知りたい!サイエンス
タンパク質はすごい!
〜心と体の健康をつくるタンパク質の秘密
- 石浦章一 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2013.12.13 2013.12.27
- 判型
- 四六
- 頁数
- 240ページ
- ISBN
- 978-4-7741-6154-9 978-4-7741-6256-0
サポート情報
概要
タンパク質には様々な顔があります。よく知られているのは食べ物に含まれている栄養素としてのタンパク質。しかしそれだけにとどまらないことをご存じでしょうか。本書は体を構成し、生命活動に不可欠なタンパク質の姿に迫ります。味覚や消化に関わる役割のみならず、代謝・酵素や受容体としての役割、脳や心とどう関わっているのか、創薬にどう応用されているのか、さらには、それらが私たちを脅かす様々な「病気」とどう関係しているのかについて深く迫ります。また不可解な狂牛病についても触れます。
こんな方にオススメ
- 生命科学に興味のある方
目次
- はじめに……タンパク質から迫る生命活動の多様なすがた
第1章 アミノ酸の最新研究から見えてきたこと
- 1-1 栄養素としてのアミノ酸① まず知りたい、体内での多彩な働き
- 1-2 栄養素としてのアミノ酸② 食べ物からアミノ酸をいかに摂るか?
- 1-3 「アミノ酸サプリメント」はなぜ必要か?① 「BCAA」が注目される理由
- 1-4 「アミノ酸サプリメント」はなぜ必要か?② クレアチン・グルタミンの働きは
- 1-5 「栄養ドリンク」の効果はどこまであるか?
- 1-6 脳におけるアミノ酸の役割① 「モノアミン」の材料となるアミノ酸
- 1-7 脳におけるアミノ酸の役割② ほんの少しの作用の違いで……
- 1-8 脳におけるアミノ酸の役割③ セロトニンとGABAの働きは?
- コラム① 赤筋と白筋はどう違う?
- コラム② 脳を壊す「犯人」はどこにいるのか?
第2章 タンパク質と消化・味覚との関わり
- 2-1 タンパク質はどう消化されるか?① 「消化酵素」の役割分担
- 2-2 タンパク質はどう消化されるか?② 胃の粘膜が消化されない理由
- 2-3 タンパク質と味覚の深~い関係① うま味をキャッチする受容体とは?
- 2-4 タンパク質と味覚の深~い関係② そもそもうま味とは何か?
- 2-5 タンパク質と味覚の深~い関係③ わかってきた「甘味」と「苦味」の正体
- 2-6 タンパク質と味覚の深~い関係④ 「塩味」と「酸味」はここまでわかった
- コラム③ 味覚が「味わい」のすべてではない?
第3章 酵素・受容体・コラーゲン~タンパク質の多様な働き
- 3-1 酵素」の不思議な働き① なぜたくさんの酵素が存在するのか?
- 3-1 「酵素」の不思議な働き② クスリの開発に必要なのはなぜ?
- 3-1 タンパク質研究の最前線~「受容体」が注目されるのはなぜ?
- 3-1 コラーゲンはなぜ体に必要なのか?① 肌や骨を支える重要成分
- 3-1 コラーゲンはなぜ体に必要なのか?② 肌や関節の老化の原因
- コラム④ 「タンパク質工学」って何?
- コラム⑤ 若々しさの原因はわかっていない?
第4章 生命活動とタンパク質のつながり
- 4-1 生物とはどんな存在なのか?① 「4つの定義」とタンパク質
- 4-2 生物とはどんな存在なのか?② タンパク質は「DNAの表現型」
- 4-3 生物にとってのタンパク質① その役割と構造はどうなっている?
- 4-4 生物にとってのタンパク質② タンパク質合成とフォールディング
- 4-5 生物にとってのタンパク質③ ウシを食べてもウシにならない理由
- 4-6 人はなぜ肥満になるのか?~取り込む速度・分解する速度
- 4-7 病気の原因は「タンパク質」にある?
- コラム⑥ 不要な遺伝情報を排除する「スプライシング」
第5章 タンパク質の変異が病気を引き起こす!
- 5-1 タンパク質から見た病気の本質① 病気になるのはタンパク質のせい?
- 5-2 タンパク質から見た病気の本質② 「フォールディング病」とは何か?
- 5-3 「筋ジストロフィー」になると、なぜ筋力が低下するのか?
- 5-4 赤ちゃんの引きつけがサイン?~「てんかん」の意外な原因とは
- 5-5 全容がわかってきた!「アルツハイマー病」の発症メカニズム
- 5-6 これからの課題~「パーキンソン病」と「ALS」はどこまでわかったか?
- 5-7 ガン・ 生活習慣病はなぜ減らないのか?~膨大な数の原因遺伝子
- コラム⑦ 女優 アンジェリーナ・ジョリーの選択
- コラム⑧ 生活習慣病の治療が難しい理由
第6章 謎のタンパク質・プリオン~「狂牛病」をめぐるミステリー
- 6-1 狂牛病はなぜ始まったのか?① 発端は家畜に与えた「骨のエサ」
- 6-2 狂牛病はなぜ始まったのか?② 異常に長い「潜伏期間」の謎
- 6-3 「プリオン」の発見と研究① 「クロイツフェルト・ヤコブ病」の謎
- 6-4 「プリオン」の発見と研究② タンパク質なのに感染する?
- 6-5 「プリオン」の発見と研究③ 「牛肉」で本当に感染するのか?
- コラム⑨ 原因は「牛肉」だけではない
第7章 心の病気・クスリ・タンパク質のつながり
- 7-1 心の病気とタンパク質~「グルタミン酸仮説」と統合失調症
- 7-2 薬が脳に効くメカニズム~「モノアミン仮説」とは何か?
- 7-2 薬物治療に必要な4つの視点① 個人差と医師の力量
- 7-2 薬物治療に必要な4つの視点② 複雑すぎる? 脳内の神経伝達システム
- 7-2 薬物治療に必要な4つの視点③ 薬は脳の「どこ」に効くのか?
- 7-2 薬物治療に必要な4つの視点④ 無視できない「薬の代謝速度」
- コラム⑩ 薬では治せない「心の病」もある
- おわりに……タンパク質は生命科学の主役である
プロフィール
石浦章一
1950年、石川県生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業、同理学系大学院修了。
国立精神・神経センター神経研究所、東京大学分子細胞生物学研究所を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。理学博士。専門は、ヒトの認知機能を分子レベルで研究する分子認知科学、ほかにタンパク質生化学、分子生物学など。アルツハイマー病の発症機構および、トリプレットリピート病や、ドーパミン神経伝達の分子機構の研究などを通し、ヒトの行動異常や知的機能の成り立ちの解明を目指す。著書に『最新遺伝学でわかった 病気にならない人の習慣』(青春出版)、『いつ、までも「老いない脳」をつくる10の生活習慣』(WAC)、『遺伝子が明かす 脳と心のからくり』(羊土社)などがある。