いま,見ておきたいウェブサイト

第44回 SIGMA SD1,UNIQLO LAB HEATTECH,Gap.com

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2 分

ソーシャルメディアの影響力

Shop clothes for women, men, maternity, baby, and kids | Gap

アメリカ最大の衣料品小売店であるGap(ギャップ)のウェブサイトです。先日,このウェブサイトでも使用されているロゴの変更が世界中で大きな話題となりました。

図6 突然のロゴ変更で注目されたGapのウェブサイト

図6 突然のロゴ変更で注目されたGapのウェブサイト

2010年10月4日,ウェブサイトのGapのブランドロゴが,新しいデザイン(Helveticaの黒文字「GAP」の右上にブルーのブロック)へと変更されました。この突然のデザイン変更に対して,ネット上では議論が巻き起こります。Facebookにある公式ファンページの掲示板には,1000件以上のコメントが投稿され,その多くが新しいロゴのデザインに対する否定的な意見で占められました。

図7 FacebookにあるGap公式ファンページの掲示板には数多くの意見が寄せられた

図7 FacebookにあるGap公式ファンページの掲示板には数多くの意見が寄せられた

この意見に反応し,10月6日にはGapの社長であるMarka Hansenが「新ロゴのデザインに関するクラウドソーシングプロジェクト(新ロゴ以外のデザインや意見,アイデアを募集しファンと共有する)を立ち上げる」といった内容のメッセージを発表します。

ところが,この発表直後からFacebookの掲示板では反対意見がさらに増加。⁠デザインの公募と発表の順番が逆では」⁠新ロゴを使う決意が無いなら,今までのロゴでいいのでは」⁠ブランドのロゴデザインを素人に決めさせるのか」といった厳しい意見が続出します。

10月12日,Gapは計画していたクラウドソーシングプロジェクトの中止と,ブランドロゴを元に戻すことを発表し,事態はようやく収束へと向かいます。

混乱を拡大させた原因とは

Gapはアメリカでの売り上げがここ数年低迷していることから,インターネット通販を海外へと拡大する計画を発表しています。しかし,CI(コーポレート・アイデンティティ)の構成要素の一つであるロゴを変更するだけで,苦しい業績が急激に好転することはありません。結局,地道な努力と活動を継続して積み上げていくことが,ブランディングで最も重要なことなのではないのでしょうか。

今回のロゴ変更について,GAPの広報担当であるLouise Callagyは「GAPのブランドイメージをクラシックでアメリカ的なデザインから,モダン,セクシー,クールなものへ進化させる試みの一つがロゴの変更だ」と述べています

この「なぜ⁠クラシックでアメリカ的なデザイン⁠を捨て去り,⁠モダン,セクシー,クールなもの⁠へとイメージを進化させる必要があったのか」を顧客に理解できるように説明できなかったことが,今回の混乱を引き起こした原因の一つに挙げられます。1988年から20年以上も愛されてきたGapのロゴを変えるのであれば,顧客を納得させるだけのビジョンや今後の戦略を明確に伝える必要があったでしょう。

それ以上に,以前は顧客の意見が拡散するにはある程度の時間が必要でしたが,現在ではSNSの利用が一般化したことで,良い意味でも,悪い意味でも,短時間かつ広範囲に情報が拡散する仕組みが整っていたことが騒ぎを大きくした原因でしょう。大企業といえども,ソーシャルメディアという場を自由にコントロールできないことを,改めて確認できた出来事でもありました。

ブランドロゴを元に戻すことを発表したプレスリリースの最後で,Marka Hansenは「今後,ロゴを発展させる時が来るかもしれないが,そのときは違うやり方で行う」と述べています。今回の苦い経験がこれからどう生かされるのか,Gapの事業展開やキャンペーンに注目していきたいと思います。

というわけで,今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

コメント

コメントの記入