小飼弾のアルファギークに逢いたい♥

#15 青木 靖

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今回のゲストは,Fine Software Writings ソフトウェア開発に関する文章の翻訳で多数の海外ブログなどの英語文献の翻訳をしている青木靖さん。『Joel on Software』などの翻訳書とともに,その名訳が人気です。

左:青木靖氏,右:小飼弾氏(撮影:武田康宏)

左:青木靖氏,右:小飼弾氏(撮影:武田康宏)

FizzBuzz問題

弾:それではぼちぼちとお聞きしていきましょう。まず,青木さんに会って,やっぱり外せない質問はどうしてプログラマに…プログラムが書けないのか?

青:あー,はい(笑)。

弾:FizzBuzz問題注1)。青木さん自身が出したものではなくて,翻訳ではあるんですけど,最初にどこで見つけたんですか?

青:「Coding Horror」っていうJeAtwoodのブログをいつも読んでいて。そんなにすごいことになるとは思ってなくて,軽い気持ちで訳しただけなんです。

弾:すごく流行りましたよね。このFizzBuzzが書けないというのは。

青:あれに火をつけたのは弾さんですよね,実は。

弾:僕というよりはてなブックマークではないでしょうかね。僕がブックマークの中に納まるFizzBuzzの実装を書いて。

注1)
「1から100までの数をプリントするプログラムを書け。ただし3の倍数のときは数の代わりに『Fizz』と,5の倍数のときは『Buzz』とプリントし,3と5両方の倍数の場合には『FizzBuzz』とプリントすること」という問題で,プログラマの採用面接を受けに来る人の多くがこの簡単なプログラムを書けないというのが記事の内容。この記事の後,FizzBuzz問題をさまざまな言語で実装してブログで公開するのが流行った。

翻訳ネタの選び方

弾:翻訳する記事はどういう基準で選んでるんですか? 青木さんが翻訳した記事は本当に質が高いじゃないですか。それに,出せばブクマが3桁でつくという。

青:読んで自分でおもしろいと思ったっていうことが一番で,あと,一時的な流行りじゃなく,できるだけ普遍性のある,長く読まれるようなものを選ぶようにはしてます。日本の技術系ブログにも,弾さんのをはじめ,おもしろいものはたくさんありますが,向こうのものはそのまま堅めの本に載せられるような,完成度の高いものをよく目にします。コメント欄にも長文を書く人がいて読み応えがあります。

普段の仕事

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弾:青木さんのファンは,僕も含めてほとんどWebを通してしか青木さんのことを知らないと思うんですけど,普段は何をしてらっしゃいますか?

青:ソフトウェア会社で,生産計画系のパッケージソフトの開発に携わってます。パッケージっていってもだいたいがそのまま売るものじゃなく,さらにカスタマイズして使うものです。

弾:顧客ごとに合わせて。

青:そうですね。

弾:普段,FizzBuzzはどんな言語で書いてらっしゃる?(笑)

青:書くのはC#が多いです。

弾:普段,仕事以外ではプログラムをされるんですか?

青:言語を覚えることやアルゴリズムは好きで,趣味的にやることはありますけど,あまり大きいものはやってないです。

弾:あるいはコードを人に見せるとか。青木さんはご自身のコードはほとんど載せてらっしゃいませんよね。www.aoky.netにあるのは,ほぼ全部翻訳で。あまり表に出たがるタイプではない?

青:今,実はインタビュー受けてること自体,かなり場違いな気がしてます…(笑)。翻訳をするようになったのは,2002年にWebでJoel on Softwareの記事注2を訳したのが実質的に最初です。JoelがWebサイトの各国語版を作ることにして,翻訳する人を募っていました。Joel on Softwareは以前から楽しんで読んでいたので,協力することにしました。やってみたら存外,翻訳が自分に合っているのに気付いたという感じです。

注2)
米国のソフトウェアエンジニアJoel Spolsky氏が運営しているソフトウェア開発に関するエッセイを掲載したWebサイト。青木さんによる日本語訳はhttp://local.joelonsoftware.com/mediawiki/index.php/Japaneseに掲載されている。書籍化したものも青木さん翻訳で,オーム社から2005年,刊行されている。

英語の習得

弾:青木さんはどこで英語を習ったんですか?

青:あまり英語を意識して勉強したことはなくて,大学で情報科学,コンピュータサイエンス専攻だったんですけど,文献はだいたい英語になっちゃうんで読まざるをえなくて,読んでるうちに読めるようになったっていうくらいです。

弾:僕,日本の大学に通ったことがないのでいまいちピンと来ないんですけど,SICP注3ってあるじゃないですか。Schemeの典型的な教科書。K&R注4もそうですけど,この辺の本は軒並み翻訳されていて,英語に一切触れずに学べちゃうと思うんですよ。失礼ですけど,青木さんておいくつですか?

青:僕は弾さんの2つ上くらいですね注5)。

弾:あー,そうなんだ。確かにそれであれば,大学でコンピュータサイエンスを学ぶのに日本語だけで完結する状況ではないはずですね。

青:(当時は)翻訳されたとしても結構,間がありました。

注3)
「Structure and Interpretation of Computer Programs」の略。翻訳書は,『計算機プログラムの構造と解釈 第二版』(ピアソン・エデュケーション,2002年)。
注4)
Brian W. KernighanとDennis MacAlistair Ritchieによる,「The C Programming Language」翻訳書は,『プログラミング言語C ANSI規格準拠』(共立出版,1989年)。
注5)
弾さんは0x27歳。

著者プロフィール

小飼弾(こがいだん)

ブロガー/オープンソースプログラマー/投資家などなど。ディーエイエヌ(有)代表取締役。1999~2001年(株)オン・ザ・エッヂ(現(株)ライブドア)取締役最高技術責任者(CTO)。プログラミング言語Perlでは,標準添付最大のモジュールEncodeのメンテナンス担当。著書に『アルファギークに逢ってきた』(2008年5月,技術評論社)。ブログは『404 Blog Not Found』

URLhttp://blog.livedoor.jp/dankogai/

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