キーパーソンが見るWeb業界

第1回 Web業界の今,個人の価値

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本誌#14にて実施した座談会「Webディレクター,かくあるべき」。

キーパーソンによる,鋭い視点とともに,さまざまな角度から熱い議論が交わされました。その3人が再び誌面に帰ってきました。

今回から装いも新たに,「キーパーソンが見るWeb業界」と題し,新連載としてスタートします!

第1回目となる今回は,ずばりWeb業界を目指す人に向けて,Web業界の今,どういう人物像が求められるのか,いったいどのぐらい稼げるのか,など,気になるポイントについてお話しいただきました。

森田 雄(MORITA Yuu)
(株)ビジネス・アーキテクツ取締役,Quality Improvement Director。

東芝EMI,マイクロソフトなどを経て,ビジネス・アーキテクツの設立に参画,2005年より取締役。XHTMLやCSSなどのフロントエンド技術,アクセシビリティ,ユーザビリティのスペシャリスト。日本ウェブ協会副理事長。CG-ARTS協会委員。アックゼロヨン・アワード審査員。広告電通賞審議会選考委員。著書(共著)『Webデザイン -コミュニケーションデザインの実践-』など。

阿部淳也(Junya Abe)
1PAC. INC.代表取締役 クリエイティブディレクター

自動車メーカにて電装部品のユーザインターフェース設計を8年間手がけた後,IT事業部異動。約4年間Webデザイン,Flashオーサリングなどを手がけるとともに,営業支援システムや化学物質管理システムなどのテクニカルディレクターを経験。2004年よりCosmo Interactive Inc.に参加。多くのWebサイト立ち上げにプロデューサ,クリエイティブディレクターとして携わる。2008年にワンパクとして独立。

長谷川敦士(Atsushi Hasegawa, Ph.D.)
(株)コンセント 代表/インフォメーションアーキテクト

1973年山形県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(Ph.D.)。素粒子物理,認知科学を専攻。ネットイヤーグループ㈱勤務を経て,2002年に「Web時代の設計事務所」,㈱コンセントを設立,代表を務める。情報アーキテクチャという概念を基軸に,大規模サイトのプロデュース/設計から,コンテンツ編集まで幅広く活動を行っている。雑誌などへの執筆多数。

Web業界の見え方,見られ方

新連載実施にあたり,gihyo.jpにて連載に関するアンケートを実施しました。どういったテーマを知りたいか,何を話してもらいたいか,回答をいただいています。その中で目にとまったのが

Web業界と呼ばれる中の職種に就いて,いい生活レベルができるぐらいの収入を得るための,何かアドバイス的なものがあればお願いしたいです。

職業やプロ意識,というのはそういうお金がすべてではないとは思うのですが,「Web業界」という言い方は,なんだか普通,もしくは低賃金な世界がイメージされている部分もあると思うのです。

という答え。そこで,この答えをテーマに座談会はスタートしました。

Web業界の今は?

――最初に,個人レベルの話題の前にWeb業界について俯瞰していただきました。Web制作における予算状況の遷移は,今どうなっているのでしょうか。ここ数年を振り返りながら討論していただきました。

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森田:今年に入って急にというわけではないんですが,全体として年々制作予算が減ってきている印象を受けます。その要因としては,何が価値と認められて予算に振り替えていけるかっていう部分が,変わってきているというのが挙げられます。

たとえば,2000年ごろであれば,コーポレートサイトの制作においては,そのガイドラインを作ること自体にも特別な価値があったけど,今は(ガイドラインは作って)ある意味あたりまえという状況にもなってきていて。このあたりだけでは高い付加価値にはなりづらい傾向もある,と。

阿部:ただ,まだそれ(ガイドライン作成)をメインに受注している同業者もいますよね。といっても,たいていはそこがゴールになっていることが多いようですが。

森田:ええ,それはそれで1つのスタイルというか。ガイドライン作成に特化したビジネスなんですよね。それがゴールという案件もあるようですし。ですからそれがゴールではない場合においての話です。

そもそもとして,コーポレートサイトという箱は必要だっていうのは共通認識としてあるのだろうけど,百科事典のようなものとしてのコーポレートサイトだとしたら,それは何度も作る必要がないっていう認識が一般的になってきたのかなと思っています。そうなると,ガイドラインそのもののリニューアルっていうのもあまりなくなってくる。

一方で,たとえばプロダクトに特化したサイトとか,コーポレートのブランディングに特化したサイトとかの需要が増えてきている。純粋にブランディングサイトを作る,というニーズもありますし。昨今,そういったもののほうが予算がつきやすいっていう事情もあるのでしょうが。

長谷川:たしかに,予算の話で言えばそうなっているのかもしれません。ただ,ブランディングというのは,何か1つのコンテンツで行うものではなく,サイト全体で行うものです。あるコンセプトがあれば,コンテンツはもとより,サイトすべての表現で体現されている必要があります。

森田:ええ,極端に言えば,ヘッダとフッタですが(笑)。

長谷川:たしかに,ヘッダ,フッタは,サイトの全体構造やグローバルナビゲーション項目を体現するものですので,変更するのは大きなことです。この全体構造を検討するためには,企業内でのそれぞれのサービスや情報の位置付けや,考え方を整理する必要があり,大きな意志決定が必要となります。

森田:ヘッダ,フッタの改訂を含めたリニューアルっていうとき,それはブランディングにも大きく影響がありますから,実装がどうだとかガイドラインがどうだとかよりも,一番重要になってくるのはおそらく社内調整なんですよね。

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