インタビューで知るCMS導入のポイント―ヤマトシステム開発株式会社

PDCAサイクルを短期間で回し、サイトのマーケティング価値を高める

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ヤマトシステム開発株式会社は、ヤマト運輸のコンピュータ室から分社化した企業で、現在はシステム開発およびコンサルティング業務、情報処理の受託・コンピュータシステムの運営管理業務を行っています。2009年4月、同社の主力ビジネスである法人事業の強化を目的に、CMS活用をさらに促進するWebリニューアルを実施しました。今回、プロジェクトを担当した同社経営戦略室経営企画グループチーフ大木慎也氏、Web制作・デザインを担当した株式会社ロフトワークチーフディレクター前田雅子氏の両名に、リニューアルの内容と効果について伺いました。

もう一段上のWebマーケティング効果を目指して

大木:当社のWebサイトが初めて立ち上がったのが1996年です。2006年には、ページ更新スピードの向上とコストダウンを目指すべく、最初のCMS導入を行いリニューアルを実施しました。

その後、2008年1月に全社的な方針として、Webからの問い合わせ増加を目指すことになりました。この背景として、当社の一部署が2007年4月から進めていた、ランディングページの調整やリスティング広告展開によるWeb戦略およびその効果が良かったことが挙げられます。それをふまえて、社内の各部署から担当者が1名ずつ集まり、独学でWebマーケティングを学びながら費用をかけずにWebマーケティングに取り組んでいたのですが、時間の経過とともに限界が見えてきました。

そこで、2008年12月に改めてサイト全体を見直す大幅なリニューアルを実施することが決まりました。

費用対効果と経験の蓄積によりCMSによる運用を継続

大木:今回のリニューアルのゴールは、私たちのお客様である法人の皆さまにとって使いやすい、ユーザ目線に立ったサイトを実現することでした。もちろん、2006年の段階でも同じゴールは目指していたのですが、その後の運用や小さな改修を重ねるに連れ、気がつかないうちに自分たちの使い勝手を優先に、お客様目線がおざなりになる部分が出てきたのです。

今回は、CMSによる運用の有無を含めた大幅なリニューアルとして再検討しました。検討していく中で、CMS運用が持つページ更新性の高さという優位性に加えて、これまでもCMSでの運用をしてきたという私たちの経験の蓄積があり、改めてCMSを使ったサイト制作・運用を行うことにしました。

CMSの選択は、サイトの制作提案も含めた形で行いましたが、今回担当していただいたロフトワークさんからの提案が、私たちが目指すものをきちんと具現化していて、非常にわかりやすかったのでお願いすることになりました。

前田:ヤマトシステム開発様のサイトはすでにWebRelease 2を導入されていましたので、その経験を最大限活かせるようなサイトを目指しました。実際の提案では、ヤマトシステム開発様からの要件を絵として具現化し、お互いの意志の疎通をきちんと行ってブレが生じないよう進めていったのも工夫したポイントですね。

サイトの特徴としては、Webサイトから発信する情報に加えて、BtoBとして展開されるイベントやセミナーといった事業ともうまくリンクできるようなデザインを目指しました。

そこで、コンテンツをブロックに分けてそれぞれを1つの固まりにしながらも、お客様にとって使いやすい情報構造、そのための検索軸の設定を行い、ユーザビリティの向上に主眼を置いたサイトになっているのが特徴です。

入念に時間をかけて行った情報構造と検索軸の設定

大木:今お話にあった情報構造と検索軸の設定には非常に多くの時間をかけました。当社は、お客様の業種が多様で、それに合わせて提供するサービスも非常に多くあります。これらの情報をどうやって見せるか、またアクセスしていただいたユーザにどう見てもらうかというのを、当社のビジネス戦略に合うよう話し合いながら作り上げていきました。

前田:その結果として「課題」⁠キーワード」⁠業種」という3つの軸で検索できるような情報構造になっています。これに合わせて、表示用テンプレートは27種類、入力用テンプレートは4種類作っています。

また、Webマーケティングの効果を高めるために、テンプレートを開発する時点であらかじめSEOコンサルティング企業の方にも入ってもらい、SEO効果の高いテンプレートを実現しています。

ヤマトシステム開発株式会社 経営戦略室経営企画グループ チーフ 大木 慎也 氏(右)
株式会社ロフトワーク チーフディレクター 前田 雅子 氏(左)

ヤマトシステム開発株式会社 経営戦略室経営企画グループ チーフ 大木 慎也 氏(右)、株式会社ロフトワーク チーフディレクター 前田 雅子 氏(左)

生産性の高さが、投資回収を早める

大木:SEOに関しては、あらかじめ効果が高まるように意識したテンプレート作りを行っている一方で、後からも手が加えられるようにもしています。というのも、SEOをはじめとした施策では、その時々のトレンドやユーザの動きによって得られる効果が異なります。そこで、⁠テンプレートの)ベースの部分はキッチリと作ってもらいましたが、当社側で微調整が行えるようにしてもらいました。

微調整を後から行うのは、ユーザビリティの面に関しても同じことが言えます。まずは想定していたユーザ向けに公開し、その後、実際に閲覧したユーザからの反応などを逐次チェックして、ページの見せ方やキーワードの選択など、こちらで行えるレベルの細かな改修を行っています。その他、イベントなどの出したい情報に合わせてトップページの見せ方を変えるようにしています。このような綿密な改善が行えるというのは、WebRelease 2で作ったサイトならではのメリットだと感じています。

前田:実際にテンプレートを開発するにあたっては、どこまで汎用的にするか、あるいはカスタマイズしやすくするかというところでのバランスを取るのが難しい点でした。この部分にも多くの時間を割いて、ヤマトシステム開発様側から、制約する部分と自由にしたい部分というのを明確にしていただきました。その仕様に沿った開発を行い、現在運用に入ってからも大きなトラブルがなくご利用いただけていると思います。

PV105%、訪問者数113%に増加

大木:広告など別の効果もあるので一概には言えませんが、本リニューアルについては、公開後から大きな効果が見られました。リニューアル前の5ヵ月間とリニューアル後の5ヵ月間を比較すると、PVは5%増、訪問者数は13%増という数値が出ています。また、問い合わせページの離脱率が10%減という形で非常に高い結果が得られています。

より積極的な自発的情報発信を目指して

大木:今挙げた数字からもわかるように、Webサイトの訴求力は大幅に上がったと感じています。しかし、トップページやイベント、商品に関するページ、それに合わせたインパクトのあるコンテンツ提供など、まだまだ手を加えていきたい部分があります。現在もA/Bテストを行ってコンテンツを編集したり、ログ解析などを行っています。

こうしたデータの裏付けを利用しながら、今後は、たとえば顧客事例を増やすなど、Webによる集客後のお客様の離脱を少なくできるよう、さらにWebを活用した事業展開を目指します。

製品名:WebRelease 2
問合せ先:㈱フレームワークスソフトウェア
URL:http://www.frameworks.co.jp/
TEL:03-3547-3676

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