な気配が漂う選択をする必要があります。

こうした時に,Ubuntuの「無料で利用できる」という特性が役に立ちます注1)⁠

……と考えたときに気になるには「LIVAにはUbuntuを導入することができるのか」という点ですが,ECS LIVAのマニュアル(USER GUIDE。ペラ紙ではなく小冊子スタイルのマニュアル)には「Ubuntu 13.10がインストール可能」という記述とともに,なぜかhttp://cdimage.ubuntu.com/daily-live/current/へのリンクが掲載されています。開発時期が2013年10月よりも遅いことはあまり考えられないので,⁠単にURLをまちがえた」のか,⁠13.10のつもりで14.04開発版でテストしてしまった」のかはよくわかりません。……よくわかりませんが,とりあえずUbuntuが利用できそうだ,ということがわかります。

LIVAを実際に動作させたところ,⁠いわゆるBIOS」AMI Aptio(UEFI実装の中でも非常によく見掛けられるものの一つ)で,UEFI/CMOS(BIOS互換)の両方をサポートし,Secure Bootにも対応(無効化も可能)⁠となっています。明らかにUbuntuが入らない理由がなさそうな構成です。

また基本的に,Bay Trail-MはCPUコア以外は「ありもの」を組み合わせることで開発されたSoCであること,また,PCI ID類の追加は約一年前にLKMLにもたらされていることから,Linux上で動く可能性は高い,という傍証もあるので,いきなりインストールを試みてみます。

気になるのがWiFi/Bluetooth関連のドライバですが,こちらは付属DVDを見るとそれらしきものが含まれています。

図1 付属DVDのインデックス表示。⁠Ubuntu」というディレクトリが含まれている

図1 付属DVDのインデックス表示。「Ubuntu」というディレクトリが含まれている

ここで一緒に置いてあるIntel製のドキュメントが「あれ,これは世間に出していいほうのやつ?」と筆者の動揺を誘ったりしましたが,Confidentialという文字列は含まれていないので,深くは気にしないことにしました。また,実はこのドキュメントは14.04 LTSを使う限りいっさい読む必要がないので,英文でマニュアルを書かないといけない状況に追い込まれる可能性がない方は読み飛ばしても問題ありません。英文でマニュアルを書く可能性がある方は,このドキュメントを真似するだけでインストールガイドぐらいは書けるようになるので,何らかの形で保存しておくことをお勧めしておきます。いずれにせよ,本来の用途である「LIVAを動かす」ためには一切必要ありません。

図2 問題のIntel製ドキュメント

図2 問題のIntel製ドキュメント

注1)
とは言え,⁠無料で利用することもできる」という話と「対価を支払わなくても良い」と言うことの間には無限の距離があり,Ubuntuの開発を進めるには多くの対価,すなわち資金や貢献が必要です。Ubuntuのようなソフトウェアは,利用者がバグ報告や翻訳を行ったり,ちょっとした開発や開発者を雇うための寄付をしたりと言った,さまざまな形で対価を担うことで成立しています。

著者プロフィール

吉田史(よしだふみひと)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社創夢所属。システム管理を中心にWindows/PC Unixを併用している。Ubuntu Japanese Teamではパッケージサーバの管理や翻訳などの作業を担当。

コメント

コメントの記入