gihyo.jp & Let's Postgres 連動企画 今こそ!PostgreSQL

第7回 PostgreSQL Conference 2009 Japanの見所に迫る

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1日目以上に多彩!2日目

2日目は,事例からとにかく技術的に「濃い」セッションまで,多彩なプログラムが集まっています。コミュニティ主催のイベントらしい,インフォーマルな雰囲気が楽しめる1日になりそうです。

なお,12:00-13:00のセッションは「ランチセッション」で,お弁当(当日参加者に無料配布されます!)をつつきながら,セッションが楽しめる趣向となっています。

1日目以上に個性の強いセッションが多く,目移りしてしまいそうですが,ここはずばり目的別にセッションを紹介します。

事例発表系

「PostgreSQL プロジェクトを支えるインフラの内側」は,今まであまり表に出ることのなかった,PostgreSQLプロジェクトの舞台裏を紹介します。Stefan Kaltenbrunner氏は実際にPostgreSQLのサーバ群を運用する担当者の一人であり,実体験に基づいた興味深い経験談が聞けそうです。

「PostgreSQL のチューニング,運用,クラスタリング事例のご紹介」では,オープンソース運用管理ツールHinemosの開発者でもあるNTT DATAの長妻 賢氏による発表があります。ツールのバックエンドデータベースとしてのPostgreSQLの活用体験から得られたチューニングノウハウなど,の貴重な話が聞けるとのことです。

ところで,いろいろな統計によれば,日本では中小企業ほどオープンソースソフトウェアの導入が遅れているそうです。こうした状況を打開したいと考えている方には「孤軍奮闘! 中小企業,PostgreSQL 導入の物語」がお勧めです。実体験に基づいた発表は大いに参考になると思います。

DBアプリケーション開発

データベースを使いこなすためには,データベースをうまく使うためのアプリケーションの開発が必須です。こうした観点から役に立つセッションをご紹介します。

最近注目されているPHPフレームワークの1つにCakePHPがあります。そのCakePHPに関して多数の書籍を執筆している新原雅司氏による注目講演が「CakePHP で PostgreSQL を使う」です。CakePHP+PostgreSQLの開発事例の他,CakePHP+Slony-I+pgpool-IIによるクラスタ構築の話題も聞けるとのことです。

PostgreSQLでXMLを使いたい方にお勧めなのが「PostgreSQL の XML 機能解説と将来拡張への提言」です。PostgreSQLのXML機能の解説と,将来の拡張の提案などの解説があります。

PostgreSQLで新たに実装された機能に「window関数」というものがあります。これを活用することにより,今まで難しかった複雑な集計処理が簡単に書けるようになります。でも使い方がよくわからない…という方は「PostgreSQL8.4 新機能 window 関数」のセッションに参加しましょう。

一方,DBセキュリティという切口から解説を行うのが「LAPP/SELinux・SE-PostgreSQL を用いたセキュア Web アプリケーション基盤」です。講演者の海外浩平氏は,SE-PostgreSQLを提案していることでPostgreSQLコミュニティでも著名な方です。

ちょっと毛色の変わったセッションが「データベースのユニットテストをしよう!」です。通常ユニットテスト(単体テスト)というと,アプリケーションだけの単体テストか,アプリケーションとDBを組み合わせた状態でのテストがほとんどです。講演者のDavid Wheeler氏は,データベースの単体テストの重要性を強調しており,そのためのツールの紹介,使い方がこのセッションで解説されます。

PostgreSQL用クラスタソフトウェア

今PostgreSQLではクラスタリングがホットな話題になっており,今回のイベントでも1日目の基調講演でのストリーミングレプリケーション+Hot Standbyが取り上げられ,さらに今回併設イベントで「クラスタミーティング」が予定されています。

2日のセッションでは,注目の日本発PostgreSQL用のクラスタソフトである,PGClusterとpgpool-IIの講演があります。

「PGCluster 新機能の紹介」では,PGCluster開発者の三谷 篤氏による同期レプリケーション環境の自動構築,障害サーバの自動復旧,モバイル機能といったPGClusterの新機能の解説が予定されており,楽しみです。

「多機能ミドルウェア pgpool-II の最新情報」では,pgpool-IIのパラレルクエリを開発した盛 宣陽氏から,最近のpgpool-IIの動向の他,ホットスタンバイ(ストリーミングレプリケーション)とpgpool-IIを組み合わせて使った事例の報告があります。

チューニング!

データベースと言えば,チューニング。JPUGのメンバがそのノウハウを徹底開発するのが「PostgreSQL のチューニング技法 しくみを知って賢く使う」です。JPUGの「しくみ分科会」に蓄積されたノウハウが聞けます。

データベースが壊れたら

「天災は忘れた頃にやって来る」ということわざがあるように,データベースの損傷も思ってもみないときに起ります。PostgreSQLの主要開発者であるGregory Stark氏のセッション「破損した PostgreSQL データベースの綿密な解析」では,こうした状況の一般的な対応方法だけでなく,完全にリストアできない場合にもできるだけデータベースを修復する方法が解説されます。

PostgreSQLの実装に関連したセッション

Windows 7の登場により,強まる64bit化の流れ。そうした動向に興味のある方はぜひ「Windows 対応への挑戦,過去・未来」に参加しましょう。また,PostgreSQLの開発に興味のある方にもおすすめです。

PostgreSQL Weekly NewsでおなじみのDavid Fetter氏の「書き込み可能な共通表式(CTE⁠⁠:起きるべき大事件」は,PostgreSQL 8.4で実装されたCTEの拡張実装に関する提案です。CTEは検索処理で再帰呼び出しを可能にする強力な機能ですが,それをさらに更新系にも拡張しようという大胆な提案です。

ヨーロッパと米国のPostgreSQLコミュニティの現状を知ろう!

世界中に存在するPostgreSQLコミュニティですが,まだまだお互いに相手のことを良く知らない部分が多いと思います。

「ヨーロッパの PostgreSQL コミュニティ」のセッションでは,ヨーロッパPostgreSQLコミュニティ(PostgreSQL Europe) の代表であるMagnus Hagander氏と,米国のPostgreSQLコミュニティで活躍するSelena Deckelman氏の両氏から,ヨーロッパと米国のPostgreSQLコミュニティの最新情報が報告される予定です。

このセッションが,日米欧のPostgreSQLコミュニティの交流につながっていくとよいですね。

最後はもちろんお約束のライトニングトークで締めくくり!

コミュニティイベントにかかせないのが「ライトニングトーク⁠⁠。何が出るかは,当日参加してのお楽しみ。しかし,このコンファレンスの最後を締めくくるにふさわしい華やかなトークになることは間違いないと思います!

著者プロフィール

石井達夫(いしいたつお)

SRA OSS, Inc.日本支社 取締役支社長。SRA OSS, Inc.日本支社に所属。最近アナログ回帰が著しく,TODOは手帳に万年筆で書き込んでいます。

著書