デジタルブランドマネジメント

第10回 ブランドサイトリニューアルチェックリスト

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ブランドサイトにはオンライン販売での売上やセールスリードの獲得など,わかりやすいゴールが存在しない場合が往々にしてあります。ブランド訴求やエンゲージメントなど,明確なゴール設定が困難であるからこそ,正しい制作プロセスが無ければ途中での変更や作り直しが多く発生してしまいます。その結果,予算・工期・品質が圧迫され,リニューアルが成功する可能性は劇的に低下します。ブランドサイトのリニューアルに取り掛かる前に,いくつかのポイントを正しく理解し,制作に関わる全員の合意を得る必要があります。

今回紹介するブランドサイトリニューアルチェックリストは制作者向けの技術的なものではありません。ブランドサイトの目的やコミュニケーションを明確にし,クライアントとエージェンシー側双方でプロジェクトの成功に必要なコンセンサスを得るためのものです。もちろん,すべてを任せられるようなエージェンシーが代行をしてくれれば理想的ですが,現実にはそのようなエージェンシーはあまり存在しません。

現状を把握する

ブランドサイトのリニューアルは機能の改善を目的とするため,現状のパフォーマンスや,リニューアル後もアセットとして活用できる箇所を把握する必要があります。具体的なゴールやコンバージョンが設定されているとすれば,どの程度達成できているのか,アクセス解析から必ずその現状を把握しましょう。また,数値のベンチマークや,アセットとなるページだけでなく,ユーザーの動向からブランドに対するニーズを知ることもできます。

  • 訪問数/訪問者数
  • 直帰率
  • 流入キーワード
  • 重要キーワードでの検索順位
  • コンバージョン数/
  • 最も検索エンジンからアクセスされているページ
  • 最も高いコンバージョンを達成しているページ
  • 離脱率が最も高いページ
  • 直帰率が最も高いページ
  • など…

このような情報が無ければ,リニューアルを検討する前にGoogle Analyticsなどのツールを導入することを強くお勧めします。また,DoubleClick Ad Plannerを使えば訪問数だけでなく訪問者のデモグラフィックなどがわかります。競合サイトとの比較などにも活用できる情報なので,必ず参照しましょう。

ターゲットユーザーを設定する

ブランドサイトのコミュニケーションはブランド中心であってはなりません。ブランドとの関わりを求めるユーザーに目的のアクションを行ってもらうためには,ユーザーとユーザーのニーズがコミュニケーションの中心であるべきです。ターゲットユーザーをデモグラフィックや,サイコグラフィック,購買行動などから詳細に設定することで,効果的なコミュニケーションを立案することができます。

  • 年齢
  • 地域
  • 性別
  • 就業状況
  • 家族構成
  • 価値観
  • 趣味/ライフスタイル
  • 日常の行動
  • 購入ブランド
  • 購入頻度
  • 購入理由
  • など…

ブランドサイトにはコンテンツ毎に個別の動線を設けることができるため,複数のターゲットに対して適切なコミュニケーションを行うことが可能です。ターゲットの特性に応じてページのカテゴリーなどを分け,サイトの設計を行います。

競合を分析する

深い競合の分析を行う必要はありませんが,少なくとも競合ブランドサイトのコミュニケーションなどは把握しておきましょう。ブランドの独自性を見出すためには競合が何を強みとしており,市場にどのように伝えているかを把握する必要があります。競合のコミュニケーションを十分に理解した上で,戦略を立案しましょう。また,各種ツールを使い,自社のブランドサイトと競合を数値的に比較することができます。

競合との比較を行った後に,自社のブランドが優位性を確立する上で必要となるアクションをリスト化し,実施しましょう。

UVP(ユニークバリュープロポジション)を明確にする

コンテンツを作り始める前に,ブランドのユニークバリュープロポジション(UVP:独自の価値提案)を明確にします。競合と最も異なる特性から,ユーザーにどのような価値を提供することができるのか? ユーザーはブランドを体験することで何を得ることができるのか? これが明確にならなければ,ユーザーは購入はおろか,ブランドサイトのコンテンツを読み続けてくれさえしません。直帰率を抑えるために,ユーザーが具体的に何を得ることができて,競合にはそれが提供できないことを伝えなければなりません。

ブランドのUVPが分からないということは,マーケティング活動にとって致命的です。ブランドに様々な特性があり,どの価値を伝えるべきかわからなければ,Twitterなどのソーシャルメディアで自社のブランドや競合ブランドについて検索をしてみると良いでしょう。認知度の高いブランドであれば,様々なつぶやきから特定ブランドの購買理由が見えてきます。競合に無い意見が自社ブランドについてのつぶやきにあれば,それはUVPに関連している可能性が高いと考えられます。

著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

デジタルマーケティングエージェンシー,FICC inc. 代表取締役社長。
デジタルがブランドをどのように強化し,その役割はブランド毎にどう異なるのか? デジタルブランドマネジメントの仕組みを検証する。

URLhttp://www.ficc.jp/

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