はじめてのLiferay─短時間で高度なWebシステム構築

第2回 Liferayで始めるWebサイト

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Liferayのインストール

第2回は,Liferayのインストール,セットアップと簡単なWebページを作成するための基本機能および操作を説明します。Liferayは多くの機能をサポートしていますが,使える機能と使えない機能があります。Liferayの説明と注意した方がよい点を含めて説明します。

利用するLiferayの選択

Liferayを利用する時に一番最初に決めないといけないのは,使うLiferayの版です。Liferayポータルは無償のコミュニティ版と有償のエンタープライズ版があります。コミュニティ版は無償でダウンロードして使える代わりにセキュリティパッチ等はLiferay社から提供されていません。バグを発見した場合にLiferay社にバグを報告することはできますが,コミュニティ版での修正は次バージョンになります。公開されているソースコードは随時に修正はされますが,開発中の最新バージョンのソースコードしか公開されていないため,GA(General Availability)リリースのバグ修正は自分で行うか,コミュニティにパッチの作成を依頼するかしかありません。

Liferay社はエンタープライズ版のバグフィックスをサブスクリプションを購入したユーザに提供していますが,バグが修正されるまでには時間が掛る時もあります。また,エンタープライズは商用ライセンスのため,ソースコードは公開されていますが,ビルド用のプロパティファイルやスクリプトなどは提供されていません。このため,エンタープライズ版を利用している場合は,Liferay本体のソースコードを直接修正することはできません。プラグインを使って修正することもできますが,データ構造を変更する場合などは,コミュニティ版よりも複雑な修正が必要になります。

また,Liferay社から提供されるGA版は,日本語が正しく扱えるかのテストは行っていないようです。たとえば,Liferay 6.1.0 GA1 JBossバンドル版はJBoss 7.0.2が同梱されています。しかし,JBoss 7.0.xはURI Encoding属性をサポートしていないため,日本語が文字化けする場合があります。

このようなことから,本記事はLiferay社のコミュニティ版を元に作成した日本語版Liferayを使っています。日本語版のLiferay 6.1.0 GA1 JBossバンドル版は,文字化けを回避するためにJBoss7.1を使っています。また,セキュリティパッチやメッセージの和訳の他にもバグフィックスや問題が起こりやすい機能を無効にしています。

日本語版は初期画面やデフォルト設定を変更していますが,Liferay社から入手した版もLiferay社のデモ設定になっています。どちらにしても,実際に使う時にはこれらの設定を変更することになると思います。本記事はLiferayをインストール/セットアップする手順の他にもこれらの設定の変更の説明をします。

Liferay社からはアプリケーションサーバが同梱されているファイルの他に,Liferayのみのwarファイルが提供されています。warファイルを利用する場合は,アプリケーションサーバによってはwarファイルをアプリケーションサーバにデプロイしただけでは動作しない場合もありますので注意してください。なお,Liferayに同梱されている第三者ソフトウェアと,アプリケーションサーバに同梱されている第三者ソフトウェアのバージョンが不一致のため動作しない場合もありますので注意してください。

事前準備

Liferayは最近の低スペックのノートブックパソコンでも動作します。たとえば,メモリ1GB,デュアルコアCPU 2.5GHzのノートブックでも動作します。ただし,立ち上がり時間やレスポンス時間が遅いため,メモリ4GB以上のクアッドコア以上の機器にインストールすることを推奨します。

LiferayはJavaアプリケーションです。利用する場合はOracle JDK 1.5又はOracle JDK1.6が必要です。最新版のJDK 1.7の対応はLiferay 6.2.xからになりますので現在(2013年2月4日)⁠公開されている最新リリース6.1.1GA2で使うとエラーになる機能があります。今回はLiferay社で開発に利用されているJDK1.6を利用します。また,LinuxなどではOpen JDKがプリインストールされている場合もありますが,Open JDKでは正しく動作しない機能があるため,Oracle JDKをインストールしておいてください。

Windowsでzipファイルを解凍すると,すべてのファイルが解凍されない場合があります。すべてのファイルが解凍されていないとLiferayが正しく起動しません。そのような場合は7-zipのようなツールを使ってファイルを解凍してください。

Liferayをインストールするファイルシステムが圧縮/暗号化されていると,Liferayが正しく動作しない場合があります。圧縮/暗号化されていないファイルシステムを利用してください。

LiferayはJavaアプリケーションのため,Javaが動く環境であれば動作します。WebサーバOSとしてはMicrosoft WindowsよりもLinuxの方が多く利用されているかもしれませんが,本連載ではポートレットなどの開発についても説明するため,一般的なWindowsでのスタンドアロン開発環境表1での利用を主に説明します。ただし,Linuxでも同様な手順でインストールおよびセットアップすることができます。その場合に特に注意が必要な点についての説明もします。

表1 実行環境の例

分類ソフトウェア(バージョン)備考
OSWindows 764ビット
JavaOracle JDK(1.6.x)JREでも可能。ただし,開発を行う場合はJDKが必須。
アプリケーションサーバTomcat(7.0.27)Liferayに同梱
ポータルLiferay(日本語版 6.1.1-ce-ga2) 
データベースHSQL本番環境では外部データベースを利用することが推奨されています。

Liferayのインストールと起動

図1は今回行う作業の流れです。手順①から③でLiferayはインストールされます。手順④と⑤は自分のWebサイト環境用にLiferayをカスタマイズする設定です。実際にLiferayをサーバにセットアップする場合はファイアウォール,サービスの自動起動,データのバックアップなどの設定も行いますが,手順①から⑤を行えばLiferayをスタンドアロン開発環境用として使うことができます。

図1 Liferayをセットアップする主な流れ

図1 Liferayをセットアップする主な流れ

①Liferayをダウンロードする

日本語版Liferayは以下のページからダウンロードできます。Liferay社からのリリースとは別にセキュリティパッチや日本語メッセージを改善するたびに日本語版は更新されます。なお,日本語版LiferayはTomcatを同梱しています。他のアプリケーションサーバは未対応です。

日本語版Liferay
URL:http://oss-ja-jpn.sourceforge.jp/liferay/

②Liferayを解凍する

ダウンロードした日本語版Liferayをフォルダに解凍します。解凍するとdata,license,tomcatフォルダが作成されます。Oracle JDK1.6がインストールされている環境にダウンロードしたファイルを解凍すればインストール作業は完了です。

③Liferayを起動する

解凍したディレクトリ内のtomcat-7.0.27\binフォルダのスタートアップスクリプトを実行するとLiferayは起動します。Windowsの場合はファイルエクスプローラからstartup.batをダブルクリックしてください。Linuxの場合は,コマンドプロントを開いて,tomcat-7.0.27\binへ移動して./startup.shコマンドを実行してください表2)⁠

表2 スタートアップスクリプト

OSスタートアップスクリプトのファイル名備考
Windowsstartup.batファイルエクスプローラからファイルを選択
Linuxstartup.shbinディレクトリに移動した後にコマンドプロントから「./startup.sh」

Liferayを起動すると,ログファイルにメッセージが出力されます。Windowsの場合はコンソール画面にもメッセージが表示されます。Linuxの場合はtailコマンドを使ってlogsディレクトリ内のcatalina.outファイルを見てください。

tail -f ../logs/catalina.out

正しく起動した場合は「情報: Server startup in xxx ms」と表示されます。されない場合は,ダウンロードされたファイルがすべて解凍されてなった可能性がありますので,再び解凍してください。それでも起動しない場合は,日本Liferayコミュニティのメーリングリスト(liferay-jp-users)に質問を投稿してください。

Liferayを起動すると,フォルダ構成は以下のようになります。

data
  • Liferay用のデータが保管されます。以下のデータ用にサブフォルダが作成されます。
  • hsql
    • データベースが指定されていない場合は,HSQLデータベースのデータが保存されます。
  • document_library
    • その他にMS Officeファイルや画像ファイルをLiferayに保存すると,このフォルダに保存されます。
  • jackrabbit
    • Apache Jackrabbitを利用する場合の設定ファイルがあります。
  • lucene
    • 検索用の索引が保存されます。Liferayは標準ではApache Luceneを利用しますが,日本語検索の精度を上げたい場合はApache Solrに置き変えることができます。
  • deploy
    • Liferay用プラグインをデプロイするためのフォルダ
  • license
    • 利用している第三者ソフトウェア一覧,バージョン情報,プロジェクトへのリンク
  • logs
    • Liferay用のログファイル。通常はこのログファイルよりもアプリケーションサーバのログを見ます(tomcat-7.0.27/logs)⁠
  • tomcat-7.0.27
    • アプリケーションサーバのフォルダ。利用するアプリケーションサーバによって名前とサブフォルダは異なります。
    • bin
      • アプリケーションサーバを起動/終了するためのスクリプトおよび設定ファイル
    • logs
      • アプリケーションのログファイル
    • webapps
      • ROOT:Liferayポータル用のフォルダ

著者プロフィール

小沢仁(おざわひとし)

株式会社オージス総研

米シカゴ育ち。シカゴ大学で物理を専攻。Oracle XDKを日本に紹介,Seasar英語ページを作成,ESB Muleコミッタとして同ソフトの日本ローカライズ/日本語サイト構築,WaveMakerの日本語ドキュメントを作成,Apache ManifoldCFコミッタ/日本語ページやMySQL対応を貢献。IEEE APSCC 2009などでSOAの研究発表も行っている。

Liferayに興味をもち,Liferay.comフォーラムでサポートしたりWikiページを作成している。Liferay6およびLiferfay IDEの日本語化や日本語資料も作成している。2012年にLiferay社からグローバルレベルでの「Liferay Community Contributor of the Year 2012」を受賞。

現在,米ナッシュビルで開催されるAgile2013カンファレンスでオフショア開発についての発表申請に時間を費やしている。

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