Webゆえに考える テキスト編集のテクニカルコンセプト

第14回日々のトレーニングを習慣づけよう

文章力の向上に特効薬はありません。プロの仕事として通用する文章を、楽に"量産"出来るようになるには、最低でも1~2年は文章づけの環境で"修行"を積む必要がありますし、意識的なトレーニングを欠かさず継続していく必要があります。

もちろん、24時間365日、文章のことばかりを無理に考えていても長続きしません。生活の中にとりいれやすいトレーニングからはじめて、少しずつ習慣づけていくのが良いでしょう。

最終回の今回は、筆者や筆者周辺のライターが普段心がけているトレーニング法を、いくつか紹介してみたいと思います。

普段からできる、文章力向上ためのトレーニング

常に"アラ探し"をしながら文章を読む

新聞・雑誌・Webはもちろん、フリーペーパー、電車の吊り広告、レシートの一枚に至るまで、私たちの身の周りには、いつもたくさんの文章が溢れています。これらをただ漫然と"眺める"のではなく、良否を感じるポイントとその理由、自分ならどうするかといったことについて、常に細かく考えながら読むようにしましょう。上手な文章と下手な文章の違い、ジャンル別/ターゲット別の表現技法、良くありがちな間違い、広告では避けるべき"トゲ"のある表現など、様々なセオリーが知らず知らずのうちに頭にインプットされていくはずです。

文書品質に最もシビアなはずの大新聞や大手企業の広告でさえ、意識して読めば、改善すべき箇所の10や20は簡単に見つけられます。まずはこうした"アラ探し"からはじめていくと習慣づけやすいでしょう。

また、使い方が不自然な言葉を見つけたときには、その言葉本来の意味について、辞書で調べておくことを徹底しましょう。同じ間違いをしてしまうことを避けられますし、イマイチ不安な言葉を使うとき、辞書で確認しながら書く習慣がキッチリ身に付きます。

使える言葉やフレーズはその場でメモに残す

広告ライティング、とくにコピーライティングの分野では、言葉の表現力の差が文章力の差に直結します。読者をはっとさせる言葉、思わずその気にさせるフレーズを日常的にストックしておくことは、質の高いセールス文を書くために大変重要なことです。"使える"言葉やフレーズに出会ったときには、忘れないうちにその場でメモを取り、家に帰ってからファイルにまとめておきましょう。きちんと分類を分けて書きためておけば、執筆に煮詰まったときの資料として大変重宝します。

もちろん、ただ書きためていくのではなく、最低でも一回はその言葉・フレーズを使って、自分のものにしておくことが肝心です。ファイルにまとめるとき、自分なりの例文を附記しておくだけでも、随分と違います。

広告集を愛読書に加える

より積極的には、日ごろから広告集を愛読しておくことをお勧めします。武芸における"見取り稽古"のようなもので、優れた広告はただ眺めているだけでトレーニングになります。

別に無理に時間を割く必要はなく、通勤の途中や就寝前などに、暇つぶしに読むだけでも十分です。ただし、一度参考になると思ったものは、中身をほとんど暗唱出来るぐらいまで、何度でも読み返しておくようにしましょう。

これと同様に、用語辞典や類義語辞書、各種のテクニック集や文例集なども、困った時に字引として使うだけでは、あまりに勿体ありません。本棚に飾っておくのではなく、空いた時間にいつでも読めるよう、何かしら一冊はカバンに入れて持ち歩くようにしたいものです。

出来るだけ文字で伝えることを自分に強いる

人と話す機会が多い人ほど話し上手になるように、書けば書くほど文章は上達するものです。必要なときだけ書くのではなく、いつでも書くことが当たり前の生活を作っておくことが、文章力向上の大きなカギとなります。

たとえば、日々の業務の中で、それほど急がない連絡は、なるべく文書やメールの形で伝えるようにしてみましょう。電話なら数分で済むような連絡も、文章で的確に伝えようとすると、十数分~数十分の執筆時間を必要とします。しかも、直接話すのに比べて、真意が上手に伝わりにくかったりもします。逆に言えば、メールだけで伝えようと努力することは、その行為自体が、かなりの執筆トレーニングになります。

業務に支障をきたす不安もあるでしょうが、どうしても上手にまとめられないなら、途中で諦めて電話すれば良いことです。とにかく、まずは書いてみることが重要です。

見出しを分けて書く癖を付ける

Webサイトの基本的な書式は、話をいくつかのトピックにブロック分けして、階層的な構造で記述していくスタイルです。そこで、日常的なメールや報告書類なども、見出しを分けて書くようにしてみましょう。日頃から構造的な文書スタイルに慣れておくことで、Webのテキストもすんなり書けるようになります。

月一度は新しい"道具"を探す・試す

インターネット上には、有償・無償を問わず、アイデアプロセッサ、校正ツール、IMEの追加辞書といった、数多くの編集支援ツールが公開されています。少し探せば、普段使っているエディタやWebオーサリングソフトにも、便利なマクロやプラグインがたくさん見つかるはずです。

プロのライターは皆、そうした文章執筆を支援する各種のツールを少しずつ組み合わせて、自分にとって編集しやすいパソコン環境を作り上げているものです。

"トレーニング"からは少し離れますが、月に一度は検索をかけて、新しいものを見つけたら、すかさず試しておきましょう。半年後、1年後の実力に大きな差が出ます。

研究用サイトを運営する

もしあなたがプロとしてWeb制作に関わっているのなら、研究用のサイトの2、3個は、常時運営しておいたほうが良いでしょう。実際にサイトの形でユーザーに見せ、その反応を見て工夫を繰り返すことでしか、"実戦"で使える生きたテクニックは身につかないからです。

別に、無料サービスのブログを利用するのでも構いません、とにかく自力でWebサイトを作り、運営することが重要です。企画、デザイン、コーディング、SEOといった、ライティングに関係する様々な技術が自ずと身に付きますし、最新のWeb事情にも明るくなります。

筆者の経験から言うと、とくにアフィリエイトサイトの運営で得たノウハウは、そのまま実務に使えることが多いように思います。実利が絡むので飽きずに続けられますし、扱う商材のジャンルを自分で自由に選べるのも魅力です。

最後に

本連載も気がつけば14回。おかげさまで予定の回数を無事に終えることができました。まだまだ言い足りないことも多いのですが、総論としての"Webライティング"は、概ねお伝えできたと思います。

「好きこそ物の上手なれ」の言葉の通り、楽しんで書き続けてさえいれば、文章は誰でも必ず上達します。本連載で説明してきたことは、業務として編集ライティングに携わる者にとって"当たり前"のことばかりですが、その全てを、いきなり身につける必要はありません。まずは、できることからはじめてみてください。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧