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第417回Ubuntu 16.04 LTSの日本語入力

Ubuntu 16.04 LTSは今月4月21日(UTC)にリリースされる予定です。16.04はLTSですので、今回は14.04と15.10のそれぞれから、16.04にした際の日本語入力(インプットメソッド)の変更点を紹介します。

14.04からの変更点

14.04ではIBus+Anthyの組み合わせがデフォルトでしたが、第395回の15.10の変更点で述べたように、Fcitx+Mozcに変更されました。 14.04で特に何も設定していない場合は、16.04にアップグレードすると自動的にFcitx+Mozcの組み合わせに変更になります。

もし16.04にアップグレードしてもIBusのままで、これをFcitxに変更したい場合、慌てず騒がず[システム設定][言語サポート]を起動してください。⁠言語サポートが完全にはインストールされていません]というダイアログが表示された場合でも足りないパッケージをインストールできますし図1⁠、⁠キーボード入力に使うIMシステム]でIBusあるいはFcitx(あるいはその他)に変更できます図2⁠。変更後、一度ログアウトして再ログインしてください。

図1 言語サポート起動直後に表示されるダイアログ
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図2 ⁠キーボード入力に使うIMシステム]を変更する
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コマンドラインで実行する場合は、次のコマンドで足りないパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install $(check-language-support)

そして、次のコマンドでFcitxに切り替えます。

$ im-config -n fcitx

コマンドラインでの操作した場合も、ログアウトと再ログインが同じく必要です。なお、インプットメソッドの設定は~/.xinputrcファイルに書き込まれていますので、このファイルを削除すればデフォルトの挙動に戻ります。

14.04日本語Remixは最初からFcitx+Mozcの組み合わせになっているため、特に気にすることはないはずです[1]⁠。

15.10からの変更点

続いて、15.10から16.04にアップグレードする場合です。Fcitxのバージョンはあまり変わりませんが、Mozcのバージョンは1.15.1857.102から2.17.2116.102に上がりました。その間に辞書もアップデートされているため、変化に気づくのではないかと思います[2]

Ubuntuだけでフレーバーには関係しませんが、英語キーボードが接続されていないにもかかわらず認識するというバグ、ではなく意図的にそうしている事象があります。これは今のところどうにもならない上、あってもなくてもあまり影響しない[3]ので、無視するか削除してください。

15.10では、ゲストセッションでMozcが動作しないというバグがありましたが、これは修正予定です。また、15.10まではibus-anthyがインストールされていましたが、16.04ではこれに代わってibus-mozcがインストールされるようになりました。すなわち、IBusでもFcitxでもMozcが使用できるようになったということであり、同時にibus-anthyが必要な場合は別途インストールする必要があります。

Ubuntu GNOME 16.04だけは、FcitxからIBusに戻りました。その理由として、Fcitxだと[すべての設定][地域と言語]で設定変更が不可能であることが挙げられています。確かにGNOMEで使用するにはIBusの方ほうがいいのですが、問題点としてはMozcの追加を手動でしなくてはならないことです。追加の方法は[すべての設定][地域と言語]を起動し、左下の+ボタンを押します。⁠入力ソースの追加]が表示される図3ので、⁠日本語]をクリックしてください。するとそこに[日本語 (Mozc)]があります。これを選択して[追加]をクリックしてください図4⁠。

図3 Ubuntu GNOMEでもMozcを使用するためには、まずは言語を選択する
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図4 続いてMozcを選択する
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コマンドラインで実行する場合は、次のようになります。これは日本語キーボードでの例です。

$ gsettings set org.gnome.desktop.input-sources sources "[('xkb', 'jp'), ('ibus', 'mozc-jp')]"

親指シフト

親指シフト(NICOLA配列)の愛好家も少なからずいると思います。Ubuntuで親指シフトを使用する場合は、残念ながらMozcは非対応であるため、ibus-anthyあるいはfcitx-anthyを使用しているのではないでしょうか。しかし、Anthyの変換効率の悪さに辟易としてしまうこともあるのではないかと思います。そういった場合、libkkcのIBus用フロントエンドであるibus-kkcを使用してみるのはいかがでしょうか[4]⁠。

ibus-kkcを使用するには、"ibus-kkc"パッケージをインストールして、"/usr/share/libkkc/rules/nicola/metadata.json"をroot権限で開き、"priority"を"90"にします。その後、前項を参考にしてIBusを使用するように設定を変更し、⁠システム設定][テキスト入力][日本語 (Kana Kanji) (IBus)]を追加します図5⁠。これにより、⁠かな漢字変換(libkkc)]の設定の[タイピング方式][NICOLA]が追加されます図6⁠。

図5 ⁠入力ソース][日本語 (Kana Kanji) (IBus)]を追加する
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図6 "priority"を変更すると、"NICOLA"が表示されるようになる
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libkkcのキーマップはjsonになっているため、もし不具合があった場合でも比較的修正が簡単です。具体的には/usr/share/libkkc/rules/nicola以下にありますので、root権限で該当のファイルを開いて修正し、IBusを再起動するか[5]⁠、一度ログアウトして再ログインしてください。

もちろん不具合を修正した場合は、バグ報告を忘れずに行ってください。

libkkcのメリットは、辞書にskkdicパッケージを使用しているため、これがアップデートされると変換効率の向上が期待できることです。少なくともAnthyのように、ソースコードを変更しない限り辞書も古いまま使用しなければならない、ということはありません。

libkkcのFcitx用フロントエンドであるfcitx-kkcのパッケージは、リポジトリにはありません。よってあまり推奨しませんが、どうしてもfcitx-kkcを使用したい場合は筆者のPPAからインストールしてください。⁠入力メソッドの設定][Kana Kanji]を追加します。設定画面の[その他]タブにある[ショートカット]を選択し、⁠ルール][NICOLA]に変更して[保存]をクリックします図7⁠。

図7 fcitx-kkcにおける変更箇所
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