いま,見ておきたいウェブサイト

第143回 Wix ADI,Pokémon Go,Google Home

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秋なのに夏のような暑さになったと思ったら,すぐに急激な冷え込みが始まり,「秋を通り越して冬が来たのではないか」と勘違いしてこたつを準備してしまった今日このごろ,皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた,素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

デザインは,人工知能で変わる

Create Your Stunning Website with Wix ADI. It’s Easy.

無料でホームページが作成できる「Wix.com」による新しいサービス,「Wix ADI」を紹介したウェブサイト,『Create Your Stunning Website with Wix ADI. Its Easy.』です。

図1 人工知能を用いたサービス「Wix ADI」を紹介した,『Create Your Stunning Website with Wix ADI. Its Easy.』

図1 人工知能を用いたサービス「Wix ADI」を紹介した,『Create Your Stunning Website with Wix ADI. It’s Easy.』

「Wix ADI」という名前につけられたADIとは,Artificial Design Intelligence(直訳:人口デザイン知能)の略です。その名の通り,人工知能を利用した「Wix ADI」では,ユーザーの入力したさまざまなデータを人工知能が解析し,コンテンツに最適なデザインの提供が行われます。

「Wix ADI」の概要を説明した動画

提供されたデザインに対して,ユーザーがコンテンツを追加・変更する場合は,「Wix.com」で提供しているドラッグ・アンド・ドロップベースのツールを使って,簡単に行えるようになっています。

人工知能でデザインは変えられるか?

ここ数年で,ウェブサイトを自動的に構築してくれるサービスが数多く登場してきました。中でも人工知能を使って,アクセス解析の結果を考慮しながら,レイアウトや画像の最適化を自動で行う機能を提供するサービスが次々と登場しています。

図2 人工知能を使って時間とともにウェブサイトの改善も自動的に行うという「Firedrop」のウェブサイト

図2 人工知能を使って時間とともにウェブサイトの改善も自動的に行うという「Firedrop」のウェブサイト

こうした人工知能を売りにしたサービスは,どの程度の実力を持っているのでしょうか。この連載でも2年ほど前に,人工知能を利用したサービスThe Gridを取り上げました。「ユーザーが画像とテキストをアップロードすれば,ページの配色や画像のトリミングが行われ,自動的にコンテンツに最適なウェブサイトを構築する」というサービスを実現するということで,当時,大きな話題となりました。

「The Grid」の概要を説明した動画

「The Grid」は,先日ようやく正式なサービスが開始されたのですが,お金を払って利用しているユーザーの評判はあまり良くありません。サービス自体のアップデートは頻繁に続いているものの,人工知能によって生み出されたというレイアウトや画像の最適化によって構築されたウェブサイトを見る限り,ユーザーの要求を満たすには程遠いレベルだと言わざるを得ません。

図3 ユーザーに質の高いデザインを提供している「Ameba Ownd」(左)「Squarespace」(右)

図3 ユーザーに質の高いデザインを提供している「Ameba Ownd」(左)や「Squarespace」(右)

こうした中,コンテンツに合ったレイアウトやページ構成をユーザーが選択・決定する,既存のウェブサイト構築サービスも大きく変化しています。Ameba OwndSquarespaceといったサービスでは,使い勝手やテンプレートの数・種類だけでなく,デザインの質でも勝負しており,人工知能より望ましい結果を生んでいる事例もあります。

“AI人工知能という言葉を,毎日のニュースでも頻繁に聞くようになりましたが,実際にウェブサイト構築サービスに生かされるかは,まだまだ未知数の部分が大きいと思います。ただし,これからのウェブサイトの制作・運用を考えれば,人工知能を生かした,ウェブサイト構築の自動化は,さらに進んでいくことでしょう。「Wix ADI」が,こうした疑念を吹き飛ばすような,素晴らしいサービスとなることを期待したいと思います。

世界中が熱中するコンテンツ

Homepage | Pokémon Go

2016年7月6日に配信が始まった,スマートフォン向けアプリ『Pokémon GO』のウェブサイトです。

図4 スマートフォン向けアプリ『Pokémon GO』のウェブサイト

図4 スマートフォン向けアプリ『Pokémon GO』のウェブサイト

『Pokémon GO』は,現実世界を舞台に,ポケモンを捕まえたり,交換したり,バトルしたりできるゲームです。スマートフォン向けのAR(拡張現実)技術を利用したゲーム「Ingress」で有名なNiantic, Inc.が制作を担当しており,「Ingress」同様,位置情報を活用したゲームとなっています。

『Pokémon GO』の内容を説明した動画

生み出される,新しいコンテンツ

約2週間後の7月22日,日本でも公開された『Pokémon GO』は,アプリのダウンロード数やアプリにおけるユーザーの滞在時間の長さに注目が集まりました。また,最初のアプリ配信時に問題のあった機能を,アップデート時にバッサリと削除する潔さなどは,アプリを制作している人たちにとって,有用な事例となったのではないでしょうか。

個人的に面白いと感じた事例としては,『Pokémon GO』から影響を受けた,新たなコンテンツが生み出されているということです。その例として,アメリカのデジタルエージェンシー「R/GA」に所属する,Duncan HogeGene Luによるプロジェクト,「Pokémon Nike iD」が挙げられます。

図5 『Pokémon GO』から影響を受けたプロジェクト,「Pokémon Nike iD」のウェブサイト

図5 『Pokémon GO』から影響を受けたプロジェクト,「Pokémon Nike iD」のウェブサイト

「Pokémon Nike iD」は,NIKEのシューズカスタマイズサービス「NIKEiD」を使って,ポケモンをイメージしたシューズをデザインするというプロジェクトです。Tumblr上に公開されているカスタムシューズをクリックすれば,「NIKEiD」経由で購入も可能です。

こうしたインターネット上の動き以外にも,日本では地方の町おこしや店舗の集客への利用や,「レアポケモンがゲットできる」として人々が殺到したため,自殺がなくなった名所(東尋坊),伊勢神宮や広島平和記念公園のように『Pokémon GO』の利用が禁止される施設や場所ができるなど,日常生活でもさまざまな影響を与えています。良い悪いを含め,今後も社会全体にどのような影響をあたえていくのか,次々と追加されるであろうアプリの新機能を期待しながら,注目していきたいと思います。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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