クラウドコンピューティングの幻想

[表紙]クラウドコンピューティングの幻想

紙版発売

四六判/208ページ

定価1,628円(本体1,480円+税10%)

ISBN 978-4-7741-3804-6

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書籍の概要

この本の概要

「クラウド(雲)にご用心!」IT業界の新たなトレンドとされる「クラウドコンピューティング」。日本のみならず世界中で「クラウドコンピューティング」は受け入れられるのでしょうか。インターネットを活用した一見バラ色のすばらしい技術革新に見えますが,たくさんの問題点をはらんでいます。そもそも,実は「言葉(バズワード)」だけで,実現できないものなのではないでしょうか。言葉だけに惑わされていませんか。本書は,システムインテグレータの立場,ITコンサルタントの立場から,「クラウドコンピューティング」を検証します。

こんな方におすすめ

  • クラウドコンピューティングって本当に流行るの? 大丈夫なの?とお考えのシステムインテグレータ各位
  • CIO
  • 情報システム管理室 などなど

目次

第1章 クラウドコンピューティングの迷走

クラウドって何ですか?

  • 違和感の原因
  • ビジネス視点で分析せよ!
  • クラウドコンピューティングに関する致命的な3つの誤解
  • クラウドコンピューティングを迷走させたA戦犯は?

    • バズワード好き企業
    • バズワードの生みの親であるシステムインテグレータ
    • Googleに便乗するSW/HWベンダー
    • バズワード先行の通信キャリア
    • ユーザー視点を崩さない端末メーカー・サービスプロバイダー
    • サービスなきサービス基盤

    A級戦犯の手口とは?──6つのチェック項目

    • クラウドコンピューティングの押し売りにだまされないように
    • [その1]プレゼンする人の肩書きがコンサルタント
    • [その2]プレゼンの資料がキレイすぎ
    • [その3]Google,Amazonの成功要因を技術的な優位性でしかとらえていない
    • [その4]自社製品が既存製品の組み合わせ(再利用)
    • [その5]こちらの課題や今抱えている問題を聞かない
    • [その6]自社一社でサービスが完結するような話をする(事例などは特に注意)

    クラウドコンピューティングがシラケムードな理由

    • 心地よいバズワードの罪
    • 心地よいバズワードから生まれたセールスフォース・ドットコム2つの誤解
    • Google,Amazonの台頭を受け入れられないブランド感
    • そもそもクラウドはなぜ……

    第2章 企業向けクラウドコンピューティングは何も始まっていない

    ToB or not ToB……

    • 誰を対象に話をしているのか明確にしてクラウドコンピューティングを考えよう
    • 空の雲のように手が届かないクラウドコンピューティング?
    • 技術先行の議論になってしまうのはなぜか?
    • 賢くならないと,バズワードに遊ばれてしまう
    • コンピュータシステムと経営戦略の関係がわかっていないからバズワードのに翻弄される
    • コンピュータシステム創成期 ホストコンピュータの時代

      • コンピュータシステムは戦争から生まれた
      • 企業が戦略を意識し,コンピュータシステムの適応範囲が一気に拡大した
      • まず戦略的にコンピュータシステムは経営の意思決定に活用される
      • コンピュータシステムは一企業を超えより戦略的に
      • ITというバズワードの誕生
      • クラウドコンピューティングの発想は1960年代にすでに存在していた?

        • 軍事目的のコンピュータ
        • 1960年代に存在した元祖クラウドコンピューティング?──そこから何を学ぶか

        コンピュータシステム乱立時代 クライアントサーバーの流行

        • クライアントサーバーシステムによるコンピュータシステム秩序の乱れ
        • コンピュータシステムのパラダイムシフト
        • インターネットの時代
        • インターネットによりコンピュータシステムが企業から個人ユーザーのためのものに
        • ARPANETからInternetへ
        • ITからICTへの変化
        • AIDMAの法則からWeb2.0(CGM)へ
        • インターネット,そしてWeb2.0の流れからクラウドコンピューティングをどう考えるか

        第3章 クラウドコンピューティングを支える技術と意味

        仮想化技術の定義は当てになるのか

        • 技術について疑うことが大事
        • クラウドコンピューティングの迷走モデル

        クラウドコンピューティングで注目の技術エリアをゼロベースで考えてみる

        • クラウドの本質に迫るために
        • 仮想化技術を検討する
        • コンピュータリソースの仮想化はクラウドコンピューティングに始まった技術なのか
        • クラウドコンピューティングの技術を理解する必要はない

        第4章 クラウドコンピューティングの未来を占う注目企業の戦略

        クラウドが疑問視される理由

        • 企業に勝てるのか
        • Googleは“0”ベースの発想から物を生み出す企業
        • クラウドコンピューティングのサービスはコンシューマ向けと企業向けの2大陸が形成

        企業向けクラウドコンピューティングを作る企業は?

        • 自己犠牲できるのか?
        • 大企業に物申すSAP
        • SAPの戦略
        • SAPは,どこが他のIT企業と違うのか
        • パッケージソフトウェアの誤解
        • コンサルタントと二人三脚のSAP
        • Oracleの戦略──基幹業務に食い込むパッケージソフトウェア
        • パッケージソフトウェアベンダーのSaaS,クラウド化へのためらい
        • セールスフォース・ドットコムの台頭
        • 企業向けクラウドコンピューティングはどのように導入されるのか?
        • ビジネスのキラーアプリを持つマイクロソフトの動き
        • ビジネスアプリケーションのライセンスが消える日

        コンピュータシステムの老舗,業界をリードしてきた巨人はすでに老兵なのか

        • 白雪姫と7人の小人たち
        • IBMのガースナーが狙ったシステムインテグレータであることの意味
        • IBMのクラウドコンピューティング

        通信キャリアの下克上??

        • コンピュータ業界の階層構造は建設業と同じ
        • だからシステムインテグレータは最上位のコンサルを狙う
        • 取り残されたネットワークの住民達
        • SaaSの流れは通信キャリアに朗報か
        • ネットワークインフラの発想から,なかなか抜けられないNTTコミュニケーションズ
        • KDDIも出遅れ
        • ソフトバンクの全方位展開
        • パートナー戦略を明確にしたBT
        • 通信キャリアがクラウドコンピューティングに参入するためにはグローバル化が課題

        クラウドコンピューティングの担い手となる企業は?

        • 脱皮できる企業,できない企業
        • NTTの逆襲?

        第5章 クラウドコンピューティングをリードする注目企業の戦略

        似て非なるGoogleとAmazon

        • 違う視点で考える
        • ビジネスの柱は何か
        • GoogleとAmazonには共通の血が流れる
        • インターネット時代の企業である
        • ユーザー起点のサービスの発想が差別化要因
        • コンピュータ技術の開発に非常に力を入れている
        • GoogleとAmazonをどんな視点でみるべきか?

        Googleの戦略は?

        • コンシューマ側からの視点で考えるさまざまなサービス
        • Amazonの戦略は明快
        • AmazonはGoogleの知らない個人の属性を知っている

        コンシューマ向けビジネスの最終地点は

        • Web2.0の支配
        • Googlezon(グーグルゾン)モデルの誕生?
        • 企業向けサービスについて
        • 企業システムは単純に「所有」から「利用」にはならない
        • 誤ったクラウドコンピューティング理解の弊害
        • Googleの本当の強みはビジネスモデルでも技術でもなく「人」
        • Googleカルチャーの懸念点

        第6章 クラウドコンピューティング時代に遭遇する既存大手システムインテグレータの危機

        Google,Amazonから学ぶべきところ

        • 自らの軸をなくしたプレーヤー達
        • 戦うGoogleとAmazon

        3つの妄想が顧客第一主義を崩壊させる

        • システムインテグレータとは何か,再確認してみませんか
        • 日本のシステムエンジニアは優秀
        • 3つの妄想が引き起こす顧客第一主義の崩壊
        • コンサルティング信仰の妄想
        • マーケティング信仰の妄想
        • PM(プロジェクトマネジメント)手法信仰の妄想
        • ユーザーニーズが戦略レベルで把握できているのか?
        • 戦略的ニーズを満たすためのプロジェクト全体像の把握
        • 自社の全体の中での役割と責任範囲の明確化
        • 原点に回帰せよ

        第7章 クラウドコンピューティングの幻想からの脱却

        2015年のクラウドコンピューティング

        • IT未来予想
        • 企業向けクラウドコンピューティング提供企業とは
        • 二次クラウドコンピューティングサービスが出現?

        幻想から脱却せよ

        • 企業が抱える真の課題は何か
        • クラウドコンピュータの導入には,まずCIOの役割を見直せ

        クラウドコンピュータを導入すべきか否か

        • 4つのCIOアジェンダ
        • 中長期含めた戦略実現への貢献
        • 収益への貢献
        • コスト削減への貢献
        • 社会への貢献
        • システムを一括りにしない
        • 企業向けクラウドコンピューティングは,今つきあっているシステムインテグレータと向き合うところから始まる
        • GoogleかIBMか,覇者の冠はいずこに

著者プロフィール

エリック・松永(エリック・まつなが)

青山学院大学大学院国際政治経済学研究科(修士)修了。19世紀の米国二大発明家Graham Bellを起源に持つ米国最大の通信会社AT&Tにて,グローバルネットワークを軸に戦略コンサルタントとして活躍。その後アクセンチュア(旧アンダーセンコンサルティング)にて,通信分野を柱に,エンターテインメントと通信を活用した新事業のコンサルティングをグローバルレベルで展開する。現在,通信業界およびエンターテイメント業界に特化した経営コンサルタントとして活躍中。IT業界向けニュースサイトZD NET Japanにて,「経営者が知るべきバズワードの裏」「エリック松永の英語道場」を連載中。