Ubuntu Weekly Recipe

第604回 VirtualBox 6.1の新機能

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

今回は2019年12月にリリースされたVirtualBox 6.1の新機能をお知らせします。一部6.0の新機能も合わせて紹介します。

VirtualBoxの開発の傾向

VirtualBoxの現在の正式名称はOracle VM VirtualBoxで,その名のとおりOracleが開発しています。その前はSun Microsystemsが開発していたことは,多くの方の記憶にあるのではないでしょうか。

最近は,というか6.0の頃からの開発の傾向として,OracleのクラウドサービスであるOracle Cloud Infrastructure(OCI)のフロントエンド機能が実装されています。

また,長らく希望されていたNested VM※1機能も6.0と6.1でサポートされました図1⁠。最初のバグ報告から11年が経過していますが,最初に対応した6.0は一昨年の年末リリースです。10年間サポートされていなかったものがなぜこの時期に,というのは気になるところです。

※1
仮想マシンの中で仮想マシンを動かす機能のことで,VMware WorkstationやKVM,Hyper-Vなどでは以前よりサポートしていました。筆者には必要性がいまいち理解できなかったのですが,現行のVirtualBoxの中で開発版のVirtualBoxを使用したときには,これは便利な機能だなと実感しました。

図1 Nested VMの使用例(ただしホストOSにインストールされているのはVirtualBox 6.0)

画像

ここからは筆者の憶測ですが,VirtualBoxのライセンスはGPLv2で,それ自体で収益を上げるのは難しいです。しかしOracleは公開できない機能を集めたExtension PackとともにOracle VM VirtualBox Enterpriseとしてサポートサービスを販売しており,Nested VMサポートもこの一環で行われたのではないかと考えています。

すなわち6.0以降VirtualBoxのオープン性と収益を上げることの難しいバランスが取れるようになったのではないかと,筆者は考えています。

日本語の翻訳について

VirtualBoxの翻訳は筆者によって行われています。この年末年始に翻訳をし,提出しましたが最新の6.1.2には間に合いませんでした。すでに取り込まれているので6.1.4からは適用されますが,いつリリースされるかはわかりません。

よって最新の翻訳ファイルを提供しますので,VirtualBox 6.1.2のインストール後に次のコマンドを実行し,翻訳を最新の状態にしてください。

$ wget http://ikuya.info/tmp/virtualbox/VirtualBox_ja.qm
$ sudo cp VirtualBox_ja.qm /usr/share/virtualbox/nls/VirtualBox_ja.qm

もちろん6.1.4以降は必要ありません。

OCIのフロントエンド機能

では新機能を解説していきます。

VirtualBoxをOCIのフロントエンドとして使用する場合,当然ですがOCIのアカウントが必要です。あとExtension Packのインストールも必須です。手順の解説は省略しますが,Extension Packをインストールすると「ファイル⁠⁠-⁠クラウドプロファイルマネージャー」が追加されるので,ここをクリックします図2⁠。

図2 クラウドプロファイルマネージャーの起動直後

画像

OCIのアカウントがある場合,ここで「追加」をクリックして情報を入力していきます。もしない場合は「試す」をクリックするとWebブラウザーが起動し,アカウントを作成できます※2⁠。

※2
アカウントの作成方法は解説しませんが,もしわからない場合はクラウドサービスを使用するのは一旦思いとどまったほうがいいかもしれません。OCIに限らずクラウドサービスはいたずらされて身に覚えのない課金をされる恐れがあるため,くれぐれも慎重に使用してください。

OCIのいいところは無料サービスが充実しているところで,一定の条件のもとだとAlways Freeというサービスを選択できます。雑に要約すると1CPU,1GBメモリ,50GBストレージの仮想マシンを2つまで無償で使えるというプランなので,試すには充分ではないでしょうか。

話を戻すと,OCIにアカウントを作成して,その内容で「クラウドプロファイルマネージャー」で登録します図3⁠。うまくいかない場合は,一度oci-cliで設定してみて,その設定をクラウドプロファイルマネージャーに登録するとわかりやすいかもしれません※3⁠。

※3
筆者のハマったところとしては,GPGキーをアップロードする作業を忘れていてなかなか進まなかったことです。お気をつけください。

図3 クラウドプロファイルマネージャーの設定例。なんとなくわかるかもしれないが「compartment」「tenancy」は同じ値でいいようだ

画像

VirtualBoxから直接OCIに仮想マシンを作成する場合は「ファイル⁠⁠-⁠新しいクラウドVM」図4⁠,既存の仮想マシンをエクスポートする場合は「仮想マシン⁠⁠-⁠OCIにエクスポート」図5⁠,OCIからインポートする場合は「ファイル⁠⁠-⁠仮想アプライアンスのインポート」「Source」「Oracle Cloud Infrastructure」にして図6⁠,指示に従ってください。

図4 ⁠クラウド仮想マシンの作成」の例

画像

図5 エクスポートの例

画像

図6 インポートの例

画像

ただし,筆者が試したところではこのいずれも正しく動作しませんでした。

著者プロフィール

あわしろいくや

Ubuntu Japanese TeamとLibreOffice日本語チームのメンバー。LibreOffice,VirtualBox,Joplin,Budgieデスクトップなどの翻訳を手がける。技術同人サークルteam zpn主宰。ほか原稿執筆を少々。