Ubuntu Weekly Recipe

第420回 ヘビーユーザー向けのWebブラウザー「Vivaldi」

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まだ立夏が過ぎたばかりではありますが,夏らしい気温の日が増えてきました。PCのファンが元気よく回るようになったことで,夏の訪れを感じている読者も多いことと思います。本格的な夏の到来の前に,春を思い返してみるのはいかがでしょうか。⁠春」と言えばアントニオ・ヴィヴァルディの「四季」が有名です。というわけで今回は新興Webブラウザーである「Vivaldi」をUbuntuにインストールします。

Operaの創設者が作ったOperaらしいブラウザー

VivaldiはもともとOpera創設者の一人であるテッツナーが立ち上げた,Operaユーザーのためのコミュニティサイトです。その後,Opera本体の方向性の変化を受けて「よりOperaらしいWebブラウザー」を提供するために,新規にWebブラウザーを開発することとなりました。それが今回紹介する「Vivaldi」です。

Vivaldiには,強力なタブ管理機能や,キーボード・ショートカット,マウスジェスチャーのカスタマイズなど,Webブラウザーをヘビーに使うユーザー向けの機能が充実しています。レンダリングエンジンこそ現行OperaやChromeと同じくBlinkを使っているものの,操作性については過去のOperaユーザーが期待できる仕上がりになっているのではないでしょうか。

4月頭には最初の正式版である1.0が,4月末には最新安定版となる1.1がリリースされました。Linux対応も謳っており,debパッケージとrpmパッケージがそれぞれ配布されています。

Ubuntuでも12.04以降であればVivaldiをインストール可能です。今回はUbutnu 16.04 LTSを使って紹介します。

Vivaldiのインストール

Vivaldiのダウンロードページには,32bit版と64bit版のdebファイルとrpmファイルが用意されています。Ubuntuにインストールするならdebファイルをダウンロードしましょう。32bit版か64bit版かは,システムのアーキテクチャにあわせてください。ただしAdobe Flashの最新版を利用できるのは64bit版のみとなっています。

ブラウザ上でdebファイルのリンクをクリックすると,Ubuntuソフトウェアが起動しインストールを開始します。しかしながらソースが公開されていないバイナリパッケージをいきなりインストールするのは危険です。ここではまず,CUIでdebファイルをダウンロードした上で,その中身の確認方法について説明します。

$ wget https://downloads.vivaldi.com/stable/vivaldi-stable_1.1.453.52-1_amd64.deb
$ dpkg-deb --info vivaldi-stable_1.1.453.52-1_amd64.deb
(中略)
 Pre-Depends: dpkg (>= 1.14.0)
 Depends: gconf-service, libasound2 (>= 1.0.23), libatk1.0-0 (>= 1.12.4),
   libc6 (>= 2.12), libcairo2 (>= 1.6.0), libcups2 (>= 1.4.0),
   libdbus-1-3 (>= 1.2.14), libexpat1 (>= 1.95.8), libfontconfig1 (>= 2.8.0),
   libfreetype6 (>= 2.3.9), libgcc1 (>= 1:4.1.1), libgconf-2-4 (>= 2.31.1),
   libgdk-pixbuf2.0-0 (>= 2.22.0), libglib2.0-0 (>= 2.26.0),
   libgtk2.0-0 (>= 2.24.0), libnspr4 (>= 1.8.0.10), libnss3 (>= 3.17.2),
   libpango1.0-0 (>= 1.14.0), libstdc++6 (>= 4.6), libx11-6 (>= 2:1.4.99.1),
   libxcomposite1 (>= 1:0.3-1), libxcursor1 (>> 1.1.2),
   libxdamage1 (>= 1:1.1), libxext6, libxfixes3, libxi6 (>= 2:1.2.99.4),
   libxrandr2 (>= 2:1.2.99.2), libxrender1, libxss1, libxtst6,
   ca-certificates, fonts-liberation, libappindicator1, libcurl3,
   xdg-utils (>= 1.0.2), wget
 Recommends: pepperflashplugin-nonfree, chromium-codecs-ffmpeg-extra

「dpkg-deb --info debファイル」は指定したパッケージファイルのメタデータを表示します。特に注意すべきはPre-Depends,Depends,Recommendsなどの依存関係を示すフィールドで,これによりどんなパッケージが追加でインストールされるかわかります。

$ dpkg-deb --contents vivaldi-stable_1.1.453.52-1_amd64.deb
drwx------ root/root         0 2016-04-30 01:28 ./
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/bin/
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/share/
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/share/menu/
-rw-r--r-- root/root       202 2016-04-30 01:28 ./usr/share/menu/vivaldi.menu
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/share/applications/
-rw-r--r-- root/root      4614 2016-04-30 01:28 ./usr/share/applications/vivaldi-stable.desktop
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/share/xfce4/
drwxr-xr-x root/root         0 2016-04-30 01:28 ./usr/share/xfce4/helpers/
-rw-r--r-- root/root       218 2016-04-30 01:28 ./usr/share/xfce4/helpers/vivaldi.desktop
(後略)

「dpkg-deb --contents debファイル」はそのパッケージファイルがインストールするファイルの一覧をリストアップします。どこに何があるか予め確認したい場合に便利でしょう。Vivaldiの場合は,基本的に/opt/vivaldiにすべてインストールするようです。さらに,/usr/share以下にdesktopファイルなどアプリケーショメニューのためのファイルと,Debianパッケージのchangelogなどを,/usr/binには/opt/vivaldi以下のバイナリへのシンボリックリンクをインストールします。

気をつけなくてはいけないのは/etc/cron.daily/vivaldiです。このcronスクリプトは,必要に応じて/etc/apt/sources.list.dにVivaldiのリポジトリを追加し,APTのキーリングにVivaldiのリポジトリキーを登録します。実害があるわけではありませんが,今後aptコマンドや「ソフトウェアの更新」によってシステムを更新した時,Vivaldiも更新される可能性があることに注意してください。

dpkg-debが表示しているのは,実際にパッケージファイルにアーカイブされているファイルのリストです。これとは別にパッケージのインストール時に自動生成されるファイルも存在します。詳細は「/var/lib/dpkg/info/vivaldi.*」などを参照してください。

lessコマンドにdebファイルを渡すと,lesspipeが「dpkg-deb --info」「dpkg-deb --conents」を実行して表示してくれます。一時的に内容を確認したいのであれば,lessを使った方が便利でしょう。

内容に問題がなければ,aptコマンドを使ってdebファイルをインストールします。

$ sudo apt install ./vivaldi-stable_1.1.453.52-1_amd64.deb

Ubuntu 16.04 LTSのaptは,引数にdebファイルのパスを渡した時は,そのdebファイルの依存関係を解決した上でインストールしてくれます。これまでよく紹介されていた「sudo dpkg -i debファイル && sudo apt-get install -f」よりも簡単なのでおすすめです。なお,引数がパッケージ名ではなくパスであることを明示するために,カレントディレクトリにあるファイルであっても「./」で始める必要があります。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

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