ECの成長の鍵は検索にあり~あなたのサイトにもネットコンシェルジュを

第2回ECにおける検索の進化を見る

方向性が180度変わる~ECにおける検索の進化

ECにおける検索の進化について考えてみます。

私が考える一番大きな変化は、方向性が逆になるというものです。

「方向性が逆」だとなんのことだかわからないですね。

今のECサイトにおける検索というのは、ユーザが商品を見つけるためにあるものです。あたりまえのような気がしますが、これを実店舗に当てはめると店員がいなくて端末だけで商品を探しているか、店員がいたとしても聞かれたことに想像力ゼロで回答しているような状態です。

キーワードが間違っていれば結果が出ない、絞り込みの条件がいまいちだと何も出ない、そもそも知らないオススメの商品は見つけようがない、といった感じです。ユーザが駆使してようやく目当ての商品を発見するのが、今の検索です。

これからの検索というのは、ユーザではなくてECサイトが使いこなすものになっていくと、私は思います。これが「方向性が逆」という意味です。

今までの検索とこれからの検索
今までの検索とこれからの検索

ユーザがECサイトにアクセスするためのツールから、ECサイトがユーザにアプローチ・オファーするためのツールになっていくということです。

検索条件が持つ“本当”の価値

そもそも検索で入力する条件というのは、ユーザのアンケートへの回答のようなものです。

キーワード、価格帯、日程、エリア、ジャンル、評価などまさにECサイトからすると垂涎の情報を、ユーザは検索の際に入力してくれています。

そして検索条件をわざわざ入力してくれているタイミングというのは、まさに「買いたいとき」すなわちECサイトにとって商品をオファーするのに最適のタイミングでもあります。

こんな貴重な機会に「キーワードが間違ってるから0件」⁠条件がタイトすぎて0件」とかやっている場合ではありません。

理想を言えばECサイトの検索とは、ユーザが検索条件を入力した瞬間に、経験豊富な店員さんがリアルタイムで商品を選別して検索結果として表示するような検索でしょう。

もちろんそんな処理を人力で24時間稼働でしかもコンマ何秒で返却することは事実上不可能です。DELLのようにチャット機能を持っていて、ユーザの相談に応えるようなサービスを提供しているサイトはたまにありますが。

そこで求められるのが、⁠検索エンジンに経験豊富な店員のような挙動をさせること」です。入力された検索条件を瞬時に分析し、そのときの在庫状況や売れ筋商品、そのユーザの過去の行動履歴、キーワードのゆらぎの吸収、条件の調整や最適化などを行って、ユーザに「これは」と思ってもらえるような商品の一覧を表示するような検索エンジンです。

理想の受け答えを実現するために

ユーザの意図を汲み取って対応する

そのためにはいくつはの必要な条件があります。

まず最も重要なことの1つは検索エンジンが高速であることです。高速でないと上記のような処理を現実的な時間内に行うことができません。

そしてもう1つ重要なのが「商品知識」です。せっかくユーザが検索条件を入れてくれても、検索エンジンに「商品知識」に基づいたロジックが実装されていないと宝の持ち腐れです。ようは「商品知識に基づいた複雑で優れたマーケティングロジックを実装して、それを現実的な時間内で返却できる」ということが重要です。

なんだかあたりまえのように思えますが、前述したように今のECサイトの検索エンジンというのはほとんどがそのような思想では実装されていません。

  • 「0件ヒットなのはユーザの入れた条件が悪いからです( ー`дー´)キリッ」

というような実装がほとんどです。

前回も書きましたが、これからはECサイトを利用するユーザの多くがレイトマジョリティになっていくでしょうから、そういった「検索エンジンをユーザが使いこなしてくれ」という発想は通用しなくなっていきます。

大事なのは実は並べ替え(ソート)

また、これは0件ヒットだけではなく、並べ替え(ソート)についても同じことが言えます。そもそもECサイトにおける検索エンジンの本質はソートです。

一般的には検索エンジンというと「条件によってアイテムを選択して」⁠それを並べる」という2つの処理に大別できますが、普通は「選択」のほうが重要だと考えられています。

もちろん文書検索などでは「選択」は重要な処理ですが、ことECサイトにおいてはそもそも全商品がヒットしていても別にいいのです。ユーザは全商品の中から最もお目当ての物を早く見つけたいだけなので、極論すれば選択しないでソートするだけでもいいくらいです(あくまでもECサイトにおいては、ですが⁠⁠。

そして、一般的な検索エンジンというのは「ソートキーにしやすい属性」を使ってソートしがちです。簡単に言えばインデックスが貼りやすいようなフィールドです。たとえば価格、発売日時、評価(レート⁠⁠、人気順などです。

もちろんそれらが有用なソートキーになるケースもありますが、実際にはECサイトにおいて個々のユーザに最適なソート順というのは実に複雑です。同じ条件でも「どの条件を先に入れたか」で変化することさえあります。

そういったことをきちんと考えているECサイトは、だいたいソートのデフォルトが「おすすめ順」というような、実際には何でソートしているのかよくわからないソートになっていたりします。前述したマーケティングロジックというのは、実はソートロジックそのものであったりします。

今回は、ECサイトにおける検索エンジンの変化として、その活用する方向性が逆になるというトピックについて触れてみました。次回以降はより具体的な例を挙げて解説していきたいと思います。

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