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第396回 Ubuntu GNOME 15.10の変更点

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今回はUbuntu GNOME 15.10の変更点を紹介します。

Ubuntu GNOME 15.10≒GNOME 3.16

現在のGNOMEの最新バージョンは3.18ですが,Ubuntu GNOME 15.10では3.16を採用しています。

とはいえ,これまでと同じくコンポーネントのバージョンを揃えているわけではなく,表1に挙げたとおりバージョンが異なるものを使っています。なお,コンポーネントはすべてパッケージ名で表記しています。

表1 Ubuntu GNOME 15.10のコンポーネント(抜粋)

バージョン コンポーネント(パッケージ名)
3.8.x vino
3.10.x gedit
3.12.x brasero, emphathy, gnome-icon-theme
3.14.x gnome-online-accounts, gnome-online-miners, nautilus
3.16.x adwaita-icon-theme, aisleriot, baobab, cheese, dconf-editor, eog, evince, evolution, file-roller, gcr, gdm, gnome-accessibility-themes, gnome-bluetooth, gnome-calculator, gnome-color-manager gnome-contacts, gnome-control-center, gnome-disk-utility, gnome-documents, gnome-font-viewer, gnome-getting-started-docs, gnome-getting-started-docs-ja, gnome-keyring, gnome-mahjongg, gnome-maps, gnome-mines, gnome-music, gnome-orca, gnome-photos, gnome-screenshot, gnome-session, gnome-settings-daemon, gnome-shell, gnome-shell-extensions, gnome-sushi, gnome-system-monitor, gnome-terminal, gnome-themes-standard, gnome-tweak-tool, gnome-user-guide, gnome-weather, mutter, seahorse, totem, yelp, zenity
3.18.x gnome-backgrounds, gucharmap, simple-scan

"brasero"と"emphathy"と"gnome-icon-theme"は3.12.xが最新版なのが注意点ですが,"Nautilus(ファイル)"が3.14.xのままなのが特徴でしょうか。GNOME 3.16のリリースノートによると,ルックアンドフィールが変更されているとのことで,それを避けるために3.14.xに据え置いているものと思われます。"gedit"もそうです。VNCサーバーの"Vino"がバージョン据え置きなのもおおむね同じ理由で,仕様変更を嫌ってのことのようです。

初回ログイン時のヘルプの表示

15.10から初回ログイン時にヘルプ(初めて使う方へ)が表示されるようになりました図1)⁠未訳の部分もありますが,これで簡単な使い方を理解することができます。

図1 初回ログイン時に表示されるヘルプ

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外観が大幅に変わったアプリケーション

"Eye of GNOME(画像ビューアー)"は新しいルック&フィールに更新されました図2)⁠ツールバーにアイコンが並ばなくなったくらいで,機能的にはさほど違いはないようです。

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新規アプリケーション

"写真"と"音楽"が新規に追加されました。従来の"Shotwell"はなくなり,"写真"がデフォルトの写真アプリケーションになりましたが,音楽アプリケーションのデフォルトは"Rhythmbox"が継続しています。

では"写真"は"Shotwell"を置き換えられるほどの機能を持っているのかと言われると全然そのようなことはなく,現状では"Eye of GNOME(画像ビューアー)"とさほど機能の差はありません図3図4)。もちろん"Shotwell"はリポジトリから削除されたわけではないので,必要であれば別途インストールできます。

図3 "写真"の一覧表示

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図4 "写真"の個別表示。⁠ロック画面に使用する]なんてものがある

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"音楽"も非常にシンプルなアプリケーションで,本当に再生とそれに付随する機能しかありません図5)⁠GNOME Shell 3.16から通知システムが変更されましたが,この"音楽"でも恩恵にあずかることができます図6)⁠

図5 "音楽"で再生中

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図6 "音楽"での通知

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デフォルトでインストールはされませんが,"カレンダー"(パッケージ名は"gnome-calendar")も新規に追加されたアプリケーションです図7)⁠これまでは予定を編集する場合は"Evotution"を使用する必要がありましたが,メーラー機能なども含んでいるため,予定を編集したいだけの場合には牛刀割鶏でした。

図7 "カレンダー"で予定を表示しているところ(注:予定はフィクションです)

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レガシートレイ

GNOME Shell 3.16からレガシートレイ(legacy tray)という機能がサポートされました。GNOME Shellに対応していない古い通知トレイの仕様に対応しているアイコンの場合は,画面左下に表示されるようになりました図8)⁠典型的な例はFcitxですが,クリップボードマネージャーの"Clipit"なども含まれます。

図8 レガシートレイ機能。左下にFcitxのメニューを表示している

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拡張機能

いつも紹介しているDash to DockTopIconsは正しく動作しています。特に後者は積極的にインストールするべきでしょう。というのも,この拡張機能をインストールするとレガシートレイは無効になり,右上にアイコンが表示されるようになります図9)⁠

図9 TopIcons拡張機能を有効にすると,左下にあったアイコンが右上に移動する

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AppIndicator SupportはKStatusNotifierItem/AppIndicator Supportと名前が変わりました。そして現在はメンテナンスモードです。検証したところ,Fcitxがうまく動作しなくなる(サブメニューが開けなくなる)という不具合に遭遇したので,インストールはしないほうがいいでしょう。

今まではあえて紹介しませんでしたが,Fcitx用の拡張機能であるInput Method Panelもあります図10)⁠GNOME Shellとルックアンドフィールを統一したい場合にはいいのですが,状態パネルは表示できなくなります。

図10 Input Method Panel拡張機能を有効にし,日本語を入力しているところ

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日本語入力(インプットメソッド)関連

第395回でも述べたとおり,Ubuntu 15.10からデフォルトのインプットメソッドはFcitxになりました。また,前述のとおりFcitxのアイコンはレガシートレイ機能で左下に表示されるため,拡張機能をインストールするのがおすすめです。

ja/enといったキーボードのレイアウト切り替えアイコンが表示されている場合,通常は不要なので表示しないようにするといいでしょう。⁠すべての設定]⁠-⁠地域と言語][入力ソース]をどれかひとつ(通常は[日本語]でしょう)にすると,このレイアウト切り替えアイコンは表示されなくなります図11)⁠

図11 入力ソースを1つにすると,キーボードレイアウト変更アイコンが消える

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FcitxではなくIBusを使用したい場合,Ubuntu GNOMEには言語サポート(language-selector)はないため,im-configコマンドでGUIによる変更を行うか,端末で次のコマンドを実行し,一旦ログアウトして再ログインしてください。

$ im-config -n ibus

Mozcを使用したい場合,事前に"ibus-mozc"パッケージをインストールしておくといいでしょう。再ログイン後,⁠すべての設定]⁠-⁠地域と言語][入力ソース][日本語 (Mozc)]を追加する必要があります。

より完全なGNOME 3.16とGNOME 3.18

より完全にGNOME 3.16にするパッケージはPPAで配布されていますが,アップデートされるパッケージはあまり多くありません。というか,ほぼ追加する意味はないように思います。

GNOME 3.18にアップデートするPPAも同様に公開されていますが,16.04の開発版を使うのとどちらかいいのか悩ましいところです。いずれにせよ実運用は難しいでしょう。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese Teamメンバーで,主として日本語入力関連を担当する。特定非営利活動法人OpenOffice.org日本ユーザー会。LibreOffice日本語チーム。ほか,原稿執筆も少々。

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