いま,見ておきたいウェブサイト

第116回 2014年特別編 2013年の特徴,2014年の展望

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新年あけましておめでとうございます。

Lançamento - Website, What a Wonderful World!を運営しているLançamento(ランサメント)です。

『いま,見ておきたいウェブサイト』では,2013年も国内外のウェブサイト(ウェブサービス)をさまざまな方向から解説してきました。2014年の第1回目となる今回は「特別編」と題して,2013年に登場したウェブサイトとその特徴を振り返りながら,2014年への展望を語っていきたいと思います。

特徴その1 フラットデザインの広がりが意味するもの

2013年のウェブサイト,特にデザインという視点で振り返ると,"フラットデザイン"という言葉を外す事はできません。2013年にはウェブサイトのみならず,スマートフォンのアプリなどにも大きな影響を与えました。

フラットデザインは,ドロップシャドウやベベル・エンボスなどの立体表現,グラデーションやテクスチャーなどの効果を極力排除した表現方法です。採用したウェブサイトやアプリも多く,さらにフラットデザインを導入するためのUIキットなども続々と登場した,非常に活気のある一年でした。

簡単そうな表現に見えるフラットデザインですが,実際にこのデザインを成立させるには,タイポグラフィー,アイコン,余白,画像(動画)の使い方,文字の視認性といった多くの要素に気を使わねばならず,デザイナーにとっても,手間のかかる奥深い表現でもあることもわかってきました。

特に平面的な要素で構成されるため,"機能や使い方のわかりやすさ"も考慮しなければなりません。すでにスマートフォンのアプリでは,ユーザーの操作に対する動きやアニメーションなどの反応表現の実装が進んでおり,今後はこうした表現がウェブサイトにも波及してくることが予想されます。

現実の世界に則した立体的な表現からシンプルで平面的な表現への変化は,個人的には,アナログからデジタルへと進化した際のシンセサイザーの操作パネルの遷移(ツマミやスイッチの集合体から単純なデジタル表示へと変化)を思い起こさせます。

果たして,フラットデザインは新しいデザインの流れとなるのか,それとも一過性のブームで終了するのか。すでにフラットデザインに適応したタイポグラフィーや画像・映像の使い方などを実践しているウェブサイトも登場していますし,こうした試行錯誤から生まれる表現を今年も楽しみにしたいと思っています。

特徴その2 レスポンシブWebデザインは主流となるか

ウェブサイトをさまざまなユーザー,デバイスに柔軟に対応できる方法として注目されたレスポンシブWebデザインですが,2013年には,多くの企業やウェブサービスなどでも採用され始めました。

採用が進んだ理由ひとつには,アクセスしてくるユーザーの変化が挙げられます。モバイル端末を利用して,場所と時間を問わず,自由にアクセスしてくるユーザーへの迅速な対応が必須となり,サービスの比重が,今までのPCユーザー中心から,モバイル端末中心の考え方へとシフトしてきたと言えるでしょう。

図2 レスポンシブWebデザインが採用されている,CASIO「Baby-G」のウェブサイト

図2 レスポンシブWebデザインが採用されている,CASIO「Baby-G」のウェブサイト

こうしたユーザーの変化に対応するにあたり,制作側が最も注目しているのが,レスポンシブWebデザインの最大の利点となる"ワンソース・マルチユースの実現"でしょう。この実現については,コンテンツに対する考え方,特にユーザーが求める本当に提供すべきコンテンツを,優先度をつけながら,もう一度考え直す必要があります。時間と手間がかかるこの作業は,企業やサービスの本質を掘り下げてコンテンツを絞り込むという重要な作業でもあるため,レスポンシブWebデザインを利用して,最大の効果を実現している事例はほとんどないというのが現状でしょう。

それ以外にもいくつかの問題がありますが,⁠ウェブサイトの表示が遅い」という問題は,LTEなどの高速回線の普及や端末の能力向上で,⁠制作に手間がかかる」という問題は,事例の増加と新たな制作フローの確立などである程度は解決できるはずです。今後のモバイル端末の普及とコンテンツへのアクセス数の増加を考えると,こうした端末に対応可能なデザインであるレスポンシブWebデザインが,緩やかに採用されていく流れは変わらないでしょう。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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