人気ソーシャルゲームベンダーがホンネで語った! グループスがUI/UXチームを新設したワケ

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ソーシャルゲームの開発において,エンジニアとデザイナの密なコミュニケーションは欠かせないでしょう。ただ,それぞれの業務内容が大きく異なるため,スムースに意思疎通できないという悩みを聞くことは少なくありません。そこで今回は「大熱狂!! プロ野球カード」など人気ソーシャルゲームを数多く運営しているグループスのデザイナである荒井裕司氏と丸山麗氏,そしてエンジニアの児玉映治氏の3名に,エンジニアとデザイナとのコミュニケーションというテーマでお話を伺いました。

スマートフォン向けゲームのデザインのポイント

――グループスでは,どのような流れで画面デザインが決まっていくのでしょうか。

児玉映治氏
ソーシャルゲーム事業本部
UI/UXグループ
(アプリケーション開発部に所属し
ていたエンジニア)

児玉映治氏 ソーシャルゲーム事業本部 UI/UXグループ(アプリケーション開発部に所属していたエンジニア)

児玉氏(以下,敬称略)⁠企画の担当者が仕様書の中で大まかな画面デザインを考えて,それをデザイナが受け取って実際に画面を作り込んでいくという形でした。そこでデザイナやエンジニアが作業を進めていく中で疑問があれば,企画担当者を交えて随時コミュニケーションしながら煮詰めていくというやり方です。

荒井: 企画担当者が考えた画面デザインはざっくりとしたイメージなので,私たちデザイナは企画について理解しつつ,どういうデザインがよいかを考えていきます。単純に企画担当者が考えた画面どおりにデザインするというわけではないですね。

――デザインのポイントとして気をつけている部分はありますか。

荒井裕司氏
ソーシャルゲーム事業本部
UI/UXグループ
(デザイン制作部に所属していた
デザイナ)

荒井裕司氏 ソーシャルゲーム事業本部 UI/UXグループ(デザイン制作部に所属していたデザイナ)

荒井: 一番良くないのは,やっぱりわかりづらいデザインですね。企画の段階だと,どうしても機能を盛り込みたいという欲が出てしまい,画面にもいろいろな要素を詰め込むことが少なくありません。そこでデザイナ側では,ゲームにとって何が重要かを考え,それぞれの要素に優先順位を付けてデザインしていくことが重要だと考えています。

――デザインというところでは,最近ではフィーチャーフォン(従来からの携帯電話)からスマートフォン,という流れがあるかと思います。両者のデザインで,もっとも違う点としては何が挙げられるでしょうか。

児玉: 1つはボタンですね。確かにスマートフォンは解像度が高くデザインしやすいのですが,あまりに凝ってしまってボタンであるとわかりづらいデザインになってしまったり,あるいは画面に多くの要素を詰め込むために小さく押しづらいデザインのボタンになってしまうことがあります。プレイヤーの方から見れば,当然遊びにくいということになってしまうので,その点は気をつけています。

丸山: 1つのページの中に5つもボタンが配置されていて,その並び順の規則もよくわからないというような状態では,プレイヤーを悩ませることになってしまいます。そのため,単純にデザインだけでなく,たとえば色や大きさ,形を工夫して見た目で差別化し,プレイヤーが悩むことなくスムースにゲームが進められることが重要だと思います。あと,ボタン上のテキストも大切だと考えている部分です。あまり見かけない特殊な単語を使うと,ぱっと見で何のためのボタンかわからないということになってしまいますよね。たとえば,メインとなるページへ戻るためのボタンに対して「マイページ」というテキストが割り当てられていれば,それを押すことでどのページに遷移するのかをイメージすることができます。そういったプレイヤーへの配慮は欠かせないところではないでしょうか。

エンジニアとデザイナのコミュニケーション不足の弊害

――デザイナから画面イメージを受け取ったエンジニアは,どのような作業を行うのでしょうか。

児玉: グループスではMicrosoft Windows上のASP.NETを使ってゲームを提供しているので,まずは画面イメージをaspx(編集注:ASP.NETでページを記述するためのファイル)に落とし込んでいきます。この部分は基本的にエンジニアの作業のため,デザイナ側がASP.NETであることを意識する必要はありません。このように最終的にはaspxファイルに置き換える必要があるので,画面イメージ全体を作り込んだファイルよりも,ボタンやテキストを表示するためのフレームなど,要素単位でマークアップしたファイルのほうが作業は楽というのはありますね。

――デザインした画面イメージを実装するフェーズでトラブルが起きることはありますか。

丸山: どうしてもありますね。具体的なトラブルとして多いのは,デザイナが作成したHTML/CSSがそのままでは実装できないというケースです。その背景としてまず挙げられるのは,デザイナ間のスキルの差ですね。たとえばHTMLやCSSに精通しているデザイナであれば問題ないのですが,そうでないデザイナの場合には『このままでは実装できないので修正してほしい』とエンジニアから差し戻されることもあります。

丸山麗氏
ソーシャルゲーム事業本部
UI/UXグループ
(デザイン制作部に所属していた
デザイナ)

丸山麗氏 ソーシャルゲーム事業本部 UI/UXグループ(デザイン制作部に所属していたデザイナ)

グループスには数多くのデザイナが在籍しているため,スキルのばらつきが生じるのは仕方がない面もありますが,今後解決していくべき課題であると感じています。またフィーチャーフォン向けに提供していたゲームのスマートフォン対応で,トラブルが起こることもあります。具体的には,フィーチャーフォン向けのデザインをスマートフォン上で再利用しようとしたときに適切に表示されない,といったトラブルがありました。

――ソーシャルゲームやスマートフォン向けのアプリ開発の現場で,エンジニアとデザイナのコミュニケーションが問題になることが少なくありません。この問題を解決するには,どういった工夫が必要だとお考えでしょうか。

丸山: 先ほどのデザイナの間でスキル差があるという話にも関係するのですが,デザイナとエンジニアが歩み寄っていくためには,同じ土俵でコミュニケーションができる必要があると感じています。そのためには,やはりデザイナ側でも知識を身に付けていかなくてはならないでしょう。従来のグループスで言えば,デザイナは単純に画面イメージを作成して納品するだけで,それ以外の部分でエンジニアと関わることは多くなかったんです。

一方エンジニアも,ただデザイナから送られてきた画面イメージを実装するだけで,コミュニケーションが足りているとは言いづらい状況でした。このようにコミュニケーションが不足すると,思い込みで作業を進めるといったことにもなり,実は必要な画像を作成していなかった,といった事態にもなりかねません。そこで単純に自分の仕事だけで考えるのではなく,もうちょっと先のところまでお互いが意識できれば自然にコミュニケーションも増えると思いますし,業務全体のパフォーマンス向上といったことにもつながるのではないでしょうか。

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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