スマホ×Windows Azure開発講座(iOS編)

第2回iOS+Windows Azureの開発環境構築

はじめに

前回の記事ではiOSデバイス+Windows Azureプラットフォームの開発における、技術概要についてご紹介しました。今回は、各々の開発環境の構築を行いたいと思います。

iOSデバイスのアプリケーション開発は、Mac OS X用アプリケーションの『Xcode+iOS SDK』で行います。Mac OS Xを、アップルの販売するハードウェア以外で起動させることは、ライセンス違反になります。そのため、必然的にiOSアプリ開発は、MacBookやiMac上で行うことになります。

また、Windows Azureの開発は、基本的には「Windows Azure SDK」などをWindows上にインストールして行います。

このため、Mac OS XとWindows環境をどちらも揃える必要があります。Mac OS X上でWindowsを仮想環境で動かすことで、ハード的に⁠1つ⁠にすることは可能です。

では、開発の流れからそれぞれのプラットフォームの開発環境の構築方法について紹介していきましょう。

Windows AzureとiOSアプリの開発の流れ

各々の開発の流れについて概要を説明します。

Windows Azureの開発の流れは以下になります。

  • Visual Studio 2010(またはVisual Web Developer 2010 Express)を用いてアプリケーションをコーディングする
  • ローカルのWindows Azureエミュレーション環境でアプリケーションをデバッグモードで実行する
  • Windows Azure上にアプリケーションを配備して、実際の動作確認をする

iOSアプリの開発の流れは以下になります。

  • Xcodeを用いてアプリケーションをコーディングする
  • ローカルのiPhoneシミュレータ[1]でアプリケーションをデバッグ実行する
  • iPhone、iPod touch/iPadの実機にUSB接続し、実際の動作を確認する[2]

上記の開発の流れについては、次回以降の連載において、実際にアプリケーションを開発しながら紹介していきます。

※1:iPad版とバージョンごとに分かれている。
※2:iOS Developer Programへの参加と認証が必要。

Windows Azure開発環境

ここでは3つのツールをインストールして、Windows Azure開発環境を順に構築していきます。

  • Web Platform Installer 3.0
  • Visual Web Developer Express 2010 SP1
  • Windows Azure SDK for .NET - 2011年11月
Web Platform Installer 3.0(Web PI)
http://www.microsoft.com/web/downloads/platform.aspx

Web PIは、さまざまな開発用ツールやサービスをUI画面で選択して、まとめてインストールすることができるアプリケーションです。上記の残り2つのソフトウェアも一度にインストールすることが可能です。

本記事ではこちらを利用して、Visual Web Developer 2010 ExpressおよびWindows Azure SDK for .NETはWeb PIからインストールします。もちろん、Web PIを使わずに個別にインストールすることも可能です。

Visual Web Developer Express 2010は、無償版のVisual Studioになります。有償版のVisual Studio 2010をお持ちの場合は不要です。その場合は、予めインストールしておき、以降の手順では『Visual Web Developer Express 2010』は除外してください。

図1 Web PIのインストールアイテム選択画面
図1 Web PIのインストールアイテム選択画面

Web PIをインストールして起動すると、インストールアイテムを選択する画面になります。⁠プロダクト」「ツール」から「Visual Web Developer Express 2010 SP1」「Windows Azure SDK for .NET」を追加します。後者を追加すると、自動的に「Windows Azure Library for .NET 1.6」「インストールするアイテム」に追加されます。

「インストール」ボタンをクリックすると、選択したアイテムが依存する.NET Framework 4など各種コンポーネントやサービスも合わせて、インストールされます。

上記のツールをインストールすると、ASP.NET MVC 3(ASP.NETベースのWebアプリケーション開発用コンポーネント)だけでなく、IIS(Internet Information Server)とSQL Server 2008 R2をベースにしたWindows Azureの⁠コンピュート⁠機能と⁠ストレージ⁠機能、それぞれのエミュレータが同時にインストールされ、利用することができます。

図2 Windows Azure開発環境
図2 Windows Azure開発環境

Visual Web Developer Express 2010を起動して、テンプレートから選ぶだけで、前回紹介したWebロール用のアプリケーションのスケルトンプロジェクトを生成され、そのままデバッグ実行することができます。

iOS開発環境

前回も紹介したとおり、iOSアプリケーションの開発は、Mac OS Xアプリケーションと同様にXcodeによって行います。

Snow Leopard版はこちらで配布されています。Lion版はMac App Storeで配布されています。どちらも無料でダウンロードできます。

各々の方法でダウンロードおよびインストールすると、Xcode InstallerがOSのアプリケーション内に現れます。これを実行して、Xcodeをインストールします。Xcodeは前回触れたようにオールインワンの構成なので、iOS SDKやプロファイルツールのInstruments、iPhoneシミュレータなども同時にすべてインストールされます。

図3 iOS開発環境
図3 iOS開発環境

Apple Developerサイトでユーザー登録することで、現状のiOS SDKに関する情報にアクセスできるサイトiOS Dev Centerを利用することができます。話が前後しますが、Snow Leopard版のXcodeの取得には、先にこちらを登録しておく必要があります。

図4 iOS Dev Center
図4 iOS Dev Center

前述したとおり、自作したアプリを実機で動作させるためには、有償のiOS Developer Programに参加する必要があります。Standardプログラムは年間参加費8,400円(2011年12月現在)になります。iOS Developer Programに参加すると、実機での自作アプリのインストールやiTunes App Storeでのアプリ公開、iOSの次バージョンのiOS SDKベータが利用できます。

Enterpriseプログラムに参加すると、社内端末限定でのアプリ配布(アドホック)などが、さらに可能になります。

最後に

本記事では、iOSとWindows Azureのそれぞれの開発環境の構築に焦点を当てて、ご紹介してきました。次回以降は、実際に今回構築した開発環境で具体的にクラウド(Windows Azure)+スマートデバイス(iOS)のアプリケーションの開発の流れについて、触れていきたいと思います。

再びのご紹介になりますが、Windows Azure プラットフォームは無料で試すことができます。MSDNサブスクリプション会員であれば、さらに相当量の利用が無償です。これを機会に試してみては、いかがでしょうか。

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