続々と世の中に広まり始めたタブレットデバイスによってWebもまた大きな局面をむかえた今、“ Webとは何か” を考える任意団体WebSig24/7で「創り手が意識すべきタブレット、ユーザが使い始めるタブレット」をテーマとしたイベントを2012年12月1日に開催しました。ここではその当日の様子をレポートします。
第30回に引き続き、株式会社ミクシィセミナールームで開催されました
オープニングセッション:タブレットの現状
12月に入り一気に冷え込んだ週末、ミクシィセミナールームにてイベントが始まりました。オープニングセッションでは、WebSig24/7モデレーター足立より、近年のタブレット出荷台数・利用状況の解説があり、それによるツールとしてのWeb・コンテンツとしてのWebについての問題提起から、このイベントにおける考察課題の説明がされました。
「既存コンテンツにおいて圧倒的なタブレット利用のニーズが高まっているのに対して、タブレットならではの使い方の提案が不十分なのではないか」と話す足立
ファーストセッション:開発者から見た Windows 8、その機能美とポテンシャル
オープニングセッションを受け、ファーストセッションにスピーカーとして登壇したのは、Windowsストア アプリの開発に積極的な株式会社FIXERの代表・松岡清一氏とエンジニアの皆川隆洋氏。
まずは松岡氏から、Windows 8が発売されてからのエンドユーザへの影響や、タブレットに対する注目度、Windowsストアに対してのマーケットの可能性が今まさに考えていくべきポイントであると語られました。
次いで皆川氏から、これまで制作したWindowsアプリの事例をもとにアプリのデザインについての紹介がされました。多くのWindowsアプリがWindows 8で採用されたModern UI Styleをベースとしてデザインされており、その特徴として「線やグラデーションではなく面であること」「 要素を詰め込みすぎない」といった点があるそうです。
Windows 8とWindowsストアの可能性について松岡氏と皆川氏
セカンドセッション:タブレットが与える影響について考える
ゼロベース株式会社の代表 石橋秀仁氏からは、タブレットによってコンテンツを使う側の意識の変化が、コンテンツの見た目や使い心地においてどういう影響をもたらしたかについて、5つの視点から解釈がされました。
まず1つ目に「ユーザインターフェースの進化」 、CUI(Character User Interface)に始まりGUI(Graphical User Interface)と進んで、現在はNUI(Natural User Interface)という進化をたどってきたということを紹介。これはツールの“ 透明化” の変遷だと説明があり、それを実現するために「アーキテクチャの進化」「 デバイスの多様化」「 デバイスのフリー化」という視点の提示がありました。
これらは、「 結果的にはユーザビリティ・アクセシビリティなど、“ できなかったことが、できるようになること” を総称した「アビリティ」を高めることにつながる」と同氏の見解が述べられました。つまり「アビリティ」をいかに推進できるかが、今後のWebデザイン・Web制作における、私たちWebのプロフェッショナルとしての課題とし、プレゼンテーションを締めくくりました。
「IAとITAが相思相愛の関係になれば、みんなが幸せになる」と語る石橋氏
サードセッション:Web制作者は変化についていけるか?変化についていくべきか?
スマートフォンやタブレットなどの普及で(とくにオンラインの)コンテンツを閲覧するためのデバイスが多様化している。その中でコンテンツをどこまで対応させるべきか、という制作現場の不安に対して、初期の立ち上げ時点で無理のない設計と柔軟なワークフローを現場全体が意識することが大事であると提唱されたのは、Web制作関連の書籍やセミナーなどで幅広く活躍されている、こもりまさあき氏。
「利用者のことを考えることが大事」とユーザー視点での考えを勧める、こもりまさあき氏
それぞれのデバイスでできることが何かを把握しつつ、どうしたらより効率的かつデバイスごとに適した体験のさせ方ができるかどうかを、枠にとらえわれず考えていかなければならないところに来ているのではないかと参加者に呼びかけました。
スピーカーの面々
グループワーク:みんなで考えよう!この先のタブレットアプリ&サービス
最後に参加者同士6人で1つのグループになり、「 タブレットの楽しさ」「 タブレットらしいサービス」を考えるグループワークを実施しました。
当日はサテライト開催が行われた大阪、岡山、福岡、宮崎の4地域の中から、岡山、宮崎の2つの地域からもグループワークの参加があり、合計7チームから発表が行われました。
テーマ1では、現存するタブレットの魅力について、個々人の意見が発表する場を設けました。ここでは、タブレットの楽しさとして
などが挙げられました。
それを受けて、“ タブレットならでは” をテーマとして各グループが考える“ 「タブレットらしい」サービスやアプリ” についてディスカッションが行われ、それを発表する形式が取られました。発表時には「顔認識を利用してメイクをナビするアプリ」「 オンライン上でバーチャルな結婚式を行うサービス」など、短時間の中ではありながらもとてもユニークで、中にはそのまま具現化できるアイデアが生み出されました。
また、サテライトグループからは即興で仕上げたパワーポイントとSkypeを利用した発表が行われるなど、場所に制約されずにリアルタイムで“ 場の雰囲気” を共有できる、新しいグループワークの姿が垣間見えました。
各グループ、活発にディスカッションが行われた
即興とは思えないアイデアばかり
懇親会・2012年締めくくりとして
第31回WebSig会議をもって2012年のWebSig24/7主催のイベントは終了となり、懇親会の場で代表の和田より、2012年の振り返りと、来年に向けた活動の挨拶がありました。
2013年も「早く、深く、答えのないものを」をテーマにかかげ、Webに関わる人たちへ、Webに関わる色々な事象を考え、共有できる場を作り出していきたいと語り、参加者との乾杯と共にイベントを和やかに終えました。
和やかな雰囲気の中、懇親会が行われた
最後に、今年もご参加・ご意見いただきありがとうございました。来年もまたモデレーター一同、ご参加いただいた方の考えのきっかけとなる場を1つでも多く提供できるよう頑張っていきます。次回開催は2013年3月を予定していますので、ぜひご参加ください。
Togetterまとめ
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