Flashのアクセシビリティについて考える

第4回 音が聞こえない状況と映像の字幕

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

音が聞こえない状況

音が聞こえない状況はいろいろあります。

  • 聴覚障碍である
  • 会社のPCなので周りに気を遣う

聴覚障碍者といっても,障碍者手帳を交付されている方から,高齢化により難聴がすすんだ人までさまざまです。また,一説では,常に戦争をしている国などでは,兵士の約1割が聴覚障碍とも言われています。会社にあるPCでは,周りに気を遣うため音を出せない人が多く,昔はサウンド機能がないPCもありました。

意外に音を利用できない環境や人は大勢いるので,音に頼りっぱなしのUIなどはどのような結果を招くのか慎重にすべきです。

音をなくすには

音が利用できない状況を体験するのは非常に簡単です。スピーカーならボリュームを絞れば良いですし,PCサウンドのミュートをオンにしても良いでしょう。とにかく,PCからの音を聞けなくすれば良いだけです。

その状態で使って見ると,次のことがわかります。

  • 音に頼るインタラクションやゲームは楽しめない
  • アラート音は聞こえないので,画面上の変化が重要
  • 映像の内容を正しく理解するには言葉による解説が重要

1つ目の問題は,インタラクションやゲームの方向性なので,変えようがありません。

こういう性質のコンテンツが,万人に楽しめないのは仕方ないことなので,変に気を回さないことも重要だと筆者は考えます。

2つ目の問題は,たとえば,モーダルダイアログなどで,そのダイアログを閉じないと他の操作が不可能な場合,ダイアログ以外のところをクリックすると「カン!カン!」と硬いアラート音がして,なんとなく操作できないのがわかりますが,音が聞こえなければ,ただ反応しなくなっただけで,フリーズしたのと勘違いしてしまいそうです。

「音は複数ある意志伝達手段の1つ」にすぎません。実際,アラート音だけでなく,様々な部分で,音だけ・画像だけの変化を付けたとしたら,それは間違いで,どちらによる表現もすることで,より多くの人が使いやすいコンテンツになります。

両方が使える人にとっては,耳だけでなく目からも情報が入ってくるため,非常にわかりやすくなるはずです。また,携帯電話などモバイル機器でバイブレーション機能を活用するものもありますが,これも良い伝達手段です。

3つ目は,字幕(キャプション)のことです。次でより詳しく解説します。

映像につける字幕

字幕には,音を使用しないで,情報を伝達する目的以外にも,映像の理解を深めたり,複数言語に対応することで,通訳代わりになるという効果があります。

そこで,映像にはなるべく字幕を設けたいですが,映像に画像として埋め込んでしまうのではなく,テキストデータを字幕として表示する仕組みを利用しましょう。これの利点の1つは,1つの映像に複数言語の字幕を付けられることです。

Flashで字幕を付けるには,FLVPlaybackCaptionningコンポーネントを使用する方法がもっとも簡単でオススメです。

実際に作成してみましょう。

画面キャプチャは,CS5で撮影していますが,CS3以上は同じような操作が可能です。

こちらからpotemkin_sample_cs4.zip:flaファイル(CS4),flvファイル,TTMLファイル)ダウンロードできます。

  1. Flashムービーは,ActionScript3で作成します。AS2では,ここに紹介するコンポーネントが機能しません。

     新規ドキュメントは「ActionScroipt3.0」で作成し,flvファイルと同じフォルダ内に保存する。

    図 新規ドキュメントは「ActionScroipt3.0」で作成し,flvファイルと同じフォルダ内に保存する。

  2. FLVビデオを表示するためにFLVPlaybackコンポーネントを使用します。ステージにドラッグしたらコンポーネントのプロパティで再生するFLVファイル(potemkin_open.flv)を指定します。

    CS4,CS3ではFLVPlaybackコンポーネントを使用します。

     ステージにFLVPlaybackコンポーネントを配置。

    図 ステージにFLVPlaybackコンポーネントを配置。

    図 ステージにFLVPlaybackコンポーネントを配置。

  3. 字幕を表示するために,FLVPlaybackCaptioningコンポーネントをステージに配置し,TTMLテキスト(potemkin_ttml.xml)を指定します。FLVPlaybackCaptioningコンポーネントが見当たらないときは,AS3.0かどうかを確認しましょう。AS3.0以外では,このコンポーネントは動作しません。

     FLVPlaybackCaptioningコンポーネントは,同じステージ上であれば,どこでも良いので配置。

    図 FLVPlaybackCaptioningコンポーネントは,同じステージ上であれば,どこでも良いので配置。

    図 FLVPlaybackCaptioningコンポーネントは,同じステージ上であれば,どこでも良いので配置。

  4. ムービープレビューすると,字幕がムービーの上に重なって再生されます。

     黒字に白文字で表示される字幕。

    図 黒字に白文字で表示される字幕。

著者プロフィール

NORI(伊藤のりゆき)

Twitter:@nori_togoru

有限会社トゴル・カンパニー代表。Flashアクセシビリティをきっかにアクセシビリティ全般に興味を持つ。UIデベロッパとして企業用WebアプリケーションのUIデザインを行う。写真集「Snap or Nothing写真集」(iTunes AppStoreにて)をリリースするなど写真家としても活動している。

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