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第12回 Test Wellaflex,unouplus,BooneOakley.com - Home Page

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肌にまとわりつくような湿気にイライラしつつも,次第に南から「梅雨明け」のニュースも飛び込んでくる今日このごろ,いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた素晴らしいサイトの特徴を,いくつかお話したいと思います。

あくまで"直球で勝負"

『Test Wellaflex』

ドイツの化粧品メーカーWella(ウエラ)の女性用ヘアスタイリングスプレー「Wella flex」のプロモーションサイト,『Test Wellaflex』です。

図1 一人だけがWella flexを髪に吹き付ける

図1 一人だけがWella flexを髪に吹き付ける

credit: Leo Burnett Moscow

『Test Wellaflex』ということで,地下鉄,海辺,町の3か所に5人の女性が登場し,そのうちの一人だけがWella flexを髪に使用します。

図2 ユーザーが画面内に強い風を作り出す

図2 ユーザーが画面内に強い風を作り出す

ユーザーは画面からの合図に合わせて,マイクから音声を入力します。すると,画面の中に建物も吹き飛ぶような強い風が起こり始めます。

図3 風が止むと,女性たちの姿が浮かび上がるが…

図3 風が止むと,女性たちの姿が浮かび上がるが…

強く吹いていた風が止むと,髪にWella flexを使用した女性だけが,髪型をしっかりキープ。そのほかの女性たちは,髪型が崩れてとんでもないことに…非常に単純ですが,それだけに商品の特長をとてもわかりやすく表現できています。

"余計なもの"をそぎ落とす

この『Test Wellaflex』では,商品の特長の一点(髪型をしっかりキープすること)をユーザーに明確に伝える企画によって,単純明快で誰にでも楽しめるコンテンツを作り上げることに成功しています。

近年,ウェブサイトを使った企業のキャンペーンやプロモーションが一般的になっているということで,最近ではかなり複雑,かつ,ひねりの加えられた企画で特徴を出そうとするウェブサイトも多く見受けられます。

しかし,そのために伝えたい内容が分かりにくくなってしまい,訪れたユーザーに伝えたいことが明確にならないまま,知られることなく静かに終わってしまうキャンペーンやプロモーションのウェブサイトも少なくありません。

"伝えたいことを明確にする"という目的が,逆に"伝えたいことがわかりにくくなる"という企画では本末転倒と言えるでしょう。本当にそこまで複雑にする必要があるのかどうか。今一度,ウェブサイトを制作するにあたって,じっくりと考えて欲しいと思います。

サービス満載のポートフォリオ

『unouplus』

約2年半ぶりにリニューアルされた,アートディレクター・ウェブデザイナーの戸田芳裕さんのポートフォリオサイト『unouplus』です。

図4 自己紹介やこれまでの作品でウェブサイトが構成されている

図4 自己紹介やこれまでの作品でウェブサイトが構成されている

credit: Yoshihiro Toda

ウェブサイトでは,戸田さんの自己紹介やこれまで手がけてきた作品の数々が紹介されていますが,特にウェブサイトの訪問日時を利用して楽しめる時間が変化するコンテンツ「ASOBI」がとても素晴らしいです。

図5 さまざまな仕掛けが楽しいコンテンツ「ASOBI」

図5 さまざまな仕掛けが楽しいコンテンツ「ASOBI」

画面全体を大きく使用した"からくり仕立てのコンテンツ"とでも言えるこのコンテンツは,さまざまな仕掛けやアニメーションが数多く用意されており,ユーザーがついつい時間を忘れて楽しんでしまう内容となっています。

ポートフォリオの目的とは何か

この『unouplus』では,別のウェブサイトとして公開しても良いほどクオリティの高い,楽しめるコンテンツをあくまで"ASOBI"としてポートフォリオ内に組み込んでいるところに,制作者のサービス精神と高い実力を感じます。

図6 「ASOBI」は画面全体を
大きく使っている

図6 「ASOBI」は画面全体を大きく使っている

現在,数多く存在する個人のポートフォリオサイトでは,プロフィールやそれまでの実績などが中心に構成されるのが普通となってきましたが,そのために新鮮で大きな驚きを感じることが少なくなってきました。

どんな目的で,どう形にして,何を伝えるのか。個人のポートフォリオの内容について,いま一度考えてみる時期に来ているかもしれません。

なお,ポートフォリオについては,Joshua Davis(ジョシュア・デイビス)がとても面白いことを言っていますので,その言葉を引用して終わりたいと思います。

「私には『Joshuaのようになりたい(好きなことを仕事にするという意味)』という友人がいる。だが,その友人のポートフォリオサイトに行くと,ありふれたものしか置いていない。これではクライアント側から『こういう仕事がやりたいのだ』と思われても仕方がない。」

Joshua Davis

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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