Hudsonを使ったアジャイルな開発入門

第1回 Hudsonの導入

この記事を読むのに必要な時間:およそ 3 分

継続的インテグレーションとは

Hudsonの具体的な紹介に入る前に,まず簡単に「継続的インテグレーション」(Continuous Integration,以下CI)のおさらいをしましょう。CIは,Extreme Programmingに端を発しMartin Fowlerによって広められた概念で,狭義には,別々に開発された部品を持ち寄ってお互いの動作を検証する「統合テスト」を早い段階から恒常的に行うことを指します。この当初の概念には必ずしも統合テストの自動化という考え方は含まれていませんでしたが,最近では,CIは単に統合テストだけではなく,広くビルド及びテスト全般を恒常的に行うことを指すようになり,またこれを現実的な工数で実現するための必須の手段として,ビルド・テストの工程を極力自動化する,という事が重要なポイントの一つになってきました。

この考え方の背景の一つには,コンピュータの高性能化・低価格化する一方,人件費はむしろ高くなっているという経済的な現実があります。この流れの結果,今日では,技術者の生産性の向上に少しでも寄与するならばコンピュータを湯水のように無駄遣いしても元が取れる,ということになってきました。こういう考え方に立てば,ソースコード管理システムに投入される変更一つ一つに対してビルドとテストを行って変更の質を確認する,というプロセスも決しておかしくはない事になります。

もちろん,最終的な目的は技術者の生産性を向上させる,つまり我々エンジニアが楽をする,という事なわけですから,CIを導入するのに手間が掛かるようでは本末転倒です。この点について,CruiseControlを始めとする初期のツール群には色々な問題がありましたが,ここ数年の間に登場した第二世代のCI ツールによって,CIは開発の現場で実用可能なレベルに到達してきました。

Hudsonの紹介

本連載で詳しく見ていくHudsonは,この第二世代のCIツール群の中でも脚光を浴びているツールの一つです。このツールは筆者がJAXB RIの開発に携わる過程でスタートしたプロジェクトで,当初は今は亡きDamageControlのクローンだったものが,次第に独自の道を辿るようになったものです。開発のはじまりから3年以上を経て200以上のリリースを重ね現在では50人以上のコミッターを擁するjava.netでも有数のオープンソースプロジェクトhttps://hudson.dev.java.net/に成長しています。現在でも,一週間に一度かそれ以上の割合で頻繁に新しいバージョンがリリースされ,Sun,JBoss,Apacheを始めとして世界中で使われています(特に,ヨーロッパでの普及が著しいようです)。

Hudsonの主要なセールスポイントは次のような点です。

1.インストール・セットアップが簡単なこと
データベースにあわせて設定スクリプトを書き換えたり,プロジェクト毎に別なデーモンを走らせたり,ビルドの設定を XMLファイルに書くためにテキストエディタを使う必要はもうありません。インストール処理はなにもありませんし,設定は全てウェブ上から出来,入力内容に対してリアルタイムで検査が走ってエラーが表示されます。
2.拡張性の高いこと
Hudsonはプラグインを通じて機能拡張が可能で,これを通じて様々なソースコード管理システムやビルドツールと連携できます。プラグインを開発する為の環境も整備されており,コミュニティの手によって既に50以上のプラグインが開発されています。使っているツールやプロセスなどをふくめた広義の開発環境は,現場によってまちまちですから,プラグインによって特定の環境に適応できることは大変重要です。

コミュニティ

ユーザーサポートは主にメーリングリストで行われています。一つは質問,不思議な挙動の相談,新しい機能のアイディアの議論などが行われている users@hudson.dev.java.netで,もう一つに,主にコミッタの間でプラグインの開発に関連する質問,議論などが行われる dev@hudson.dev.java.netがあります。これらは英語のメーリングリストですが,これに加えて最近,日本語で投稿できる ja@hudson.dev.java.netというメーリングリストが追加されました。もし英語はどうも...という方はこの日本語メーリングリストを試してみてください。

HudsonのウェブサイトのほとんどはWiki上に展開されていて,主に次の4つのセクションにわかれています。

  • 一つめはHudsonの紹介に関するコンテンツで,Hudsonをまだ使っていない層に向けて書かれています。
  • 2つめはHudsonの利用方法に関するコンテンツで,Hudsonを使っている人達向けに各種の設定方法やベストプラクティスなどがまとめられています。
  • 3つめはHudsonの拡張に関するコンテンツで,Hudson本体のビルド方法,開発に参加する方法や,プラグインを記述するためのチュートリアルなどがあります。
  • 4つめはプラグインのための空間で,コミュニティが開発している様々なプラグインの一覧とその説明として機能しています。残念ながら,これらはどれも英語のリソースです。

これらに加えて,Hudsonには3つの主要なRSSフィードが用意されています。一つめは本体及びプラグインのリリースを通知するフィードで,2つめはHudson関連の英語ブログをまとめた,往々にして参考になるフィードです。そして,最近追加された3つめのフィードは,Hudson関連の日本語のポストをまとめたフィードです。これらはユーザーにとっての利便性はもちろんのこと,コミュニティをつなぐ役割も果たしています。

著者プロフィール

川口耕介(かわぐちこうすけ)

Sun Microsystems, Inc.のシニアスタッフエンジニア。主としてXMLとのそのスキーマ言語関係の仕事をし,JAXB, JAXP, JAX-WSなどの仕様策定・実装に携わった。仕事の他にも,主にjava.netに多数の趣味のプロジェクトをホストしている。Hudsonは趣味のプロジェクトとして開始したが,今では本業の一部。米国カリフォルニア州在住。

URLhttp://www.kohsuke.org/

コメント

コメントの記入