小飼弾のアルファギークに逢いたい♥
#21 和田裕介(ゆーすけべー)
一対一のコミュニケーションは減っている
弾:その一方で,僕みたいなおっさんはたぶんおもしろいなの前に,なんでこんな不安定なんだ? っていう。昔はぶっ壊れるとやたら怒られる世界にいたので。
ゆ:(笑)。なるほど。最近はでも,ぶっ壊れても平気,また止まったみたいに思う傾向に。
弾:Web 2.0ならしかたないみたいな。
ゆ:明示化されてないけれども,そういう考え方は,世代とか,時代の変化によってだいぶ変わっていく可能性はある気がしますね。
弾:変わっていくでしょうね。僕自身も自分を観察していてわかったのは,シカトする・されるというのに,ものすごく慣れた。声をかけたら絶対返事しなきゃいけない,メールの返事は絶対書かなきゃいけないっていうのが昔は雰囲気としてあったでしょ。それがどんどん弱くなっている。
ゆ:それ,ありますね。
弾:答えが返ってこなくて当たり前,返ってきたらめっけもんという。そのへんは自分のマインドセットもかなり変わっている。
ゆ:わかります。そうすると,人との付き合い方も変わってきますよね。
弾:たとえば一度でもメッセージを交換したことのある人の数ということで言うと,Webができる前と後は2桁くらい違うはず。
ゆ:そうですね。
弾:たぶん人間が持っている人と付き合うために割ける労力は一定なので,その分,1 人の人に割けるコミュニケーションのための労力は減っているはずなんですよ。で,それを減らすものがことごとく当たっている。電子メールが初めに来たときもそうだし。ブログもSNS もそうだし,Twitterもその流れで解釈できる。
ゆ:減らすんですね。返信されること自体を減らすようなツール。
弾: 僕のTwitter も8,500 人くらいフォローしているみたいだけど,でも,その人たちが全員RTしたら,Twitter,即死じゃん(笑)。結局そのうちの0.1%くらいしかRTしないけど,でもそれでも十分にぎやかに見える。
親父さんと一緒に仕事
弾:親父さんとは何がきっかけで一緒にやることになったの? 親父さんが会社を持っていて,それを継いだというわけでもなくって,定年退職した親父さんと一緒に仕事を始めたっていうのは,すごいレアケースなんだよね。
ゆ:もともと2人とも会社をやりたいっていうのはなんとなくあったんです。僕は大学院卒業したあと,行きたいところがないっていうのがあって。ニートでもなるかって思って(笑),そうしたらいつのまにか親父が会社を作っていたっていう。最近一緒にやり始めたのは,親父がこういうのを作りたいってほかのところと組んでやろうとしても,なかなかそういう相手っていないんですよね。やろうとしていることが新しい概念だったり,結局は先方はそれほどやりたくなかったり。それで,じゃあ,俺がやってやるぜみたいな感じになって。それで現在に至るという感じです。
弾:僕のところにも企画だけ持ってきて,あとは金を出してくれっていう話が来ます。具体的には何をやりたいんだというと何も返ってこない。そういうの,欲求弱過ぎるよね。とりあえず始めちゃって,動かしてくうちに,やってみて,初めて何が足りないっていうことがわかるじゃないですか。金だったり,人だったり,技術力だったり。やってみてわかったので,これだけ足りないって言っているのと,鉛筆をなめて計算しただけっていうのは全然違う。
ゆ:そうなんですよね。
優れたエンジニアとは
弾:優れたエンジニアっていうのはどんな人を指すんだろう。
ゆ:今までになかったようなアイデアを自分で作れちゃうような人はすごいと思います。で,何度も題材に挙げて申しわけないですけど,やっぱり宮川さんはすごいと思うんですね。たとえばPlaggerとかRemedieとかWeb::Scraper(注12)とか,アイデアだと思うんです,結局。
弾:そこにあるもので作るっていうのはすごいと思うよね。
ゆ:実装もきれいなのはもちろんだし,でもただ作れるだけじゃなくて,いい具合の,今までこれなかったよね,みたいなものじゃないですか,結構。それをさくさく作ってしかも,割と実用レベルまで作っちゃうところがすごいなと。あと奥一穂さん。Q4M(注13)も,すごくいいなあと思いますね。それだけではプロダクトにはならないけど,そのために欠かせないアイデアを含んだモジュールを作れる人はすごいなあと思いますね。そういう人に限って,コードがきれいで。
弾:二通りあるよね。そこにあるものを組み合わせて結構なものを作っちゃう「宮川タイプ」というか。奥さんは,逆に道具のほうから作り始める。
ゆ:そうなんですよね。2 人ともタイプが違う。
弾:ちょうど日本のPerl mongers としては両極端かな。
ゆ:2人とも良いもの作るんですよね。
- 注12)
- Remedie:Perlでかかれたプラガブルなメディアセンターアプリケーション。
Web::Scraper:Webスクレイピングモジュール。 - 注13)
- MySQL 5.1のプラガブルストレージエンジンとして動作するメッセージキュー。http://q4m.31tools.com
読者に一言
弾:というわけで,読者に一言。
ゆ:欲から入るプログラミングとか開発もありだと思うし,あとは,自分ではたいしたことないと思うんですけどいろいろ作ってると,僕もこういうの作りたいみたいに言う方もいるんですけど,先に手を動かして作っちゃうということが結局一番大事かなと。
弾:そうだよね。僕もブログぐらいだと,書いてたと気がつくのはサブミットボタン押したあとだったりするんですよ(笑)。
ゆ:僕も最近,気になることがあると,コードが先に出てくるようにだんだんなってきて。
弾:欲求って,大きいよね。
ゆ:だんだん,そういう体質になると思うので,最初は「俺,サンプルプログラミングなんかプログラミングしてる,初心者でやだな」っていう感じかもしれないけど,そうじゃなくて,それにも意味があるっていうことを自分で考えたりとか,いくらしょぼいものでも,自分で楽しんでやろうって考えると,考え方が変わると思う。というかそうじゃないと始まらないですよね。そんなスタートアップでどんどんコードを書くようにするといいかなと思います。
Oppai-Detect
弾:最後に,エロで新しめのネタとかない?
ゆ:Oppai-Detect。
弾:OpenCL(注15)に顔検出のライブラリは入ってるよね。
ゆ:写真の,ココとココとココとココを囲んだところがおっぱいですよっていうのを学習させて。それを何万っていう数を何週間もかけてやらないと精度が出ない。一度,1,500 枚くらいでやったことがあるんですよ。自分でひたすら囲むっていう。
弾:人に投げちゃえばいいじゃん。おっぱいを探せみたいな。
ゆ:それを,いつかのクリスマスにリリースしたいと考えています。みんなでOppai-Detect を作ろうっていうプロジェクトで。
弾:すごいなあ。そういうのを積み重ねていけば,いろんな部分がきっと機械認識できるようになるよね,それもオープンソースで。
ゆ:ソーシャルで,たとえば「この写真をダウンロードするには,おっぱいを囲まないとダウンロードできません」みたいなイメージ。
弾:静止画像で,きちっとこの部分はこれだって認識するっていうのはいまだにすごい技術であり続けてるよね。実は動いているもののほうが,簡単なんです。オムロンとかが作ってる歩いている人の顔を見つけるものは,意外に簡単なんですよ。動きがあるほうが見つけやすい。でもじーっと止まった絵を見て,これはおっぱいというのは,難しい。
ゆ:それをみんなで作ってみようよ,みたいなのをやろうかと(笑)。
弾:じゃあ,Perl とおっぱいのますますの発展を祈って(笑),このインタビューの終わりにさせていただきたいと思います。
- 注15)
- Appleが提案したC言語による異種混在システムの並列プログラミングのためのフレームワーク。


