Ubuntu Weekly Recipe

第340回 Firefoxで最新バージョンのFlashを使用するには

この記事を読むのに必要な時間:およそ 4.5 分

UbuntuのFirefoxで使用しているFlash Playerのバージョンは11.2です。しかしWindowsやMac,それにUbuntu上のChromiumでもFlash Playerのバージョンは14になっています。そこで今回は,なんとかFirefoxでFlash Playerのバージョンを14にする方法を紹介します。

UbuntuにおけるAdobe Flash Player

UbuntuのFirefoxでFlash Playerを利用する一般的な方法は,flashplugin-installerパッケージをインストールすることです。このパッケージをインストールすると,Adobeのサイトから適切なFlash Playerのバイナリをダウンロードしてシステムにインストールします注1)。

図1 ソフトウェアセンターでFlashを検索した結果

図1 ソフトウェアセンターでFlashを検索した結果

インストール後に,Firefoxを再起動しロケーションバーに「about:plugins」と入力してアクセスすれば,Flash Playerがインストールされていることがわかるでしょう。

図2 FirefoxにインストールされたFlash Player

図2 FirefoxにインストールされたFlash Player

注1)
flashplugin-installerはその名のとおりAdobeのサイトにあるFlash Playerをインストールするスクリプトのパッケージです。このパッケージの中にはFlash Playerそのものは含まれていません。パッケージをインストールすると,/usr/share/package-data-downloads/flashplugin-installerにあるURLを基に,/usr/lib/flashplugin-installer/install_pluginスクリプトがダウンロードを実行します。

Flash Playerのバージョン

「about:plugins」ではFlash Playerのバージョンが11.2と表示されています。しかしながら,WindowsやMacで使われているFlash Playerのバージョンは14です。これはLinux向けのNPAPI版Flash Playerは11.2で開発を終了することをAdobeが2012年にアナウンスしたためによる違いです。同じアナウンスで,11.2のリリース後5年間はセキュリティアップデートを提供することも伝えています。このため,UbuntuのFirefoxでも古いバージョンのFlash Playerを使いつづけることができるのです。

Flash Player 11.2のリリースが2012年3月ですので,2017年頃まで11.2のサポートが続くことになります。ところがUbuntu 14.04 LTSは2019年まで,12.02であっても2017年の4月まで使いつづけることができます。このため,UbuntuとFirefoxという組み合わせでFlash Playerを使いつづけたい場合は,何らかの代替手段を考える必要があります注2)。

注2)
後述するようにFirefoxで採用されているプラグイン用のNPAPIは近い将来廃止される予定です。さらにスマートフォンやタブレットではFlash Playerはほとんど使えないに等しい状態ですので,2017年までにはFlash Playerプラグインが必要なケースがほぼなくなっていると良いのですが,どうなることやら……。

Chrome/ChromiumのFlash Player

ところで開発が終了しているのは「NPAPI版のLinux向けFlash Player」です。

このNPAPI(Netscape Plugin API)は多くのWebブラウザーで採用されているプラグイン向けのAPIで,FirefoxでもAdobe Flashや(ゲームプラットフォームのほうの)Unity向けのプラグインで使われています。しかし,古くから大きく変わることなく使いつづけられているAPIであるが故に,今の時代では安定性やセキュリティ,パフォーマンス上の懸念点が出てきています。

そこでFirefoxでは,NPAPIのサポートそのものを段階的に廃止する方向で動いているようです。たとえば6月にリリースされたFirefox 30においては,ユーザーが許可しない限り特定のプラグイン以外の利用を実行時に確認するようになりました注3)。同様にChrome/ChromiumもまたNPAPIを廃止する予定です。既にLinux版については5月にリリースされたChrome 35でNPAPIのサポートを終了しています。

Chrome/ChromiumはNPAPIに代るプラグインAPIとしてPPAPI(Pepper Plugin API)を導入しています。Flash PlayerについてもPepperに移行済みで,Chromeに同梱されているFlash PlayerはPepper版です。「Pepper版のLinux向けFlash Player」については,AdobeとGoogleが協力して開発を続けている,というわけでです。

ちなみにChromiumにはPPAPI版Flash Playerは同梱されていませんので,Flash Playerを使用したい場合はpepperflashplugin-nonfreeパッケージをインストールしてください。ChromeパッケージからPPAPI版Flash Playerを取り出してインストールしてくれます。もしインストールがうまくいかないようであれば,Ubuntu Wikiにある手順も参照してください。

図3 Chromiumは「chrome://plugins/」にアクセスすることでプラグイン情報を確認できる

図3 Chromiumは「chrome://plugins/」にアクセスすることでプラグイン情報を確認できる

注3)
Adobe Flashはこのホワイトリストには掲載されていませんが,ユーザーへの影響が大きいために,自動再生の対象になっているようです。設定を変更する場合は「about:addons」のプラグインタブを参照してください。

Firefoxで利用できるFlash Player

より新しいFlash Playerを使いたいだけであれば,これまで説明したようにChrome/Chromiumを使うことが一番確実です。ですがもし,UbuntuのFirefoxでFlash Playerのメジャーバージョンを上げたいとなると,Linux用のNPAPI版Flash Player以外の実装を使う必要があります。ここではその方法をいくつか紹介しましょう。

Pipelight

PipelightはWindows用のブラウザープラグインをLinux上で動かすためのプラグインです。Pipelightを使えば,SilverlightをはじめとするWindows用にしか提供されていないプラグインをUbuntuでも使用できます。

UbuntuならPPAが提供されているので,インストールはとてもかんたんです注4)。

$ sudo add-apt-repository ppa:pipelight/stable
$ sudo apt update
$ sudo apt install pipelight-multi
$ sudo pipelight-plugin --update

pipelight-multiパッケージをインストールすると32bit版の各種パッケージに加えて,特別なパッチを適用したWine(wine-compholio)もインストールされます。この特別版のWineは通常のWineとはインストールパスが異なり,設定ファイルも独立しているため,通常のWineと共存できるようになっています。またttf-mscorefonts-installerもインストールされる結果,インストール途中でEULAへの同意が必要になります。

「--update」コマンドはプラグインのデータベース(/usr/share/pipelight/install-dependency)を更新するコマンドです。パッケージインストール直後の状態だと,古いバージョンのプラグインを指定している場合があるので,必ず「--update」を実行してください。

さらに「--enable』コマンドで,flashを有効化します。

$ sudo pipelight-plugin --enable flash

The following modules require a license confirmation before they can be enabled:

[*] Adobe Flash Player
        By continuing the installation you agree that you've read and accepted the
        ADOBE Personal Computer Software License Agreement:
        http://wwwimages.adobe.com/www.adobe.com/content/dam/Adobe/en/legal/licenses-terms/pdf/Flash%20Player_11.0.pdf

        To find out more click here:
        http://get.adobe.com/flashplayer

Do you accept the 1 license(s) above? [Y/N] y
Plugin flash is now enabled

enableされたあと少しすると,Zenityのダイアログが表示されて,インストール作業を開始します。ダイアログが消えていたら,一度Firefoxを再起動してください。なお,sudoをつけて実行した場合は「/usr/lib/mozilla/plugins」に,つけずにユーザー権限で実行した場合は「~/.mozilla/plugins」にPipelightのプラグインがインストールされます。Flash Player本体のインストール先は,「~/.wine-pipelight」以下です。

図4 インストール中はこのようなダイアログが表示される

図4 インストール中はこのようなダイアログが表示される

ここでインストールされるのは32bit版のFlash Playerです。「flash」の代わりに「x64-flash」を指定すれば64bit版もインストール可能ではありますが,0.2.7の段階ではまだ実験的な段階ですので,enable前にunlock作業が必要になります。

図5 「about:plugins」を見ればバージョンが上がっていることがわかる

図5 「about:plugins」を見ればバージョンが上がっていることがわかる

図6 YouTubeの日本語字幕も表示できる

図6 YouTubeの日本語字幕も表示できる

Pipelightを無効化したい場合(通常のFlash Player 11.2を使いたい場合)は,次のコマンドを実行してください。

$ sudo pipelight-plugin --disable flash

ちなみにPipelightはNPAPIを使っています。このためNPAPI自体が使えなくなると,Pipelightも使えなくなります。

注4)
PPAはリリース版をパッケージングしている「pipelight/stable」とソースコードリポジトリのスナップショットを日々ビルドしている「pipelight/daily」が存在します。本来はstableを使ったほうが良いのですが,もし最新の開発版を使いたい場合はdailyを指定してください。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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