いま,見ておきたいウェブサイト

第139回 AlphaGo,Montreux Jazz,Facebook Canvas

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ようやく花粉症のムズムズからも開放され,大型連休の近づきに胸を躍らせている今日このごろ,皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた,素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

“無限”の世界にたどり着いた人工知能

AlphaGo | Google DeepMind

Googleが買収したイギリスの人工知能企業「Google DeepMind」が開発したコンピュータ囲碁プログラム,⁠AlphaGo」を紹介したウェブサイト『AlphaGo | Google DeepMind』です。

図1 人工知能企業「Google DeepMind」が開発した「AlphaGo」を紹介したウェブサイト『AlphaGo | Google DeepMind』

図1 人工知能企業「Google DeepMind」が開発した「AlphaGo」を紹介したウェブサイト『AlphaGo | Google DeepMind』

Googleのクラウドサービス「Google Cloud Platform」を利用して,人間の脳の神経細胞(ニューロン)の仕組みを元にしたコンピュータモデル「ニューラルネットワーク」を多層化した「ディープラーニング(深層学習)⁠を用いている「AlphaGo」は,2015年10月に,人間のプロ囲碁棋士をハンデなしで破った世界初のコンピュータ囲碁プログラムとなりました。

さらに,2016年3月9日から15日まで,韓国・ソウルで⁠現在世界最強⁠と呼ばれているプロ囲碁棋士のイ・セドル九段との五番勝負を行なうことを発表しました。この対戦の様子は,YouTubeなどで生中継されましたが,最終的に「AlphaGo」が4勝1敗で勝ち越し,大きな話題となりました。

図2 ⁠AlphaGo」とイ・セドル九段との五番勝負の様子は,世界中に生中継された

図2 「AlphaGo」とイ・セドル九段との五番勝負の様子は,世界中に生中継された

人工知能との“協業”から生まれるもの

今回の対戦では,さまざまな発見や驚きがありましたが,その中でも,人工知能の「AlphaGo」が示した,囲碁の序盤の展開は非常に興味深いものではなかったでしょうか。

対戦の序盤では,実況していた解説者が,⁠AlphaGo」の打った手の意味に困惑する場面が何度も現れました。⁠これはあまり良い手でありません」と解説者に評価された「AlphaGo」の手は,対戦の中盤以降で非常に効果的で意味を持つ手となり,対戦が終盤へと進むにつれ,解説者もその手の意味を理解して驚きを隠せない様子でした。

2,500年以上の歴史がある囲碁において,今まで人間が無数の対戦から積み上げてきた知識は囲碁の世界の一部に過ぎず,改めて,⁠無限の広がり⁠を持つ囲碁の奥深さを感じる歴史的対戦となりました。

五番勝負は人間とコンピュータの対戦であることから,将来こうした人工知能が人間と敵対関係になるというイメージがありますが,実際に対戦したイ・セドル九段のコメントからは,人間とコンピュータの協業によって,囲碁のレベルを飛躍的に向上させる可能性を感じさせます。

「過去,自分が本当に囲碁を楽しんでいるのかどうかを疑問に思ったこともあったのですが,今回のAlphaGoとの対局は5戦ともすべて楽しむことができました。AlphaGoとの対局で,わたしは古い考え方に少し疑問をもったような気がします。またこれから学ぶことが増えましたね」

「AlphaGo」との五番勝負を終えた直後のイ・セドル九段のコメント
「またこれから学ぶことが増えました」AlphaGoとイ・セドルが,囲碁にもたらしたもの,AIにもたらしたものより引用

今後は,今までの人間の能力だけでは到達できなかった問題の解決や,未知の発見のため,さまざまな人工知能が利用されていくことでしょう。⁠人間と人工知能との協業⁠によって,驚くような事例が続々と登場するだけでなく,これからのウェブサイトにも大きな影響を与えることを期待しています。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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