Windows 8に学ぶ次世代ユーザエクスペリエンス

第6回 新しいユーザ体験の提供と共有

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Windows 8で目指していること

まずはじめに,MicrosoftがWindows 8で目指していることについて改めて振り返ってみましょう。本連載第1回でもご紹介したとおり,

  • モバイルとPCの融合
  • アプリケーションとネットサービスとの融合
  • 全く新しいユーザビリティデザインの提唱

の3つのテーマが主眼となります。

とくに,3番目の「全く新しいユーザビリティデザインの提唱」では,⁠fast and fluid⁠をキーワードに,ユーザに対して⁠軽く,素早く,スムーズ⁠な操作性を提供することを心がけています。

しばらくは経験値の異なるユーザが混在する

発売から早半年が経過し,浸透率はまだまだな一方で,Windows 8以外のiOSやAndroidの普及を見てもわかるとおり,多くのユーザが「タブレット」⁠タッチUI」に慣れてきています。

とくに,はじめからスマートフォンやタブレットを利用している若年層にとっては,タッチUIが標準的な操作となり,これまでのPCで使われていたキーボードやマウスに違和感を感じるケースもあるわけです。一方で,いわゆるパソコンやガラケーと呼ばれる携帯電話を使っていたユーザにとっては,タッチUIは新感覚と言えます。

このようにそれぞれの体験が異なるユーザが混在する状況は,しばらくのあいだ続くことが予想されます。

UIの進化によるツールの透明化

こうした中,開発者やデザイナーが意識しなければいけないのが,⁠従来のUIとタッチUIとの切り替えと共存⁠でしょう。たとえば,これまで,マウスとキーボードの入力で操作してきたアプリケーションを,フリック入力などのタッチUIで行ったり,タップという操作を導入したときに,同じ結果を提供できることが求められる一方で,ユーザの(感覚値としての)体験が異なるため,同じ結果でも与える印象が異なってしまうケースがあることです。

今のUIの変化については,ゼロベースの石橋氏が過去のWebSig会議「CUI(Character User Interface)に始まりGUI(Graphical User Interface)と進んで,現在はNUI(Natural User Interface)という進化を遂げている。結果として,ツールの透明化が進んでいる」という表現をしており,ツールの透明化を意識した開発やデザインの必然性を強調していました。つまり,ツールという概念がなくなり,直感的に操作が行える環境が整備されているのです。

大事なのは届けたい情報と体験を提供すること

ただし,UIの変更というのはあくまで1つの事象であって,ユーザに必要以上に意識させてしまっては本末転倒です。開発者やデザイナーにとっては,自分たちが作るアプリケーションやサービスにおいて,ユーザがほしい情報と心地良い体験を提供できるかがカギとなります。

たとえば,Modern UIでは面の中にどれだけ立体的に情報を表現し,きちんと情報と体験を提供できるかがカギとなる

たとえば,Modern UIでは面の中にどれだけ立体的に情報を表現し,きちんと情報と体験を提供できるかがカギとなる

Windows 8では,Modern UIというインターフェースにより,⁠軽く,素早く,スムーズ⁠な操作性を提供できる環境を用意しました。そして,あらゆるディスプレイサイズにも対応できるような,レスポンシブOSとしての特徴を持ちます。このように,たくさんのユーザに対応できるようになることは,言い換えると選択肢が増えてしまい,ユーザを惑わせる・迷わせる要因にもなりかねません。

その中で作り手が意識しておきたいのは,⁠誰に何を提供したいのか」ということはもちろんのこと,ユーザの経験値が変わったときには,その状況を汲み取って対応する柔軟さです。

日本のWindows 8およびWindowsストア アプリに関しては,ユーザ数もアプリ数もまだまだ少なく,これからの成長が期待されています。

たくさんの開発者やデザイナーの方に,まず,実際に触ってみてもらいどんなことができるのか,あるいは周りで触っている人たちの声を聞きながらどう使われているのかを体感してもらい,今後,Windows 8ならではの新しい体験を提供できるアプリやサービスがたくさん生まれてくることを期待しています。

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著者プロフィール

馮富久(ふぉんとみひさ)

株式会社技術評論社クロスメディア事業室室長。

1975年生まれ。横浜市出身。1999年4月株式会社技術評論社に入社。入社後から『Software Design』編集部に配属され,2004年1月に編集長へ就任。同2004年9月に『Web Site Expert』を立ち上げ,同誌編集長に就任,現在に至る。その後,2008年9月に設立したクロスメディア事業部(現クロスメディア事業室)に配属。現在,社外活動として電子書籍を考える出版社の会の代表幹事やWebSig 24/7のモデレーター,TechLIONプロデューサーなども務める。過去にIPAオープンソースデータベースワーキンググループ委員やアックゼロヨン・アワード他各賞審査員などの経験を持つ。

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