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第4回 ドメインってなに? Whoisで個人情報が丸見え? ドメインの仕組みを学んでトラブルを回避しよう

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ドメインを売るお店には「レジストラ」「リセラ」の2種類がある

実は,一口に「ドメインのお店」と言っても,その実態はレジストラ(登録事業者)リセラ(再販事業者)の2種類に分かれています。具体的に言うと,お名前.comは「レジストラ(登録事業者⁠⁠」ですが,Yahoo!ドメインやムームードメイン,FC2ドメインは,レジストラの下にいる「リセラ(再販事業者⁠⁠」です。

レジストラにリセラと,いきなりカタカナが出てきて戸惑うかもしれませんが,次の図を見てください。青色のリセラ(再販事業者)は,緑色のレジストラ(登録事業者)からドメインを仕入れて,それを再販しているという違いになります。

レジストラとリセラの関係

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ムームードメインは図の通り,お名前.comやeNomといったレジストラからドメインを仕入れてそれを再販していますし,Yahoo!ドメインはMelbourneITというレジストラからドメインを仕入れて再販しています(FC2ドメインは仕入れ元のレジストラを公開していませんでした⁠⁠。けれど,普段ドメインを購入するときは,そのお店がレジストラなのかリセラなのかなんて意識しませんよね。

レジストラとリセラのどちらからドメインを購入しても,ドメインとしての品質に差はありません。ただ,どこから購入するとしても,サービスレベルが低いお店で購入すると「更新手続きを行ったのに,お店がドメインの更新申請をレジストリまできちんと上げず,ドメインが失効してしまった」⁠ドメインを買ったお店が倒産して,連絡が取れなくなってしまった」などの問題が起きることもありえます。ドメインを購入するときは値段だけで判断せずに,信頼できるリセラあるいはレジストラかどうかを,きちんと確認しましょう。

ちなみにお店を選ぶポイントは,他にもあります。主に次にあげた項目を確認して,どこで購入するかを総合的に判断するようにしましょう。

  • 「初年度はキャンペーン価格で180円だけど,2年目からは6,980円」のように,2年目以降行の価格が高額に設定されていないか
  • ドメインに関する設定変更には都度お金がかからず,管理画面から無料ですぐに変更できるか
  • ドメインを購入すると,DNSサーバが使える無料のオプションがついているか

レジストラはどこからドメインを仕入れている?

先ほど「リセラはレジストラからドメインを仕入れて販売している」という話をしました。ではレジストラは,いったいどこからドメインを仕入れているのでしょうか。

レジストラは「レジストリ(登録管理組織⁠⁠」からドメインを仕入れています。レジストラとレジストリと,1文字違いで混乱してしまうネーミングですね。ごちゃごちゃしてきたので,先ほどのレジストラとリセラの関係も含めて図にして整理してみます。

レジストリ・レジストラ・リセラの関係

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ドメインは,黄色のレジストリから緑色のレジストラに卸され,そこからさらに青色のリセラに卸されます。そして私たちがドメインを必要としているときは,先ほど言ったとおりレジストラから購入することも,リセラから購入することもできます。

ではレジストラにドメインを卸すレジストリとは,いったいどんな存在なのでしょう。ありとあらゆるドメインが生まれてくる,魔法の泉みたいなものなのでしょうか。

1つのTLDにつき1つのレジストリが存在している

そこで,レジストリについて少し話を掘り下げて説明していきます。

ドメインは「imjbank.co.jp」「yahoo.com⁠⁠,⁠example.net」のように,.(ドット)で区切られています。このドットで区切られたいちばん右のjpやcomやnetのことを「TLD」と呼びます。TLDとは,トップレベルドメインの略です。

そしてこのTLDを管理しているのが,先ほど紹介にあったレジストリです。TLDは,1つにつき,必ず1つの「レジストリ(登録管理組織⁠⁠」によって管理されています

例えば「imjbank.co.jp」のTLDは「jp」です。そしてこの「jp」というTLDは,日本の株式会社日本レジストリサービス(以下JPRS)がレジストリです。それから,⁠yahoo.com」「example.net」のTLDは,それぞれ「com」「net」です。この「com」「net」というTLDはVeriSign,Inc.がレジストリです。その他にも,2014年から販売が始まる「tokyo」「nagoya」というTLDは,お名前.comと同じGMOグループに属している,GMOドメインレジストリ株式会社がレジストリです。

ドメインが手元にくるまでの流れ

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このようにTLDにはそれぞれ1社ずつレジストリがいて,そこが,そのTLDの唯一の生産元となります。例えば「imjbank.co.jp」というドメインを購入しようとすると,先ほどのJPRSがレジストリです。⁠imjbank.co.jp」をお名前.comで購入しても(黒の矢印⁠⁠,ムームードメインで購入しても(赤の矢印⁠⁠,そのドメインの生産元は必ずJPRSなのです。

TLDの卸値は,レジストリ自身が決めます。comは卸値が安いので,お名前.comでも600円と安めの価格ですが,jpは元々の卸値が少し高いので2,840円と高めの価格で販売されています(執筆当時⁠⁠。

そして生産元のレジストリは,エンドユーザへ直接ドメインを売りません。しかし,お名前.comでも,ムームードメインでも,jpで終わるドメインが売れたら,生産元であるJPRSに必ずお金が入ります。

TLDごとにレジストリが1社のみと決められているのは,同じドメインが同時に2つ存在しないようにするためです。AさんとBさんが同時に「imjbank.co.jp」を購入してしまい,2人とも使おうとして,どちらのサイトを表示したらいいのか大混乱!のようなトラブルが起こらないように,つまり一意性を保つために,JPRSが「jp」というTLDを一元管理しているのです。

生産元であるレジストリがきちんとTLDを管理しないと,皆がドメインを安心して購入したり,使ったりできません。ではそんな責任重大なレジストリをどこに任せるのかは,いったい誰が決めるのでしょう。

ICANN(アイキャン)がレジストリを選ぶ

「あなたがJPドメインのレジストリです」と,JPRSを選んだのは誰かというと,ICANN(アイキャン)という組織です。ICANNはIPアドレスやドメイン名といったインターネットの資源を,全世界的に調整・管理する非営利法人です。⁠tokyo」「nagoya」のような新しいTLDを作ります,と決める決定権があるのもここですし,TLDごとのレジストリを決めるのもこの組織です。

実は,新しいTLDが欲しいときは,ICANNに対して「このTLDを作ってほしいです。うちがレジストリになります」と申請ができます。もちろん,ICANNが検討し,承認しなければそのTLDは実現しませんが,現在も「canon」⁠ntt」⁠sony」⁠toyota」といったTLDが,そのブランドを有する各社から申請されています。

少し前にGoogleが「.みんな」というTLDのレジストリになって,どんな「○○.みんな」が欲しいですか?というキャンペーンをして,話題になっていましたね。このようにTLDは英語だけでなく,日本語も存在しています。

ちなみに猫好きにはたまらない「cat」というTLDもあります。しかし「○○.cat」というドメインは,お名前.comでは販売されていません。なぜでしょうか。

どのTLDを入荷するかはレジストラやリセラが自分で決められる

それは,それぞれのお店(レジストラやリセラ)が,どのTLDを入荷するかを自分で決められるからです。お店の方針次第で,お名前.comのように数多くのTLDを取り揃えているレジストラもあれば,品ぞろえを絞っているYahoo!ドメインのようなリセラもあるのです。

では、お名前で「○○.cat」というドメインを販売していないのはなぜか? それは,お名前.comが「うちではcatを扱わない」という判断をしたからです。Yahoo!ドメインで「imjbank.co.jp」を販売していなかったのも同じ理由で,⁠co.jpを扱わない」という判断をしていたからなのです。

これがレジストリ,レジストラ,リセラの関係です。それでは「imjbank.co.jp」というドメインを取得して,Webサイトを開設しようと奮闘しているIMJ銀行の担当者の話に戻りましょう。

ドメインは誰でも買える? 特別な人しか買えない?

ドメインはどこで購入すればいいのか,というポイントも理解できたので,IMJ銀行の広報担当者は今回,国内最大手のレジストラの「お名前.com」でドメインを購入することにしました。取り扱っているTLDの種類が多く,購入しようと思えば「imjbank.com」「imjbank.jp」なども一緒に購入すできるため,フィッシング詐欺の抑止策としてTLD違いを押さえておくのもいいですね。

お名前.comで「imjbank.co.jp」を選択して,購入手続きを進めようとすると,次の確認画面が表示されました。

CO.JPドメインご登録条件確認の画面

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「○○.co.jp」のドメインを購入するための条件が表示されています。この条件とは次の2つです。

  • 日本国内で法人登記をしている会社,もしくは登記申請中の会社しか取得できない
  • 1組織につき1つの属性型JPドメイン名(co.jpやac.jp,go.jpのこと)しか取得できない

この2つの条件を満たさないと,⁠○○.co.jp」のドメインを購入することはできないのです。

こうした条件があるのは「co.jp」だけではありません。例えば「ac.jp」は日本の学校法人しか取得できませんし,⁠go.jp」は日本の政府機関しか取得できません。そもそも「jp」で終わるドメインは,日本国内に住所を持つ組織・個人・団体しか取得できません。

ドメインすべてに条件があるわけではなく,こうした条件が一切ないドメイン,あるいは条件はあるけれど,購入時に特に確認されないため,実際は誰でも購入できるドメインなどもあります。皆さんにとってなじみ深い「com」「net」といったTLDは,どこの国の誰でも無条件で購入できます。

今回の話では,株式会社IMJ銀行の登記は既に済んでおり,IMJ銀行として他に取得している「co.jp」のドメインもないという前提のため,この内容で問題ありません。そのまま手続きを進めましょう。

購入者の氏名や会社名,住所に電話番号を登録し,クレジットカードで決済して,これで「imjbank.co.jp」は無事,株式会社IMJ銀行のものになりました(後日,申請書と印鑑証明書を郵送する必要があります⁠⁠。

著者プロフィール

堀越良子(ほりこしよしこ)

株式会社アイ・エム・ジェイのインフラエンジニア。ウェブインテグレーションの下支えとなるサーバホスティングサービスの構築と運用を担当している。

モバイルサイトのエンジニア,SIerとソーシャルゲームの広報を経て,2013年より現職。「分からない気持ち」に寄り添える技術者になれるように日々奮闘中。