人工知能で明日のビジネスは変わるのか?

第9回 人工知能支援サービスの拡大

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人工知能ブーム,そして,

手前味噌ですが,最近人工知能についての話題は,私が以前から提唱していた内容がちらほら見えるようになってきました。

人工知能ブームへの警鐘も増えてきましたし,ディープラーニングとそれ以外をいっしょくたにAIと呼ぶことへの疑問など,なんでもかんでもAI万歳!から少しは地に足がついてきたように思います。

とはいえ,それ以上に誤解を招く記事も濫造されているような気もしますが。

メディアが取り上げる「人工知能」~画像処理とAI支援

ここ最近の人工知能の「中身のある記事」を見てみると,だいたいそれは2つに分けられます。

1つはディープラーニングを活用した,画像処理に関する話題,もう1つはAI支援に関する話題です。

この連載でも何度か触れていますが,ここ2年の人工知能の大きな飛躍は,主にディープラーニングによる画像処理に関するものです。画像に関するもの以外は,ある意味このブームに便乗した,つまりここ2年で画期的な成果があったわけではないものがほとんどです。

たとえば最近の画像に関するニュースでいうと,ディープラーニングを活用した胸部CT読影ですとか,ビジネスではないですがマリオカートの自動運転などがありました。

一方でAI支援に関するニュースに目を向けてみると,ディープラーニングに関する教育プログラムの提供,AIによるビッグデータ分析支援,AIの導入支援などです。

これは私の予想ですが,しばらくはAIのフレームワークやSIに関する支援サービスが増えていくものと思われます。

AIの導入支援サービスなどは以前からありましたが,大きな違いとしては提供する企業の規模が大きくなってきているということです。歴史は繰り返すといいますが,これはよくあるパターンで,新しいテクノロジーに関してはまず新興企業が機動力を活かしてそれを扱います。 そして機が熟してきたころを見計らって,中堅や大手企業が参入してくるというパターンです。過去のクラウドやビッグデータ登場時も,同じような展開は見られましたが,これはつまりAIが過渡期を脱しつつあるということでもあります。

AIの本格活用がスタートするのか?

ではいよいよAIが本格的な活用期に入るのかというと,それはちょっと違います。AI支援はあくまでAI支援であって,最終成果を目指すものではありません。それを使って誰かが最終成果を目指すので,⁠AIを活用した○○」というものが出てくるのはここから2年ほど先ではないでしょうか。

つまりざっくりというと,

⁠ブームの初期でなんだかよくわからない時期(この2年)⁠

⁠環境が整備される時期(ここから2年)⁠

⁠活用期」⁠

というような流れです。

ビッグデータはそれそのものがまだあまり本格的なブレイクに至っていないですが,クラウドを見てみるとそのあたりの流れがよくわかります。

当初はクラウドについて情報が錯綜し,その後さまざまな企業がクラウドサービスの提供を開始しました。ニフティクラウドやホワイトクラウドという名前を覚えている人はいるでしょうか。その後おおむねAWSとAzureに収斂しつつあり,いまではクラウドを活用したWebサービスなどは枚挙に暇がありません。

もっと遡るとSNSも同じでした。

当初はWeb2.0の流れからSNSというものがなんだかよくわからないけどすごいものとして扱われ,その後SNSサービスが乱立しては消え,mixiに収斂したかと思いきやFacebookに一気にまくられるという展開です。

ちなみにSNSもクラウドも,最初は日本企業も頑張りますが,最後は海の向こうの巨人がスタンダードとして君臨しています。

LinuxとFreeBSD,PostgreSQLとMySQLなどもそうですが,どうしてもネットにおけるサービスやソフトウェアは最終的に海外というかUSのものが標準となってしまうケースがほとんどです。それにはいくつか理由がありそれはそれでおもしろい話題ではあるのですが,ここでは触れません。

AI導入の下地はできてきた

いずれにしてもAIの導入や取り組みのためのインフラや支援サービスは出揃い始めました。

そしてこうしたサービスを活用して,これからどのようにAIを活用したサービス自体が出てくるかは興味深いところではあります。成果が出てくるためには「ヒト・モノ・カネ」が必要ですが,カネに関してはすでに昨年から十分この領域への投資がなされつつあります。まあここまでの投資は,ほとんど報われないような気はしますが。

次に始まるのはヒトに関する動きです。すでにAI技術者の囲い込みというのは始まっていますが,それは今後しばらく拡大を続けることでしょう。まさに5年ほど前に起こった,ソーシャルゲーム領域へのエンジニア大移動のようなものです。

ただソーシャルゲームは,それそのものが事業であり短期的かつ大規模な収益に結びつきやすかったので,そのヒトに関する流れはかなりのものがありました。ヒトを集めて事業を伸ばし莫大な利益を上げてさらにヒトを集める,というスパイラルがしばらく続きました。

一方でAIについていえば,ヒトを集めてそれがすぐに莫大な収益には結びつかないと思われるため,この囲い込みブームはある程度の段階で収束してしまうでしょう。だいたい企業というものは2年から3年取り組んで見込みが無いと,方向転換を考え始めます。

それまでの投資が大きいほど,そこからの離脱もまたドラスティックになりがちです。 そこからどうするかが,AIの真価が問われるのではないかと思います。

著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。ライブドア(現LINE)のデータホテルを構築・運営の後,海外にてVoIPベンチャーを創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 株式会社ゼロスタート)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZERO-ZONE」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

株式会社ゼロスタート:https://zero-start.jp/

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