価値を生むために知っておくべき,フルフラッシュサイト制作のあらすじ

第3回 進行管理 ― スケジュール管理?クオリティ管理?―

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制作に欠かせない仕事術

連載第3回目となる今回は,Webサイト制作の「進行管理」について言及していきます。今回ご説明する進行管理とは,Webサイトの制作ワークフローにおける特定のフェーズに焦点を当てた作業のことではありません。コンテンツ企画に始まり,最終的には完成したWebサイトがネット上に公開されるまでの全工程を対象にした仕事を意味しています。

ですから,今回のお話は技法についてというよりも,あくまで実務的な"仕事術"にまつわる講義と言って差し支えないでしょう。HTMLベースのWebサイトとフルフラッシュサイトの進行管理にさほど大きな違いが存在するわけでもありません。このため,今回のテーマは本稿の主題から若干寄り道をしているように見える部分があるかと思います。

しかし,著者がWebサイトの進行管理に最も重要と考える「細部への気配り」は,Flashを用いたWebサイトの制作現場でこそ,より一層大切さを増していくものと考えています。この点を理解するためにも,まずはWebサイト制作における「進行管理」「ディレクター」という,切っても切り離せない二つのキーワードの捉え方からお話してみたいと思います。

スケジュール管理だけでは…

Web業界は歴史が浅いという事情もあり,クライアントとの折衝役,制作現場を仕切る監督,スケジュール管理役といった各種進行に関わる作業の全てがディレクターに一任されている制作現場は多いと思います。「進行」というと,とかく各担当者のスケジュールを調整するだけの段取り屋のように捉えられてしまいがちです。しかしWebサイト制作で進行管理を担うディレクターの最も重要な役割は,何よりWebサイトのゴールを明確に設定しつつ,プロジェクトメンバーを設定したゴールへと確実に導くことにあると,著者は考えています。

ディレクター本来の役割は指揮者”。プロジェクトに明確なゴールを設定し,それをすべての制作関係者に共有させて,そのゴールへと導くことにある。

ディレクター本来の役割は“指揮者”。プロジェクトに明確なゴールを設定し,それをすべての制作関係者に共有させて,そのゴールへと導くことにある。

例えば映画の制作現場であれば,ディレクターと言えば監督を指します。ストーリーやキャスティングといったマテリアルを駆使しながら,制作現場全体に対してタクトを振るう存在と言えるでしょう。この"指揮者"のようなディレクターのもと,スケジュールや予算を管理するスタッフはそれぞれ独立したセクションとして現場に関わる構図となります。

ところが,Webサイトの制作現場は,映画やテレビ番組の制作現場ほど大掛かりなスタッフの陣容を敷くことはあまり多くありません。規模の小さい制作会社では,デザイナーやコピーライターが進行管理まで担当するケースも珍しくないと思います。こういった状況では,ディレクターはなおさら「進行」という言葉を額面通りに捉えず,まずは設定したゴールを掲げながらクオリティを管理するという本来の使命を強く意識する必要があるのではないでしょうか。

スケジュールを遵守してWebサイトを完成させても,クライアントの望みを達成できるようなクオリティを備えていなければプロジェクトは成功したと言えません。まずはクライアントの望み(=Webサイトの目的)を理解したうえで,Webサイトの完成形を的確にイメージできる力…,さらにはそのイメージをクライアントや制作者のすべてに共有させながらプロジェクトを前進させる力こそ,クオリティを伴った進行管理を実現する資質です。この前提を踏まえたうえで,以下に具体的な進行管理の流れを追ってみましょう。

著者プロフィール

齋藤順一(さいとうじゅんいち)

ARCHETYP代表。キノトロープ,ベースメントファクトリープロダクションを経て2007年5月株式会社アーキタイプを設立。

URLhttp://www.archetyp.jp/

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