エンジニアの夏休み:蓄光テープで「省エネディスプレイ」を作る

第1回 LEDで蓄光テープに文字を描こう

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最近,駅の照光パネルが節電で消えているのをよく見ますね。私なんかは目が悪いので,暗いと文字が読めずに苦労します。電気が消えても見えるように,非常用の表示では蓄光塗料がよく使われます。家庭では,蛍光灯のひもの取っ手に使われていたりします。蓄光テープという素材も売られており,みなさんも目にしたことがあるかも知れません。

蓄光テープ。東急ハンズなどで手に入ります

蓄光テープ。東急ハンズなどで手に入ります

蓄光テープは,光を当ててから暗いところに持っていくと,しばらく光り続けます。では,LEDの光を蓄光テープに当てたらどうなるでしょう。当然,しばらく光り続けることになりますね。昔,ストレージスコープがなかった時代は,心電図のようなゆっくりした波形を扱うオシロスコープも光が残るようになっており,輝点がゆっくり移動した跡が見えるようになっていました。LEDでも同じことができるでしょうか。

LEDとモータを使った「発光車」

というわけで,さっそく試してみました。LEDを8つ並べて,蓄光テープの上を走らせます。LEDは波長の短い紫外線LEDを使いましたが,なければ青や白でもいいと思います。モータは手元にあったステッピングモータを使いました。マイコンは,28ピンタイプのPICを使っています。これはモータ2つに8出力,LEDに8出力と,最低でも16の出力端子が必要になるためです。

制作した「発光車」

制作した「発光車」

裏返すと基板にPICマイコンなどがアセンブルされている

裏返すと基板にPICマイコンなどがアセンブルされている

紫外線LEDを8個並べる

紫外線LEDを8個並べる

単3電池4本で動作

単3電池4本で動作

蓄光テープをセット

蓄光テープをセット

【ご注意】なお,紫外線は目に有害です。紫外線LEDを点灯させると,紫の弱々しい光が見えますが(薄幸ダイオードとか)⁠目に見えないだけで強い紫外線が出ています。この動画では,見やすいようにLEDが露出していますが,みなさんが作るときはLEDの光が目に入らないよう,LEDのまわりに覆いをつけるなどしてください。他の人に見せる場合や長時間使用する場合などは,青色LEDを使った方がいいかも知れません。

結果は,ご覧のとおりきちんと文字が描けました。見たところ十分に明るいので,もっとスピードを上げても大丈夫そうです。というわけで,この連載では「蓄光テープを使った省エネディスプレイ」と題し,蓄光テープに文字を描くというテーマでお送りしたいと思います。

せっかく夏休みなので,みなさんも作ってみたいと思われるかも知れません。そこでここからは,作り方とか,他に考えた方法などを紹介していきます。

Twitterタイムラインを流したい

実はこの仕掛けは,元々Twitterのタイムラインを電光表示器に流したいと思って考えついたものです。Ustreamのライブをやっているときに,Twitterに流れたコメントを,出演者が画面を覗きこまずに見れるといいと思っていました。しかし長い電光表示器はとても高価です。プロジェクタを複数台使うのも検討しましたが,これもやはり高価です。それで,蓄光テープを使うことを思いついたわけです。

よくある,証券会社の電光表示器みたいに,新しい情報が次々と流れてくるのを想定していましたから,やり方としてはテープを動かすか,LEDを動かすかのどちらかです。テープを真円に張れば,レンズを使って中心から投影するという考えもあります。テープを動かし続けるのは,強度などの問題が心配だったので,LEDの方を動かすことを考えました。

このときに検討したのはここまでですが,ホワイトボードの上をプロッタのように動かす手もあります。あるいは,壁ではなく机の上で動かすのであれば,タイヤで走行するのでもいいわけです。机の上であれば,ライントレーサのようにセンサーで蓄光テープを追いかけることもできますね。今回は,最終的にはライントレーサにするイメージで,まずは直進だけのものを作りました。

もっと簡単に作るために

みなさんが作る場合,いちばん簡単な方法としては,田宮模型などのキットを使う手があります。これはただまっすぐに進むだけなので制御はできません。そこでマイコンで一定間隔でLEDを点滅させて,文字を表示します。クローラ(キャタピラ)を使った,左右に向きを変えられるキットであれば,マイコンから制御することでライントレースができるでしょう。

LEDの数ですが,8本あればASCII文字を表示することができます。12本あれば,漢字も表示できるでしょう。恵梨沙フォントのように,8ドットの漢字フォントもあります。ただし,PICのメモリは大きくはないので,漢字を扱う場合は,メモリカードやネットワーク通信があった方が便利です。ネットワークを使う場合,サーバ側でフォントをイメージに変換してから送れば,マイコン側にはフォントデータを置く必要がなくなります。

また,プリンタのように,1ドットごとに明るさを変えることで,文字をなめらかに見せることもできます。もっと解像度が必要であれば,奇数番目のLEDと偶数番目のLEDを別の列に配置する方法もあります。

いろいろやりたいことがありますので,来週からは,このうちのいくつかを実際にやっていきましょう。どうぞよろしくお付き合いください。

著者プロフィール

木元峰之(きもとみねゆき)

独立系ソフトハウスに8年間勤務,パッケージソフトの開発や記事執筆などを行う。現在はフリーのコンサルタント。SWESTなどのワークショップで分科会のコーディネータを務める。デジタル回路設計歴30年,プログラミング歴27年。

きもと特急電子設計
URL:http://business.pa-i.org/

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