いま,見ておきたいウェブサイト

第150回 Steemit、pixiv Sketch、24 SÈVRES

この記事を読むのに必要な時間:およそ 2.5 分

ジメジメとした天気が続く中,いよいよやってくるエアコンの本格稼働のためフィルターの掃除と動作確認に追われている今日このごろ,皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

コンテンツに信頼と報酬をもたらす仮想通貨

Steemit

「仮想通貨とソーシャルメディアの融合」を目指して立ち上げられたソーシャルメディアのプラットフォーム『Steemit』です。

図1 仮想通貨を利用したソーシャルメディアプラットフォームSteemit

図1 仮想通貨を利用したソーシャルメディアプラットフォームSteemit

「Steemit」ではユーザーが投稿したコンテンツが,価値があると他ユーザーから評価された場合に仮想通貨で報酬が支払われます。また,他ユーザーの価値ある投稿に対して,早いタイミングで良いコメントを付けた場合も同様に報酬が支払われます。このように⁠コンテンツに対する価値に対して報酬が与えられる⁠のが特徴的なプラットフォームです。

コンテンツは,最初の投稿から約7日の間に「Upvote:良い」⁠Downvote:悪い」によって評価されます。高評価の投稿には報酬が支払われますが,低評価の投稿はトップページの各カテゴリーから外され,他のユーザーの目に触れないようになります。このため,ユーザーが「Steemit」で報酬を受け取るためには,高く評価される価値あるコンテンツを投稿する必要があります。

Steemitの概要を説明した動画

こうした評価システムを基盤に「Steemit」は,ユーザーの生み出すコンテンツの品質を担保しながら,ユーザーへの報酬とソーシャルメディアとしての信頼性を目指しています。

コンテンツの価値が認められる時代は来るのか

“ユーザーに高品質のコンテンツを制作してもらうこと⁠と,⁠良質なコンテンツに対して報酬を支払うこと⁠を成り立たせるビジネスモデルは以前から存在しています。しかしながら,コンテンツの質を判断する確実な方法がないことや,ページビューや広告収入によってユーザーへの報酬を賄うことで,コンテンツが乱造されるなどの問題点も多く,高品質なコンテンツとユーザーへの報酬を,バランスよく解決する決定的な方法は今のところありません。

図2 有名なブログサービスのひとつであるMediumでさえ理想のコンセプトを実現するための収益源の獲得に苦しんでいる

図2 有名なブログサービスのひとつであるMediumでさえ理想のコンセプトを実現するための収益源の獲得に苦しんでいる

先日有名なブログサービスのひとつであるMediumも,社員全体の3分の1をレイオフするなどの経営縮小と,広告が表示されない月額5USドルの会員制プランの追加を発表しました。主な収益源がページビューによる広告収入だけでは,記事の質と執筆者への報酬を維持するのが難しいことを証明する結果となったのです。

こうした中で,⁠Steemit」では報酬として,取引所を通じてBitcoinと自由に交換できる仮想通貨を利用しています。ユーザーに支払われる報酬は,新規に仮想通貨を発行することで支払われています。もちろん通貨の発行量が過剰であれば仮想通貨の価値は下落しますが,⁠インフレ率は年9.5%~年0.95%になるまで,毎年約0.5%インフレ率を低下させていく」というルールで管理されています。

記事の信頼性と質の確保,執筆者への正当な報酬を両立させるために,これからもさまざまなビジネスモデルが登場して来るでしょう。コンテンツに独自の仮想通貨を報酬として支払うという「Steemit」の試みが,今後も持続できるのかどうか,仮想通貨を利用した関連サービスの拡大も気にしつつ注目していきたいと思います。

着色は人工知能におまかせ

pixiv Sketch - Drawing communications app

ピクシブ株式会社が提供している,お絵描きコミュニケーションプラットフォーム『pixiv Sketch(ピクシブスケッチ)⁠のウェブサイトです。

図3 PCやスマートデバイスなどで自由に絵を描きそのまま投稿できるプラットフォーム「pixiv Sketch」

図3 PCやスマートデバイスなどで自由に絵を描きそのまま投稿できるプラットフォーム「pixiv Sketch」

「pixiv Sketch」は,PCやスマートデバイスなどで自由に絵を描き,そのまま投稿共有できるプラットフォームです。2017年5月24日から,株式会社 Preferred NetworksのAI(人工知能)技術による,線画自動着色サービス「PaintsChainer(ペインツチェイナー)⁠の機能が「pixiv Sketch」に追加されました。

この機能は,⁠pixiv Sketch」上で線画を描いてから「自動着色ボタン」を押すと,AIがイラストを認識して自動的に線画に色が塗られるというものです。色の調整や,ユーザーが線画上に色を指定しての自動着色も可能です。

アドバイザーとしての人工知能

「pixiv Sketch」「自動着色ボタン」は,絵を描く工程のひとつである「着色」作業の負担を大幅に軽減してくれます。筆者も実際にイラストに着色してみましたが,色指定を併用すればほぼ自分のイメージどおりに着色してくれる,非常に便利な機能だなと感じました。

図4 ⁠pixiv Sketch」「自動着色ボタン」で線画に着色した例。色指定を行えばイメージ通りの着色が自動で行われる

図4 「pixiv Sketch」の「自動着色ボタン」で線画に着色した例。色指定を行えばイメージ通りの着色が自動で行われる

「自動着色ボタン」が追加された「pixiv Sketch」は,瞬く間に多くのイラストを描く人に受け入れられたようで,SNSでは自動着色を使って描かれた作品を数多く見かけます。定形作業を行うプログラムのような⁠頑固さ⁠ではなく,人間のアシスタントが手伝ってくれるような⁠柔軟さ⁠を感じさせることが,大勢に受け入れられた理由なのかもしれません。

すでに人類は,AIを有効活用していく時代に入ったことは間違いありません。現時点ではAIによる機能は,それを利用する人間にとって,協業できるアドバイザーとしての姿になることが理想でしょう。⁠人がする仕事がなくなる」といった悲観論も聞かれますが,筆者はもっと楽観的にAIが未来の技術のベースとなり,あらゆる場面で誰もが利用できるようになることを期待したいと思います。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

コメント

コメントの記入