インタビューで知るCMS導入のポイント―株式会社CRI・ミドルウェア

”リニューアル”ではなく”リボーン” CMSでサイト全体を最適化

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株式会社CRI・ミドルウェアは、CSKのシンクタンクから2001年に独立したゲーム機器を中心としたエンターテインメント向けミドルウェア開発企業です。同社では「サイト内のすべてのページをランディングページに」という目的のもと、CMSを利用したWebサイトリニューアルを実施しました。今回、株式会社CRI・ミドルウェア iPhone&SmartPhone推進室長兼営業部マーケティングチームリードディレクター 幅朝徳氏、マーケティングチーム主任 尾沢あずさ氏、制作を担当したメディアプローブ株式会社代表取締役 渡辺泰氏の3名にお話を伺いました。

なぜ“Webリボーン”なのか?

幅氏:当社のWeb サイトは、メインであるミドルウェア製品の紹介をはじめ、採用されたゲームタイトルの情報や企業情報、ニュースリリースの掲載などを目的として、これまでずっと手作業で運用していましたが、サイト規模が大きくなるにつれ、限られた社内リソースでどうやってサイトを成長させて活用を進めていくかが問題になり、今回の「Web リボーン・プロジェクト」がスタートしました。

プロジェクトの社内名称には、⁠リニューアル」ではなく「リボーン」という言葉を使っています。リニューアルというとビジュアルデザインの変更だけだと受けとめられることを避けたかったからです。単なる情報発信ツールではなく、Web サイトを基礎構造そのものから改修し、マーケティングツールとして生まれ変わらせたいという意味を込めて「Web リボーン・プロジェクト」という名前を付けました。

○×表でCMSを選ばない

幅氏:本プロジェクトは、2007 年末に社内で自社サイトに対する問題提起を行い、2008 年に社内検討をすることからスタートしています。そのときに上がった課題として「更新頻度・更新スピードの向上」⁠SEO効果の向上」⁠属人的なシステムの解消」⁠ヒューマンエラーの削減」といった内容がありました。これらを元に、具体的なコンセプトとして「コーポレートサイトのCMS 化(構造化⁠⁠タイトルデータベースの大幅強化」⁠パートナー向けポータルサイトの創設」の3つを掲げています。

CMS 導入を前提にRFP を作成し、複数の制作会社から提案をいただいたところ、WebRelease 2 の他、4 種類のCMS が候補に上がりました。社内で説明するためにはCMS ごとの○×表を作り比較するのが早いのですが、私はそれは行いませんでした。機能面だけを見て何ができて何ができないかを知るよりも、自分たちがサイトに対して求めていること、こだわったことをどれだけ満たせるかのほうが重要だと思ったからです。

提案に関しては、WebRelease 2 ですべてを完結できるご提案をいただいたのが、今回制作を担当したメディアプローブさんのみでした。WebReleaseの個々の機能の高さや商用CMS としての信頼性、またRDBMS なしにタイトルデータベースを構築するといったメディアプローブさんのノウハウ等々を評価して、採用させていただくことになりました。

渡辺氏:当初いただいたRFP はシステム全体の構成についてもしっかり固められたものでしたが、開発・運用のコストやリスク、目標達成のレベル等々のバランスを考えて、我々はあえて静的CMS だけで全体を構築するという代替案をご提示しました。

今回CMS に関してはオープンソースと比較されました。オープンソースCMS はライセンス費用はかかりませんが、カスタマイズや構築後のメンテナンスに手間がかかり、トータルで予算が膨らむリスクがあります。それに対して我々は、構築から運用までのライフサイクルコストを重視して、ノンカスタマイズのままでいろいろな応用ができ、大規模サイトで実績が豊富なWebRelease2 を中心としたご提案をしました。

情報設計に時間をかけ、デザインは終盤に調整

幅氏:今回のプロジェクトでは、一般に公開する日本語・韓国語・英語のサイト、パートナー向けサイト、社内向けサイトの計5 サイトを構築しました。正式に発注したのが2008 年3 月末で、日本語サイトが公開されたのは同年10 月と、キックオフから約半年をかけています。

渡辺氏:各サイト間でコンテンツが連携することや、タイトルデータベースではさまざまな導線が発生するため、弊社としては比較的長めのスケジュールを引き、データ構造やナビゲーションの設計に時間をかけることにしました。WebRelease 2 の場合、テンプレートを変更すると過去に生成したページすべてに反映されるので、事前に情報設計をしっかりやっておいたことで、プロジェクト終盤、ある程度コンテンツが入力された後でもデザインのブラッシュアップに注力することができました。

開発したテンプレートは全部で78 種類です。そのうちコンテンツ入力用テンプレートは10 種類ほどで、あとは裏側で使う補助テンプレートとなっています。入力の利便性は高まりましたが、結果的にコンテンツの参照関係が非常に複雑な情報構造になっており、ブログ系のCMS ではここまで対応できなかったと思います。

株式会社CRI・ミドルウェア iPhone&SmartPhone推進室長 兼営業部マーケティングチーム リードディレクター 幅朝徳氏(左⁠⁠、マーケティングチーム 主任 尾沢あずさ氏(中央)
メディアプローブ株式会社 代表取締役 渡辺泰氏(右)
株式会社CRI・ミドルウェア iPhone&SmartPhone推進室長 兼営業部マーケティングチーム リードディレクター 幅朝徳氏(左)、マーケティングチーム 主任 尾沢あずさ氏(中央)/メディアプローブ株式会社 代表取締役 渡辺泰氏(右)

サイトの価値向上と運用負荷低減の両面の効果

幅氏:新サイトに移行してからまだ半年ですが、PVは1.4 倍、ユニークユーザ数は1.3 倍、コンバージョンレートは1.25 倍と、いずれもはっきりと効果が見えています。当初目指していた「サイト内のページすべてをランディングページに」という、私たちの目標に近づいていると言えるでしょう。

今年の初めに当社はiPhone 事業を立ち上げたのですが、コンテンツの中身の作成は別として、素材が準備できてから公開まで、わずか1 日で新規事業のページができました。作成していただいたテンプレートが拡張性を考慮されたものだったからではありますが、これほど短期間でできたことは、私自身大きな驚きでした。

尾沢氏:WebRelease 2 を導入したことで、情報を迅速に公開できるようになったことはもちろんですが、これまでの手作業の制作ではできなかった高度なナビゲーションを実現できたことも大きいです。各ページにはイベント・セミナーや事例、ニュースリリースなど様々なリンクが配置されています。また採用タイトルでは、アーカイブ(時系列⁠⁠、採用された製品別、プラットフォーム(ゲーム機)別と、いろいろな切り口の導線が置かれています。これらのインデックスは、入力用テンプレートに入力するだけですべて自動生成されます。さらに1回の入力で一般公開サイトとパートナー向けサイト、社内向けサイトのそれぞれに、自動的にコンテンツが振り分けられて表示されるようになっています。

また、お問い合わせのフォームも、WebRelease 2上でテンプレート化し、担当者がさまざまなフォームを自分で作ることができるようになりました。サイトの運用負荷を大幅に下げることができたと思います。

渡辺氏:この問い合わせフォームについては、共通のCGI を使い、各入力フォームの設問と選択肢、そして返信メールの文言などの変更をWebRelease 2 上で行えるようにしています。これにより、目的に応じた問い合わせフォームをタイムリーに作れるように工夫しています。

幅氏:RSS についても、テンプレート化することでコンテンツの更新と連動して自動的に生成されるので、手間をかけずに製品毎に細分化して配信できるようになりました。

今後の展開

幅氏:「リボーン」前と比べるとページ数は大幅に増え、現在6,000 ページを超えていますが、さらにもっとコンテンツを充実させていくことでお客様とのリレーションを深めていきたいと思っています。

編集部:ありがとうございました。

製品名:WebRelease 2
問合せ先:㈱フレームワークスソフトウェア
URL:http://www.frameworks.co.jp/
TEL:03-3547-3676

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